総論
冒頭で述べたように、日本人は信仰心が極めて薄い民族なのだ。邦楽の世界において宗教的な楽曲を作るアーティストが少ないのは仕方のないことだろう。今回紹介したスピッツも鬼束ちひろも確かに"宗教的アーティスト"とは言えるだろうが、決して"宗教アーティスト"ではなかった。要するに、徹底して宗教的な楽曲を作り続けるようなアーティストは邦楽の世界には全くと言ってよいほどいないのである。逆に、もし宗教的な楽曲ばかり作るアーティストが日本にいたとしても、日本人は信仰心が薄いのだから、ポピュラリティを獲得できるはずもなく、インディーズの世界で地味にコアなファンに向けてのみ活動をするしかないのである。今のToshiがそれに当たるわけだ。ここ何年かで、公の場でToshiを見たことのある人がどのくらいいるというのだろうか?
しかも、今はただでさえCDが売れない時代なのだ(2002年にミリオンセラーとなったシングル曲はわずか一曲のみ!)。大物アーティストでさえ趣味だけの(マニアックな)音楽では食べていけないのである。言ってしまえば、この時代、音楽で食べていくためには幅広い年代に受け入れられるようなわかりやすい楽曲を作るしか道はないのである。したがって、今日において宗教ソングがポピュラリティを獲得し、チャートの上位に現れることはまずありえないだろう。こういった現状を踏まえると、これからも邦楽の世界で宗教と密接に結びついたアーティストが現れる(日の目を見る)ことはほぼないと言えるだろう。どの道、邦楽(J-POP)と宗教は結びつかないのである。
参考文献
「スピッツ」ロッキング・オン株式会社 1998年
「音楽誌が書かないJポップ批評20 ブルーハーツと『日本のパンク』」宝島社 2002年
「フライデー 2002年12月27日号」
参考電子文献
鬼束ちひろファンサイト「月の光を浴びながら〜鬼束ちひろの世界〜」
http://homepage2.nifty.com/apo-k/oni.htm
Toshiオフィシャルサイト「Naturally」
http://www.toshioffice.co.jp/top.html
X JAPAN アンオフィシャルサイト 「Violet」
http://www.cityfujisawa.ne.jp/~mamoru/
3B LAB.☆ オフィシャルサイト
http://www.hitvibe.co.jp/3blab/
創価学会公式ホームページ 「Soka net」
http://www.sokagakkai.or.jp/index.html
新興宗教に入っている芸能人一覧 内海総合研究所調べ
http://www1.odn.ne.jp/~cad79480/syukyo.html
参考音源
*スピッツ アルバム「スピッツ」(ポリドール、POCH-1080)
「名前をつけてやる」(ポリドール、POCH-1103)
「惑星のかけら」(ポリドール、POCH-1148)
「Crispy!」(ポリドール、POCH-1270)
「空の飛び方」(ポリドール、POCH-1392)
「ハチミツ」(ポリドール、POCH-1527)
「インディゴ地平線」(ポリドール、POCH-1605)
「フェイクファー」(ポリドール、POCH-1685)
「8823」(ユニバーサルミュージック、POCH-4001)
「三日月ロック」(ユニバーサルミュージック、UPCH-1172)
ミニアルバム「オーロラになれなかった人のために」(ポリドール、POCH-1133)
*鬼束ちひろ アルバム「インソムニア」(東芝EMI、TOCT-24560)
「This Armor」(東芝EMI、TOCT-24750)
「Sugar High」(東芝EMI、TOCT-24902)
*Toshi アルバム「made in HEAVEN」(BMGビクター、BVCR-114)
「MISSION」(BMGビクター、BVCR-657)
「GRACE」(BMGビクター、BVCR-692)
「あおい宇宙の旅人」(BMGジャパン、BVCR-774)
*3B LAB.☆ ミニアルバム「3B LAB.☆」(ビクターエンタテインメント、VICL-61005)
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