T Series Spiral Ligature

(あなたのデュコフがSAXWORKSになる?)

 

Tシリーズ オリジナルリガチャー

※ejiバージョンとは異なります。


序章

コレは当ページのリンク先である岡崎氏のページで初めて見かけました。ヘンな形のリガチャーだな?と思ったものの、すぐに「これはSAXWORKSの発想に近いのではないか?」と思い、製作者の高尾哲也さんにコンタクトをとってみた。高尾さんは広島交響楽団で活躍されているプロのクラリネット奏者であり、演奏の合間をぬってリガチャーを研究、製作しておられるとのことだった。クラリネットでは古来よりリードを糸で巻くというやりかたがあり、あまりの脱着の不便さから、ロブナーの皮タイプやそれを糸巻きと合体させたオリジナルなどを使用した経験から、「リードに当たる面は銅線がもっとも響きが良い」という結論を導きだし、糸巻きよりもさらに効率良く響くリガチャーはできないか?という思いからすべて銅線のらせん型リガチャーを開発したそうだ。当初は今よりももっと巻き数が多いタイプだったのだが、もっと軽く、のびやかに、ということで現在の5巻きタイプにおちついたようだ、SAXWORKSのことはもちろん御存じなかった。(2004年3月17日)

第二章

SAXWORKSのリガチャーの良さが忘れられない筆者は自分のデュコフ用に Tシリーズのソプラノ用が使えないか、高尾氏に打診した。「合わない可能性もあるので、できれば本体を送って欲しい」とのことだった。筆者は即デュコフを送ってみた。すると「ソプラノ用は1、6mmの銅線を使っているのでアルト用には1、8mmのものをこのサイズで別注した方が良いのでは?ということでお願いすることになった。またメッキは金メッキ、ピンクゴールド、ロジウムと3タイプあるが、柔らかく響くピンクゴールドが良いだろうということになり、それでお願いすることにした。(2004年3月22日)

第三章

ついに届いたそのリガチャー。こう言ってはなんだが何かの部品のようで、そのへんに転がしておいたら「手品グッズか」としか見えない(失礼!)言ってみればバネそのものです。どんなものかと思いながらも、それを持っていきなりいつものライブハウスへ・・・・・・・狭い店でノーマイク、わりと小さめの音量で行われるライブでビバップもあればサンボーンもある。そんな環境で耳に付くデュコフは完全にオクラ入りだった。どんなにソフトにふいてもやかましい。最近は折衷案でLAsaxを使用していた。(それまでは全てトナレックスだった)一曲目「あれ?なんかマイルドなのにエネルギッシュ!」、二曲目「バラードでもリードミスしそうな気配もない」、古い付き合いのベーシストも「それデュコフやろ?今日はうるさく無いのにパワー感も出てて良い音やな」と言っている。最後にハリソンに付け替えてみると、いつものキーキー言うリードミスの危険もつきまとう状況に陥ってしまった。こと生音で、あの状況では抜群の音色とコントロール性を持つリガチャーであることが判明した。(あとで録音を聞いてみると、あまり音が耳障りで無く伸びるので、調子に乗って結構デカイ音で吹きまくってしまっていた、がデュコフがSAXWORKSになったような安定した音色は素晴しいものだった)デュコフを「殺す」リガチャーは数あれど「生かす」リガチャーは本当にこれが初めてだと思った。サンボーンに一個送ってやろうかな?(2004年4月02日)

第四章

文句ないほどのベストマッチングをみせたリガチャーであったが、もっと改善の余地はないか考えてみた。このリガチャーはリードに当たる線の部分が5本なのだが、SAXWORKSでも本数によって音色が変わる事実から、もう少し少ない巻きの方がデュコフのパワー感をより出せるのでは無いか?と思い、高尾氏に相談した。氏は耐久性の問題や音色への影響から5巻きがベストとの見識を持っていたが、サクソフォンでは(ましてジャズの)また違った要求があるのだろうと、御理解いただき、少ない巻き数のサンプルを製作していただくことになった。(2004年4月03日)

第五章

ついに届いた巻き数違いのTシリーズデュコフ用、2つ巻き〜5つ巻きまで4種類揃った。今回はテスト用の為メッキ無しのものだ、早速テストしてみる。

<5つ巻き>抜群の安定感、非常にコントーロラブル。ラバーに近い感覚でデュコフを振り回せる。この文章だとロブナーみたいだが、それとは違い「鳴り」がスゴイ。音色そのものがロブナーのように「マイルド」になってしまわないのが良い。

<4つ巻き>5つ巻きとそれほど音色は変わらない。これはコントロールやフィッティングを考慮すれば5つ巻きのほうがいいだろう。

<3つ巻き>この辺からリガチャーの性格が多少変わってくる。若干リスキーにはなるものの、フォルテシモではハリソンのようにバリバリ鳴る気持ちよさがある。ピアニシモはハリソンよりももちろん全然安定感がある。

<2つ巻き>3つ巻き同様バリバリ鳴る。その反応は抜群だが、リードの押さえや耐久性に非常に不安がある。

結果、デュコフの特性を最も良く引き出すリガチャーとして筆者ejiは3つ巻きを選んだ。さて次は金メッキ、ピンクゴールド、ロジウムのどの仕上げが合うかだ!(ちなみに5つ巻きのタイプはデュコフに手こずっている人や、アバレてどうしょうもないデュコフには最適で、そういう方々には3つ巻きよりオススメです)

(2004年4月12日)

第五章

3つ巻きに絞り込んだ仕様の中で3種類のメッキに仕上げていただいた。左からロジウム、ピンクゴールド、ゴールドである。鳴りはじめの抵抗感は3つ巻きよりも逆に5つ巻きのほうが軽いような気がする。従って5つ巻きの方が鳴らし易いと感じる人もいるかもしれない。

<ロジウム>透明感があって柔らかい音だが、高音部でデュコフのキンキンした所とカブってしまう。ラバーのセルマーなんかにはマッチすると思うがここではデュコフ専用なのでパスしたい。

<ピンクゴールド>良い意味でダーク、柔らかさも有りデュコフのイヤな所をうまくカバーしてくれる。5つ巻きほどレンジが広く無いのが程よい詰まり感でちょうどいい。最近のサンボーンのような色気があってエネルギー感があるのにダークな音色を目指すのには最適、太い音。

<ゴールド>密度があって良い音、音の分離もいい。生音ではなかなか良いと思うが、ダークなんだけどちょっとカッチリした感じがあってデュコフのエネルギー感がうまく出て無いかな。なんだか細い感じもする、安定感はスゴクある。

と、いうことでejiバージョンは「3つ巻き、ピンクゴールド」という仕様に決定した。う〜ん最高!3つ巻きは耐久性の問題等で高尾さんの方では受け付けていない。Saxophone Mouthpiece Roomでは条件付きで作ってもらうことにする。

(2004年5月13日)

高尾氏のオリジナルリガチャーへのリンク

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