■色彩■

雨の音

かき消された鳥の羽音

憂鬱な錯覚

めまぐるしい幻覚

心はいつも上の空で

灰色の景色を悲しんでいる

風がやんだら

何処へ行こうか

星ほどの明るさがあれば

怖い事もないだろう

帰りたいところなんて無いよ

あのきれいな花のみえるところ

色鮮やかな世界へ

僕をつれていってよ



■交信不可■

毎日を生き延びるために

支払われる代償

消費されるだけの心

どうして皆気付かないんだろう

僕らはけっして交わらない

一本の平行線の上を歩いている

そう言葉だけが

目に見える形だけが

光速を越える条件だから

明日に届く想いは幻想に過ぎない



■音■

僕の優しいひと

きみの声は空色

目を閉じると儚い

きみの愛でた言葉の余韻

舞い散る花びらの

甘い囁き

心に積もる

きみの音



■冷たい手■

かみさま

何もかもが呪わしく

壊れてしまえばいいと

そう思った自分の手の冷たさが

おそろしいです

こんな心はいらない

光はあまりに遠すぎます

やさしさも

あわれみも

踏みにじってしまった

隔たり

それは僕が作ったから

もう帰れない

あたたかかった

あの場所へ



■夜の底■

僕たちの夜空に星は無い

声に出すと震えてしまうから

言葉は神様に捧げてしまった

それが一番キレイに見えた

世界の果てがここより暗いか

そんなことは知らない

死んでいく花達の涙に群がる

虫の目は赤い

僕たちは火のはぜる音が 聞こえないふりをした

訪れない朝

強制されたうつろ

もういない鳥

僕たちは夜の住人

光のことを知っていた

光が無いと知っていた



■深海の魚■

ため息

落ちていく穴には

底が無い

このまま眠って仕舞えたら

なんて幸福

閉じてください

明かりが入らないよう

それが安心

見えないから怖くないでしょう

言葉さえ不要

だから

灯りの届かない部屋で

心を無くしているの