■光の真下■

絶えまなく

僕らは進化を強要される

届かない高さで手を差し伸べる天使

すべては頭上にしか存在しない

僕の名前も顔も声もきっと明日へは残らないだろう

何か一つ持っていけるなら

どうか言葉を

一瞬を焼きつけた言葉だけを

僕は抱えていくだろう

いつか巡る神様の国へ



■蝙蝠■

目を閉じると痛々しい君の翼が

病んだ空に落ちていく残像

とてもとても恐い夢をみるんだ

たくさんの可愛い小鳥達が

ほら僕をついばみにやってくる

闇さえ埋め尽す

色とりどりの悪夢

ああ神様

逃れられるなら心だって売り渡す

穢れた蜘蛛に祝福のキスを



■0■

歪んで歪んでもう元の形なんてわからない

戻れない所まで後少し

どうか僕に

冷たくしないで

優しくしないで

+も−もあとひとつで僕は壊れて

取り返しのつかない静けさが

世界に降りてくる



■記憶■

透明な

響く

急速に

世界を

包む

遠く

意識の果て

君を想う

目を閉じたその最後の時まで



■春■

ずっと水底で眠っていたのに

何もないそれが平安だと信じていたのに

君の手が

あまりにも温かかったので

離したくないと思ってしまった

微かな痛みを伴う

君の笑顔が

今にも消えてしまうような気がして

自分の留まる

水の冷たさを知った



■夜■

祈りを捧げよう

すべての歪みゆく者たちに

せめて微かな月明かりが

彼等の上にも平等に降り注ぐよう

何も知らない誰もが酷いことを言う

まるで砂糖に群がる蟻の姿

闇はそこに在るかもしれない

僕の前や君の後ろに

けれど太陽が地上を照らさなくなっても

君が笑ってくれるなら平気だから

夜がその冷たい吐息と一緒に世界をとりまいても

もう僕を怖がらせることはできない