■氷の破片■

鮮烈な清浄

それはあまりに美し過ぎて

瞬く間に僕は汚染された

属性は光

ああ眩しすぎる

僕は倒壊寸前

焼け付く雪のような白

ああ愛しいきみ

僕は逃げる

凍える領域

穢された心を隠しながら

君から逃げる

神様の涙でも もう僕を救えはしないだろう



■衝動■

疾走する闇の中

どこまでも

視界のギリギリにちらつく

あのラインを越えたい

震えているのは 何のためか

炎上する星のかけら

空に昇る煙

朝の下でなくても 光はあるから

願ってしまった

取り返しのつかない夢



■孤高■

凍てつくような空気

痺れる感覚

君のこころの

誰も住めないがゆえの聖域

目に見える事さえ疑った

君には何も届かなかった

僕の言葉はかき消されて

今にも落ちてきそうな空の下で

高すぎた壁にうなだれていた

そうして夢見るように

たいせつな

何かが壊れるのを待ってる



■水中花■

僕を取り巻く花の香りの

むせかえりそうな囁き

蜜の様な甘い言葉

あぁけれど 欲しいものはそこにない

遠く密やかに

水底に咲くきみ

なんて鮮やかに歌う人

きみの周りに花はない

あぁけれど

やさしい人

きみを取り巻く水の流れにさえ

嫉妬しそうで

僕はあさはかな自分を笑った



■絶えた信仰■

きみを疑ってると思いますか

いいえ僕は全てを信じていないだけです

自分の意志で手に入るものなど 限られているから

世界はきっと美しい

きみは運命とか言うけれど

そんなものは無いんです

始めから

僕らの選べるモノのなんて少ない事

盲目的に何かを信じる事はもうやめた

祈る事も呪う事も無意味で

僕らはそれでも進むしかない



■夜桜■

儚いきみを愛した

風の中

散っていく薄紅の花びら

手をすり抜ける水の香り

留める事は叶わなかった

きみの呼吸

白い壁

もう誰も

きみをいじめたりしない

ようやく訪れた終焉

待ち望んだ春

夢のように きみが笑った

こんな世界 消えてしまえば良いと

本気で想った