■軋み■

喜びも怒りも
どこか遠く
微かな悲しみだけ残っているよ

君の事を思い出す時
僕は試されてるような気分になるんだ
あらゆる物に価値を見いだそうと
あらゆる物に意味を問いただそうと
まるで言い訳を探すように考えるんだ

本当には必要ないものを
手放せずに
本当に必要な物を捨てようとしている
隙間は広がるばかりで
僕は空白に飲み込まれる



■酩酊■

脳がバターみたいに溶けてしまう
その前に僕を起こしてくれないかな
僕達はみんな
神様じゃなくても
誰に祈りを捧げるか選べるだろう

悲しいのは
君のせいじゃない
気がすむまで
自分を責めれてもいいけれど
僕にはそんなこと
言う必要はないんだよ

眠り続けるのは
もううんざりだ
脳がバターになってしまうようで
ただ苦しいだけなんだ
まばたきを一回
それからまた目を閉じた



■穏やかな日々の為の習慣■

見て

彼に群生する植物性の邪悪

何もかも吸い尽くそうとしている

手後れにならないうちに

何とかしなくちゃいけないんだ

何も残さず 片付けながら日々を送る

いつの間にか失くしたものが

ある日突然出てこないように

自分の手で片付けるんだ

それが僕らの生活習慣

生きていくためのルールなんだ

けれど彼に絡み付く 深緑の悪夢はどうだろう

行く道すべてを塞ぐ

伝説のいばらのように

目がさめるのを妨害している

いつの間にか失くしたものが

彼の傷口を広げているんだ



■ワーム■

カフェイン
まだ足りない
パーフェクトが必要なんだ
体はいつも通りの不調を訴える
耳を塞ぐかわりに音楽をかけるんだ

一部は常に暴走している
一部は常に冷えきったまま
とりあえずカフェインを
目を開けておいたほうがましだ
何も見えなくってもね

叫びだしたい衝動や
めまいを起こしそうなスピードに
どうやって耐えているのか
気が触れていないって
どうやって証明したら良いんだろう

コーヒーを入れてくれるかな
明記の量よりひと匙多く
ひと匙だけ多く



■7月■

視界が歪んでいる
世界が歪んでいるのかな
もう少ししたら
雨もやんで
緑の広がる美しい季節が訪れるのに

君と話すと涙が出そうになるんだ
まるで僕が孤独みたいに
まるで僕が可哀想みたいに
信じてしまいそうになるよ
君が僕を追い詰める
理由はわからないけど
君の幸せな世界に誘われても
僕の答えは「いいえ」だ
いつだってそう
それしか用意してないよ

君の目には何が映っているのかな
少なくとも僕じゃないんだろう
君はまた幸せを売りに来るけど
僕の答えは「いいえ」だよ
これからもそう
他には何も用意してないよ



■高潔な光■

僕の両腕は粉々に砕けてしまった
夜がやってきた
夜がやってきた
辺りはもう

静寂に怯える
神経質な眼差し
僕を君のすきなようにしないで
君は墓地に絡むイバラのイメージ
か細い腕でずたずたになるまで抱きしめるんだ

僕の両腕は粉々だけど
魂まであげる気はないよ
この心は服従しない
辺りは夜で覆われたけれど
僕は夜明けの高潔な光を知っている
それは誰も心から奪う事はできない光だ

僕をすきなようにしないで
僕の両腕は粉々だけど
魂が君を拒絶するだろう