■赤い花■

優しい夢だった

どうして泣いたりしたんだろう

温かいきみの手

神様が見ている

時計の針は僕の胸に刺さったまま

音をたててうるさい

きみの所へ行くための

白い白い羽を集める

赤い花畑

迎えにくるのが天使じゃなくてもかまわない

きみのため 僕の作った花畑

涙が止まらないのは

どうしてだろう

きみが見ている



■蝶の羽音■

散 散 散とガラスの音

透明な色への憧れ

涙さえ及ばない

狙っているのは 無知なる善意の 獰猛な牙

光について

痛みしか知らない

息を殺して舞っている

蝶の羽の色は闇

どこまで飛んで 身を隠せば

その心を癒せるのか



■雪■

耳をすまして

聞こえるのは絶望の歌

甘い泥濘

帰れないならどうか

雪が地を覆うように 透明な色に穢されたい

思考が焼き付くほどの

強烈な白

棄てたいのは

自分の心



■遺言■

生きながら朽ちていく

気温の低下は抑えようもなく

逃げて行く鼠の群れを見たかい?

僕はもうもちそうにない

明日は届かず

光はもう 必要無い

さようなら大切な人

キレイな心はキミにあげる

キミは忘れてしまうかもしれないけど

僕はキミがすきだった

さようなら



■幸せな人■

僕が泣いて見えるとしたら

それは君の誤解だよ

憐れんでくれなくても良い

僕が幸福でないなんて

どうか決めてしまわないで

君からしたら

僕は夜の中にいるのだろうけど

朝日のような

温かさを知っている

それで十分なんだ