[ THE HEART OF FOLKSONG ]
同じ高校に通い、同じ部活に属しているオオキとノリコは幼なじみ。
部内恋愛。友情と裏切り。
負けん気のノリコの視点で描く、ちょっぴり甘くて切ないラブ・ストーリー。
キャスト紹介
「季節は春。人々は待ち焦がれた明るい季節が来た事を喜ぶ表情をしている。
私は・・・。」
<Capter>
1.「オープニング」
2.「ギターの練習」
3.「オオキ、カナケンに恋の相談」
4.「二人でいるところを目撃」
5.「真相〜裏切り」
6.「オオキ&ノリコ・すれちがい」
7.「キムラに相談」
7.5 「自室にて 〜ノリコ、気付く〜」
8.「学校にて」
8.5「避けるノリコ」
9.「オオキ、告白」
10.「エンディング 〜フォーク部人気投票〜」
編集後記
1.「オープニング」
○部室
あいかわらず雑然としている部屋中で、
オオキが一人でギターの練習をしている。
ノリコ「おはよう、ボンちゃん」
オオキ「おはよ、ノリコ」
ノリコとオオキは幼なじみ。二人とも仲がいい。
ノリコ、周りを片付けながら、
ノリコ「もう、あいかわらず掃除しても3日ともたないんだから。
そういえばなんでこんな朝早くから?」
オオキ「朝練だよ。金城センパイがオレにギターを教えてくれるんだって」
ノリコ「へぇ、あのカナケンが人と接するなんて珍しいわね。
それよりアンタ、宿題とか忘れてないの?
この前の地学のテスト、マズかったんじゃないの?」
カナケンは部活の2年生。ギターがメチャメチャ上手く、
後輩に慕われていたりもするんだが、
あまり人付き合いが良くないらしい。
オオキ「ああ、地学ね。そんなモンもあったよーな」
ノリコ「もぅ、そんなんじゃもう一回1年生やりなおしじゃない」
オオキ「あー、オレもアマさんみたいにテキトーに暮らしたいよ」
と、言いつつ部屋を出ようとする。
ノリコ「あの人はあの人で苦労してるみたいよ。ま、人生ってそんなモンじゃない?」
オオキ「何を分かった口調してんだよ。次、体育だろ? 先出てるから」
と、オオキ外へ。
ノリコ (周りと片付けながら)
「以外と気が利くのね。ま、その辺がアレなのかな・・・」
カナケン登場。
カナケン「あ、、、ごめん、、、、着替え。。」
ノリコ「あー、まだ着替えてないし。用事あったら先済ませちゃいなよ」
カナケン「いや、特にアレだし、今日は部活出るから。。。」
ノリコ「あー、なんか珍しいね、カナケンが部活に来るの」
カナケン退場。変わってカズエ登場。
カズエ「あっ、スミマセン。せっかく世代交代したのに、
わたしが遅いんじゃ意味がないですよね」(苦笑)
ノリコ「いや、今日は朝体育だがら。それに掃除なんて、
別に誰の仕事って決まってるワケじゃないんだよ」
カズエ「えっ? ボンちゃんが言うには副部長の仕事だって・・・」
ノリコ「アイツの言うことアテにしちゃダメだって。小さい頃から全然かわんないんだから」
校舎、チャイムの音。相変わらずのお昼休みの部室。
カナケンが黙々とギターの練習をしている。
ちょっと離れて男子のメシ食い部隊が雑談。
オオミヤ「だからさぁ、オレ的にはカズエちゃんだと思うのよ」
ナガクボ「いや、やっぱり面倒見の良さでノリコちゃんがトップじゃないの?」
遅れてオオキ登場。
オオキ「ん? 何の話?」
ナガクボ「アレ? お前に伝達してなかったっけ?
毎年秘密裏に行われるフォーク部・ウライベント、女子部員人気投票!!」
キクチ「モエモエっすよねー」
オオキ「そんなモンやって女子の怒り買っても知らないッスよ」
オオミヤ「いや、大丈夫。この情報は決して女子サイドに漏れないようになっているのだよ」
キクチ「モエモエっすよねー」
ナガクボ「ま、主催はオレら2年だから、オオキはじっくり考えて
投票する側にまわってくれよな」
カナケン「なんの話だ?」
オオキ「えっ?いや、なんか、人気投票らしいッスよ」
カナケン「ふーん。そう言えば去年もあったな、そんなの」
オオキ「どうだったんですか?」
カナケン「いや、別に、フツーっていうか・・・。」
オオキ「ふーん。・・・あ、センパイ、ギター教えてくださいよ」
カナケン「ああ」
生き生きした様子のオオキ。
2.「ギターの練習」
○部室(夕方)
練習も終わり、オオキとカナケンは二人で残ってギターの練習。
部員「おつかれさまでしたー」
ノリコ「あれ?ボンちゃん、どしたの?」
帰り際にノリコが一言。
オオキ「これから金城センパイの練習だよ」
ノリコ「・・・飽きないわねェ」(ため息混じりに)
オオキ「うるせーな。女のお前に分かんねーよ」
カズエ「さようなら。金城センパイ」
カナケンは黙々とギターを弾いている。
カズエ「・・・ありゃ?」
ナガクボ「ほっとけよ。アイツはギター持つと周りが見えなくなるんだよ」
カズエ「・・・ふーん、そうなんですか?」
オオミヤ「そうだよ。ほっとけよ。それより早く行こうよ、カズエちゃん」
カズエ「うん。 オオキくん、じゃあね」
オオキ「ああ、また明日な」
ふと、カナケンの姿を見つめるカズエの姿。
カズエ「(ふーん・・・)」
しばらく二人でギターの練習。
そこへふとオオキが一言。
オオキ「あのー。センパイっていつからギターをやってるんですか?」
カナケン「あ?いや、最近だよ」
オオキ「最近って?」
カナケン「お前と同じ頃だよ。高1ンとき。」
オオキ「えっ?んじゃ、まだ初めて1年ですか?」
カナケン「ま。そういうことになるかな?」
オオキ「1年でこのギターテクニックはすごいッスよ!」
カナケン「いや、別に。他にやることないし。それにギターが好きだからさ。
お前も1年もすればこれぐらいになれるよ」
オオキ「ホントッスか?でもそんな自信ないなぁ・・・。」
(やっぱかっけーな)
心で思うオオキ。尊敬の眼差し。
しばらくギターの練習。
夢中になってギターを弾く二人。
その表情は本当に楽しそう。
しばらくして・・・。
カナケン「おっと。もうこんな時間だ。そろそろ行こうか」
オオキ 「あ、はい!」
片付け出す二人。
○駅前
練習を終えた二人がギター談義に花を咲かせている。
オオキ「それじゃ、ありがとうございました」
カナケン「おう。また明日な」
(オレもセンパイみたいになりてーなー)
そうおもうオオキであった。
3.「オオキ、カナケンに恋の相談」
次の日。部室にて。
カズエ「それじゃ、ボンちゃん、金城センパイ、さようなら」
オオキ「じゃーなー」
しばらく歩いてオオキが口を開いた。
オオキ「・・・あのー、センパイ」
カナケン「ん?」
オオキ「カズエちゃんって、かわいいっすよねー」
カナケン「ああ」
オオキ「オレ、カズエちゃんの事、好きになったみたいで」
カナケン「へー」
オオキ「いや、でも。別にこれからどうこうするっつーか、
そんなのも特に考えてはいないんスけど、ほ、ほら、
なんつーか・・・・・・・・、そう、意思表示!
他の人に打ち明けると気が楽になるし。
金城先輩ならいろいろアドバイスくれるかなーと思って」
カナケン「いや、オレに打ち明けてくれるのはいいが、
あんまりそういう恋愛とかに興味ないからな。
あんまり意見は出せないぞ」
オオキ「そうなんですか? 金城先輩、恋愛経験多そうなのになぁ」
4.「二人でいるところを目撃」
○公園
数日後。一人帰るオオキ。
すると、公園でカナケンとカズエの姿を見つける。
オオキ「あれ?金城センパイと・・・、…カズエちゃん!」
どうやらいい雰囲気だ。
オオキ「どうして二人が・・・」
するとカナケンはごく自然にカズエを抱き寄せる。
オオキ「!!」
そしてくちづけ。
しばらくの後、立ち去る二人。
動けず、あ然とするオオキ。
オオキ「(一体どうなってるんだよ・・・)」
(→実は二人はつきあっていた)
5.「真相 〜裏切り〜」
○学校(昼過ぎ)
昼休み。オオキは真相を確かめるべく、
カナケンを公園に呼び出すことに。
オオキ「センパイ、ちょっと話が・・・」
カナケン「ん? どした?」
オオキ「カズエのことなんスけど・・・」
カナケン「・・・」
なにやら決心した様子のカナケン。
オオキ「放課後、公園に来てください」
カナケン「・・・わかった」
○公園(夕方)
一人、公園でただずむオオキ。
するとそこへカナケンが登場。
隣には心配そうな表情のカズエ。
オオキ「・・・カズエの事なんスけど」
カナケン「・・・」
オオキ「・・・相談に乗ってくれてたんじゃないんですか?」
カナケン「・・・」
オオキ「どうして!」
叫ぶオオキ。
カナケン「・・・・・・・スマン。」
その瞬間、カナケンの頬を殴るオオキ。
オオキ「信じてたのに!信じてたのによーー!
カナケン「オレだって、カズエのこと、好きなんだ! 誰がどうのなんて前になっ!」
殴り返すカナケン。
カナケン「好きなんだよーー!」
繰り返し叫ぶカナケン。
しばしの乱闘。
そこにカズエの悲鳴!
カズエ「もうやめて!」
止まる時間・・・。
静寂だけがあたりを残酷に包んでいた。
カズエを見る二人。
カズエ「・・・ごめんね、ボンちゃん。ごめんね。ゴメンね・・・。」
カズエ「違うのボンちゃん。私の方からセンパイに告白したの。
でも、なかなか返事をくれなくて。すっごく迷ってて。
でも、今わかった。センパイはボンちゃんのことを考えてたんだなって。
結局、ボンちゃんもンパイも困らすことになるなんて」
泣きじゃくるカズエ。
カズエ「でも、ゴメン、ボンちゃん。私、センパイのこと好きなの。好きになっちゃったの。
冷たい感じだけど、すっごく優しくて…」
オオキ「・・・」
カナケン「・・・」
カズエ「自分のことより、周りを気にするセンパイが好きなの・・・」
夕暮れ。静寂。無言。
カズエ「だから、だから・・・」
オオキ「もういい。もういいよ・・・」
カズエ「えっ?」
オオキ「・・・」
沈黙。しばしの沈黙。
しばらくしてカナケンがカズエをつれて歩き出す。
カナケン「・・・。・・・カズエ・・・」
カズエ「あ・・・。・・・う、うん・・・。」
立ち去るカナケンとカズエ。
心配そうにオオキを見つめるカズエ。
オオキ「・・・。」
一人残されたオオキ。
流れる時間。静寂。
オオキ「・・・負け犬だな、これじゃ・・・」
そして唇をかみ締めるオオキ。
目にはうっすら涙があふれる。
その風景を傍らで眺めている一つの影。
ノリコ「・・・・・・」
○学校(午前)
次の日。やんちゃ3人組が
顔にあざをこしらえたオオキにからむ。
ナガクボ「あれ?どうしたんだよ、その顔」
オオキ「・・・・・・別になんでもないですよ」
訝しぶるナガクボ。
さかさずオオミヤとキクチもチャチャを入れる。
オオミヤ「はは〜ん、さては女子高生のパンツでも覗こうとして、
階段から滑って転んだんだな?」
キクチ「あはっ!モエモエっすね!」
笑いあう3人。
しかし、無表情でうつむいたままのオオキ。
オオキ「・・・まあ、そういうことにしておいてください」
立ち去るオオキ。
一瞬、あっけに取られる3人。
オオミヤ「・・・。な、なんだよ、ノリが悪いなぁ!
おい、ちょっと待てよ!!」
ナガクボ「・・・ったく、いったいどうしたって言うんだよ・・・。」
その光景もノリコは遠くで見ていた。
ノリコ「(どうしちゃったの?ボンちゃん・・・)」
6.「オオキ&ノリコ・すれちがい」
○街中(夕方)
部活終わり。一人下駄箱にいるオオキに
ノリコが声をかける。
ノリコ「ボンちゃん、たまには一緒に帰りましょ」
オオキ「・・・。好きにしなよ」
ノリコ「(いつものボンちゃんじゃない・・・)」
いつもなら、邪険に扱うオオキだが、最近は違う。
その理由はノリコは知っていた。
カズエだ。
カナケンと付き合い始めたことで、オオキの中の何かが
壊れてしまっている。
オオキ「・・・。」
ノリコ「・・・。」
二人、無言で歩いている。
ノリコ「・・・ふーん」
オオキの顔を除きこむノリコ。
それでも無言のままのオオキ。
ノリコ「あんたも大変ね。」
ノリコ「カズエちゃん。彼とのラブラブ話を聞かせてくるの。もー、こっちは大変よ」
しばらく話しつづけるノリコ。
しかしオオキ。
オオキ「・・・・・・ろ」
ノリコ「・・・えっ?」
オオキ「やめろ!やめてくれ!そんな話をするのは!」
突然叫ぶオオキ。
ノリコ「ど、どうしたのよ、突然叫んじゃって」
オオキ「・・・お前、オレがカズエの事、好きだって知ってて・・・」
ノリコ「・・・えっ?」
オオキ「どうなんだよ!」
叫ぶオオキ。戸惑うノリコ。
ノリコ「そんな、私はそんなつもりじゃ・・・」
オオキ「・・・じゃあな」
ノリコ「わたしは・・・」
去ろうとするオオキ。ノリコが叫ぶ!
ノリコ「・・・な、なによ!細かいことにウジウジと!こんなのボンドらしくないじゃない!」
オオキ「なんだと! ・・・・・・!!?」
ふと、ノリコの顔を見ると目が涙で溢れている。
あわてて視線をそらすオオキ。
ノリコ「私を殴ってごらんよ。さあ!ほらどうしたの?くやしいなら殴りなさいよ!」
オオキ「・・・」
黙っているオオキ。
ノリコ「昔のボンちゃんはどこいったのよ!」
オオキ「・・・お前にはカンケーないよ」
ノリコ「・・・こんなの私の好きだったボンドじゃない!」
夕暮れ。町並み。雑踏。
ボンド、しばらくの無言の後、去る。
その背中を見つめながら一言。
ノリコ「・・・・・・・バカ」
目に光る涙・・・。
○キョウちゃん&ウメちゃん登場
しばらくただずむノリコ。
すると突然背後から声が。
キョウ「ノーリコ!」
ノリコのクラスメートのキョウちゃんとウメちゃんだ。
あわてて涙をぬぐうノリコ。
キョウ「どしたのよ、ノリコ。こんなトコで・・・。あ、・・・あれ。オオキじゃない?」
ウメ 「何? あんた達付き合ってたの?」
ノリコ「えっ、あっ、違うわよ!」
ウメ 「ふーん」
キョウ「ははーん、怪しいわネェ」
ノリコ「うん、ホントに」
キョウ「まあ、いいわ」
○歩き出す3人(夕暮れ・商店街)
結局3人で帰ることに。
キョウ「私、将来女優になりたいと思ってるのよね」
ウメ 「アンタじゃムリだって」
キョウ「うるさいわねー」
ノリコ「・・・。」
楽しそうに話すキョウちゃんとウメちゃん。
隣でノリコは黙って聞いている。
キョウ「でも、女優ってどうやってなればいいのかわかんなくって」
ウメ 「うーん・・・、そういえばそうね」
キョウ「んでね、こういうとき、いい相談相手がいればいいなーって思ってるのよ」
ウメ 「ふーん。部員のみんなは?ナガクボ君とか」
キョウ「ダメダメ、あんなの。全然頼りにならないし」
ウメ 「んじゃオオミヤ君は?」
キョウ「イマイチねー。」
ウメ「キクチ君」
キョウ「問題外」
ウメ「わがままねぇ」
キョウ「うるさいわねー。
私はもっと大人の意見が欲しいのよ」
ウメちゃん、ちょっと考えて。
ウメ 「おとな・・・ねぇ。・・・あ、だったらキムさんは?」
キョウ「キムさん?(少し考えて)・・・誰だっけ?」
ウメ 「(あきれた様子で)あ、あんたねー、覚えておいてあげなさいよ。
フォーク部のOB2年で、結構いろんな人の悩みとかを聞いてるんだな、これが」
キョウ「ふーん」
ノリコ「・・・」
無言で耳を傾けるノリコ。
ウメ 「私も恋の相談に乗ってもらったりしたんだから」
キョウ「(こちらも呆れた様子で)はぁ?あんたがぁ?」
ウメ 「うるさいわねぇ。花の高校2年生。恋のひとつでもしますよーだ!」
ノリコ「・・・」
ノリコ、うつむいて何かを考えてる様子。
ウメ 「あ。そうそう。キムさん、
大森の駅前のパン屋で働いてるよ、確か」
キョウ「ふーん。んじゃ今度キムさんに相談してみようかな」
ウメ 「ま、女優の夢を考え直す方が先かもね・・・」
キョウ「・・・ちょ、ちょっとー!いま何て言ったーー!!」
じゃれあう二人。
ノリコ「(相談・・・。)」
ハッとしたようすのノリコ。
何かを思い立ったような表情で。
ノリコ「あ、ゴメン!私、ちょっと用を思い出しちゃった。悪いけど先帰るね?」
ウメ 「へっ?」
ノリコ「またねー」
走り去るノリコ。
二人「(顔を見合わせて)・・・どうしたんだろ?」
ノリコ、走りながら、
ノリコ「(キムさんなら、いいアドバイスをくれるかもしれない・・・)」
心の中でそうつぶやくのだった。
7.「キムラに相談」
○街中
次の日。晴れた日曜日の午後。
大森キムラパンの店の前。
ノリコ「キムさん、いないかナァ・・・」
店の中に入りづらく、中の様子をうかがうノリコ。
隣ではパン屋の格好をした男が
気分転換に伸びたりしゃがんだりしている。
?「うーん、はぁ、今日もいい天気だなぁ」
ノリコも店の様子をうかがおうと伸びたり、
しゃがんだりしている。
傍から見れば偶然にも同じ動き。
ノリコ「うーん、キムさん、いないのかなぁ?」
ただずむノリコ。隣で男はヒューマン・ウォッチングを
しながら楽しんでいる
?「お、あの女子高生、かわいーーー!あ、あの子もいいなぁーー」
ノリコ、訝しげな目で、男の背中を眺める。
ノリコ「(なに?この人)」
?「さてと、そろそろ店に戻るかな・・・」
ふと、店のドアの前で、目が合う二人。
ノリコが気づく。
ノリコ「あ、キ、キムラ先輩!?」
キムラ「へっ? あ。君は、確か・・・。」
ノリコ「はい、フォーク部2年のハツシバ ノリコといいます」
キムラ「あー、ノリコちゃんか。久しぶりだねぇ〜。元気かい?」
キムラはフォーク部のOBで、
高校卒業後、パン作りの旅に日本各地を回り、
「究極のパン」作りに日夜頑張ってる青年である。
お兄さん的なポジションにいて、
後輩から慕われている。
ノリコ「こんにちは。キムラさん」
キムラ「あれ?めずらしいね。どうしたの?ノリコちゃん」
ノリコ「えっ?いや。あの・・・。ちょっと相談にのって欲しいことがあって・・・」
キムラ「ふーん。・・・あ、じゃ、ちょっと待ってて。
今日は午後からヒケるから、そしたら近くの喫茶店で
メシでも食いながら話そうよ」
ノリコ「えっ? お仕事はいいんですか?」
キムラ「いいっていいって。かわいい後輩の頼みじゃ、聞かないわけにはいかないからな」
ノリコ「あ、ありがとうございます!」
キムラ「んじゃ、ちょっと待っててくれな?」
○喫茶店「ベローチェ」
昼過ぎ。ここは喫茶店「ベローチェ」。
店内はサラリーマンやらOLやらで賑わっていた。
食事を終え、コーヒーを飲みながらマッタリするキムラ。
キムラ「ふぅ、食った食った。・・・んじゃ、そろそろ聞こうか。」
ノリコ「あ。ハイ・・・。でも・・・・」
モゴモゴするノリコ。
キムラ「(笑いながら)ノリコちゃんは分かりやすいなぁ。
何か相談したいことがあるんだろ?
たとえば、恋の悩みとかサ」
ノリコ「えっ!!」
キムラ「BINGO!!」
ノリコ「・・・はは。やっぱりキムさんにはかなわないなぁ」
事情を説明するノリコ。
キムラ「ははぁ。なるほどねー。
オオキ君、好きな子をセンパイに取られちゃったわけか。
しかしなんだねぇ。オオキくんもスミに置けないねェ。
こんなカワイイ子を悩ませるなんてね」
ノリコ「私、ボンちゃんがカズエちゃんの事で
悩んでるのを見ていると、胸の辺りが苦しくなって・・・。」
キムラ「・・・」
キムラ「それで・・・。」
ノリコ「・・・それで、って言われても・・・」
モゴモゴするノリコ。
キムラ「どうしてオオキくんの事が気になるんだい?」
ノリコ「えっ?だってアイツとは幼なじみで、昔のアイツはああじゃなかったんで、つい・・・」
ノリコ「私、どうなんだろう?」
キムラ「なにがだい?」
キムラ「それが”恋”ってヤツなんだよ」
ノリコ「・・・コイ?」
キムラ「そう、恋。みんなそれを乗り越えて大きくなるんだ」
キムラ「恋って言うのはね、どんどん膨らんでいくモノなんだ。
気持ちがどんどん膨らんでいくのに、自分は動けないヤツってのが多い。
だからちょっとのコトですぐヘコんだりもする。
実際相手にしてみりゃ大した事でもないんだがな。
恋をうまく消化する秘訣は、そうだな、、、
”愛”にしてしまえばいいのかもな。」
ノリコ「・・・良く分からないです」
キムラ「はっはっは、まだノリコちゃんには難しいかな?
まあ、でも相手が困っていたら力になってやる事だよ。
いたわりの心は何にでも必要だからね。」
ノリコ「アイツがいけないんですよ。つまらないことでウジウジと・・・。」
笑うキムラ。
ノリコ「んもー、笑い事じゃないですよ」
キムラ「・・・・・・がんばってね。ノリコちゃん」
7.5 「自室にて 〜ノリコ、気付く〜」
○ノリコ自室
ベットに寝そべり、
天井を見つめながら、一人考える。
ノリコ「そっか、やっと気がついた」
どうして自分がオオキの事が
こんなに気になるのか・・・。
ノリコ「これが恋だったんだ」
どうしてオオキがカズエの事で
悩んでるのを見るとツライのか・・・。
その答えがやっとわかった。
ノリコ「私・・・。・・・ボンちゃんに恋してる・・・」
ふと机の上を見ると、
飾ってある、幼い頃の二人の写真。
(→ここで、ノリコはオオキへの想いが幼なじみから恋愛へと変わる。
以後、ノリコはオオキに話しづらくなる。)
8.「学校にて」
○部室(休み時間)
2年生の教室にカズエが入ってくる。
休み時間を利用して、カナケンに会いにきたのだ。
カズエ 「センパイ。今日は部活行きますか?」
カナケン「ああ。そのつもりだよ」
カズエ 「あはっ。よかった!」
そこへヤンチャ3人組登場。
オオミヤ「ヒューヒュー、お熱いねー!」
キクチ 「モエモエッスよねー」
ナガクボ「くぅ、憧れのカズエちゃんがこんな男を選ぶなんてぇぇ〜〜!」
カナケン「やめろよ、お前ら」
からかいあう男子部員。
それから逃げるように去っていくオオキ。
その様子をひそかに見るカナケン。
○部室(昼休み)
ノリコとカズエが二人でいる。
カズエ「・・・っというわけで、男の子達ったらからかって大変なんですよー」
目を輝かせて説明しているカズエ。
しかしノリコの表情はどこか抜けている。
ノリコ「・・・ホントね」
カズエ「あれ?どうしたんですか?元気ないみたいですけどぉ〜」
ノリコ「えっ?あ、いや。なんでもないわよ。アハハ」
上手くごまかすノリコ。
しかしカズエの目はごまかせない。
カズエ「はは〜ん。さてはセンパイ。恋してますね!」
ノリコ「!! えっ? あ、あはは。いやね、何言ってるのよ。冗談やめてよね」
カズエ「私はこういうの当てるの得意なんです」
ノリコ「いやだ。ホントにそんなんじゃないんだったら」
カズエ「そうですか?ならいいんですけど」
ノリコ「・・・うん、ホントよ。わざわざ気を使ってくれてありがとね。
それじゃ部室の片付けしましょうか」
カズエ「はい!それにしてもいつも散らかってますよねぇ」
ノリコ「・・・ホントね。」
8.5「避けるノリコ」
○昼休み
廊下でバッタリ出会うオオキとノリコ。
ところが・・・。
ノリコ「・・・」
オオキ「お、おい。ノリコ!」
オオキから逃げるように去っていく。
オオキ「どうしたってんだよ」
ナガクボ「ったく、気がついてやれよ」
オオミヤ「一番近くでお前の事を一番思ってるヤツだよ」
キクチ「ニブニブっすねー」
オオキ「・・・?」
ナガクボ「しょうがねーヤツ。まあいいや、またな」
去るやんちゃ3人組。
オオキ「・・・ったく、なんだってんだよ」
○放課後
キョウ「あ、ボンちゃん」
オオキ「オッス」
ウメ 「今日はノリコと一緒じゃないんだねー」
オオキ「(こいつらも・・・?)」
部室へ向かうオオキ。
○部室
そこにはカナケンがいた。
対峙する2人。気まずい沈黙。
オオキはあえてカナケンとは反対側の隅に座り、目を合わせないようにしている。
沈黙を破ろうと、ギターを弾こうとしたその時、
カナケン「…ハツシバに言われたんだよ」
カナケンが言った。
カナケン「オオキは、ホントは誰よりも優しい男だってな」
オオキ「・・・」
カナケン「オレがカズエを遊びにしか思ってないと
思われちまったのも仕方ねーよな」
オオキ「・・・」
カナケン「まあ、なんていうか、アレだよ…。」
オオキ「・・・」
カナケン「その・・・・・、わる…」
オオキ「…悪かったです。」
カナケン「えっ?」
オオキ「オレが悪かったです。マジで。
オレ、…情けないぐらい子供っぽくて、
あいつのことになるとついムキになっちゃって。。。。」
感情をあらわにするオオキ。
オオキ「その、だから…!」
カナケン「…いや、いいんだ、こっちこそ大人気なかったよ」
オオキの頬を殴るような仕草をしながら、
カナケン「お前のパンチ、マジで効いたぜ」
オオキ「先輩・・・・、
…カズエの事、泣かせるようなことがあったらオレが許しませんからね」
カナケン「(笑いながら)親父みたいな事言うなよ」
笑顔の二人。
カナケン「あ、そうそう。ハツシバに礼、言っておけよな。
あいつ、なんだかんだで一番お前の事を心配してるんだぜ」
オオキ「えっ、あいつが・・・?」
カナケン「あいつの気持ちに気付いてやれよ」
オオキ「・・・」
○帰り・下駄箱前
外はぽつぽつと雨が降り始めている。
すると目の前に雨宿りをしているノリコを見つける。
カナケン「ほら、行けよ、オオキ」
オオキ「・・・」
カナケン「ほらっ!」
背中を押す。
ゆっくりと近づくオオキ。
背後から声をかける。
オオキ「あー、よかったなー、傘持ってきて」
ノリコ「・・・」
オオキ「・・・入るか?」
ノリコ「・・・うん」
カナケン「・・・がんばれよ、オオキ」
後ろで見守っているカナケン。
○帰路
オオキ「しっかり者のお前が傘持ってこなかったなんて珍しいな」
オオキ「オレがいなかったらダメだったな」
ノリコ「・・・ううん、ボンちゃんに会いたかったから待ってたのよ」
オオキ「えっ・・・」
空。シトシトと降る雨・・・。
9.「オオキ、告白」
○夕方
部活が終わり。オオキとノリコ二人で歩いている。
オオキ「おかげで金城センパイと仲直りしたよ」
ノリコ「そう、よかったわね・・・」
そして沈黙。
気まずい雰囲気。
すれ違う人々。ほのかに灯る街燈。
その時突然、オオキが叫んだ
オオキ「ノリコ!」
驚くノリコ。
オオキ「なんか、オレ、いつも迷惑かけてたよな」
ノリコ「・・・」
オオキ「上手く言えないけどさ、オレ、オレ・・・!」
ノリコ抱きしめるオオキ。
顔を赤らめ、恥ずかしそうにうつぶせるノリコ。
オオキ「…あ。ゴ、ゴメン」
手を離そうとするオオキ。
だが、、
ノリコ「・・・ううん」
逆にオオキを強く抱きしめるノリコ。
胸に顔をうずめながら、一言。
ノリコ「…大きくなったね、ボンちゃん」
夕焼けが二人をやさしく包み込む・・・。
10.「エンディング 〜フォーク部人気投票〜」
(→以後、スタッフロールを流しながら)
○廊下(昼休み)
男子部員が集まる。
オオミヤ「それじゃ、いよいよ始めるか!」
ナガクボ「おれまだ悩んでるよ。誰にしようかなぁ」
オオミヤ「いっちゃんもいいよなー」
キクチ 「萌え萌えッスよね〜」
カナケン「オオキも書いたか?」
オオキ 「・・・はい、お願いします!」
カードを手渡すオオキ。
カード、ズームアップ。
「世話ッ焼きの幼なじみ」の文字。
END
エンディング後のテロップ
「私にも、いつか一番好きになる人が見つかる。」
「その人も私の事を一番好きになるって信じて。。。」
「みつかるさ」
「大丈夫さ、絶対見つかる。。。」
「ありがと・・・。」
アマノ的チェック(編集後記)
まず、港区の方は知らないのはアレですが。
「三田高生は普通に一緒に帰ります」
別に男女関係ないです。よって一緒に帰った云々とウメちゃんが責めるのはおかしいかと。
ケンカのシーンですが、「好きになっちまった」はあまりにも泥臭いんで、変えてみました。
「好きになるのに理由はいらん」的な論点でカナケンに語ってもらいます。
仲直りですが、カナケンから謝るってのは今の流れではおかしいでしょう。逆ギレかましたのはオオキの方ですから、オオキが謝るべきです。
そして「泣かせるようなことが〜〜〜」これを真顔で言うヤツは近くに居たくないです(笑)変更してみました。
喋らせる言葉に、キャラ立ちが反映されてない点が多かったと思います(特にカナケンがおかしい)。役まわり、性格を吟味してセリフを考えないと、違和感が出てきますよ。ちょっと直した点があるので、よーく観ておいてください。
キムラのトコロ、あんまり書けてないからもっと考えてくださいね。
あー、投げやりでスマンです。
読まれたらぜひぜひ感想ください!
おたよりお待ちしていま〜す☆
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