言わずと知れた日本最高峰の山。標高3776m

その美しい姿はまさに日本の象徴と言っても過言ではない。

古くから多くの書物に登場し、「竹取物語」では大勢の武士を登らせて、かぐや姫が帝に贈った不死の薬を天に一番近い山で燃やしたことになっている。それからその山はふじ山(富士山・不死山)と呼ばれるようになったとの命名説話が残っている。

 

僕が初めて富士山を訪れたのは大学1回生の時。ふと富士山に登ってみようという気まぐれからだ。

それまでも新幹線からその雄姿は何度か拝んだ事はあったが登ろうという考えには至らなかった。

たまたま富士山の近くを通り、たまたまその時登山シーズンだったという偶然が重なっての富士登山。僕の人生を変えた出来事の一つになった。(この後数々の山に登る事になる・・・)

 

今までに富士山には4回登っていて、最初の登山は富士宮口ルートから。

頂上はマイナスの気温になる事や雨がかなり降ったり止んだりするという予備知識など当然あるはずもなく、食料もお菓子を少し持っている程度と今考えるとかなり危険な状態での登山だった。

しかも2〜3時間で頂上だろうと遠足気分で歩き出す始末。

朝7時からスタートして、4時間後やっと8合目。この時点で初めてこれはヤバイと悟る。食料なし、水なし。山小屋には通常の値段の数倍でそれらを売ってるが買うお金も無し。

山小屋に続々と宿泊者が入って行く・・・。

「え?もしかして途中で泊まるの?」

少し不安になる。

後から分かったが日帰りで頂上まで登り下山する人はあまりいないそうだ。

 

8合目からは神域。島居をくぐると浅間大社の境内。ここからは県境がないらしく静岡県でも山梨県でもないとの事。

雨に打たれたりしながら2時頃やっと頂上。気温0度。僕は半袖。寒気と頭痛で疲労はピーク。今思い出してもゾっとする。

頂上の神社で少し暖まりすぐに下山。

暗くなったら終わりだと真剣に焦り、転がるように下山道を走る。

7時過ぎに無事下山。頭痛がひどく、悪寒と吐き気でダウン。車で寝る。

これが記念すべき富士山デビューだ。

「富士山に 登らない馬鹿 二度登る馬鹿」

という言葉がある。日本一の山に登らない人はバカだ。しかしその道中の厳しさから二度登るのも馬鹿だという揶揄。

 

僕は4度も登った大バカだ。

 

1回目の苦い経験があったので次回からは準備万端。比較的登りやすい河口湖口からスタートし山小屋にも泊まり、御来光も拝み、ちょっとした富士山マニアに成長した。

雨で頂上まで行けなかった事や御来光が拝めなかった事もあるがそれはそれで思い出の一つ。

苦労して登り日本で一番高い場所に立った時の達成感は何とも言い様が無い。

「あ〜、今この瞬間僕は日本で一番高い場所に立ってる人間なんだ〜」

頂上でそう思う瞬間が大好きだ。

そして遥か彼方からゆっくり昇って来る太陽を見た時の感動は今でも忘れる事が出来ず僕の胸の中で輝き続けている。



また登りたくなってきたなぁ〜・・・。

2005年8月18日〜20日のchikaraの日記に富士山の写真、記事あり。