第33章

MANSUN オフィシャル・サイト・インタビュー

(17 December 1998)


《おことわり》
この翻訳インタビュー・シリーズは、完全な版権無断使用企画です。いや、DaveやSuziなら頼めば快く了承してくれるとは思うけど、めんどくさいのでやってないだけ! まあ、日本語だし、抜粋だけだからいっかって感じで。だから彼らにチクっちゃだめよ。

◆ 続いての話題はオフィシャル・サイトのDavid Nattrissが昨年12月17日にやったPaulとChadのインタビュー。
★ オフィシャル・サイトちょっと変わったよね。
▲ うん、Daveが正式にウェブマスターになったから、これからはもっと充実させていくって言ってた。《彼、その後下ろされちゃいましたが、彼が作ってたときのほうがずーっとおもしろかった》
● じゃ、これまではそうじゃなかったの? ほとんどこの人ひとりで作ってたんじゃないの?
◆ いちおうチームで運営してたんだと思う。でも今度はDaveが全権を握ったということでしょう。これはいい傾向。ひとりのほうが好きなようにいじれるから。
★ その代わり、手間も大変。このインタビューだって1万語のテープ起こししたっていうし。この人何やってる人?
▲ コンピュータ・サイエンスを専攻する大学2年生で、ウェブ・デザインの仕事もしてるって。Mansunのトリビュート・バンドをやってるという噂もあったな。
◆ やっぱりウェブマスターは理系の学生が圧倒的に多いね。《初期はそうでしたが、今は私でも作れます》
● でもよくこんなことやってる暇あるね。
◆ それでも学生だからまだできる。ウェブマスターの中には就職して暇がなくなったからって、サイトを閉じる人もよくいる。《仕事は手を抜いてもサイトは続ける人(私)もいる》
▲ なにしろ無料奉仕だからねえ。《そうです!》 ほんとありがたいことです。私はこのサイトにならお金払ってもいいぐらいなのに。
◆ それで内容はというと、ウェブで募集したファンからの質問にPaulとChadが答えるというもの。
● ただ、Mansunのインタビューはいまいちおもしろくないんだな。まじめすぎるから。
★ ファンに対するインタビューだとよけいまじめだしね。
◆ でもそれだけじゃない。目玉はそのインタビューのサウンド・クリップがついてること。PaulとChadの肉声が聞ける! タイプしたものもあるから英語の勉強にもなる!
★ けっこう聞いてるような気がするが‥‥
◆ でもこうやってじっくり聞くとまた違うでしょ。
● ああ、でも前に聞いた通りだ! Paulはあの低い美声とすかしたアクセントで、ていねいなもの柔らかい口調で、ただし無愛想に話す。
★ ていねいで無愛想ってのがわからんが。
● だって見たままじゃん。あのポーカー・フェイスを想像すると、よけい情景が目に浮かぶ。いかにも暗くて内気そうなところもマル。
▲ でもこうやって聞くと、Paulはけっこう訛ってるね。やっぱりウェールズ訛りに近い。
◆ このアクセントがすてきなんじゃない。
▲ Richeyの時はまぬけだの田舎者だの言ってくれたのに。
★ やはり声の良さの違いが大きい。
● Chadもけっこういい声だよね。こっちはPaulよりさらに内気で言葉少なだが。
▲ でもアクセントがPaulとぜんぜん違う。こっちのほうが普通。
◆ 彼はたしかChester出身じゃないでしょ。

★ それでかんじんなインタビューの内容は?
◆ これは質問が悪いんだよな。もうわかりきってる当たり前のことばかり訊くから。
● そういうあなたは出さなかったの?
◆ なんとなく機を逸してしまって。
★ もし私が質問投稿するとしたら何を訊けばよかった?
◆ ‘Are you a gay, bi-sexual or celibate?’
▲ ノーマルってのは思いつかないのかよ?
◆ そういう自分は?
▲ ‘Why are you interested in Marquis de Sade? Have you ever experienced any kind of sadomasochistic sex?’
★ どっちも下ネタじゃないか! おそれ多くもPaul Draperに向かってそれしか訊くことないの?!
● でもそれどっちも質問状にあるよ。
◆ えー! ということで、その答はちょっと置いて、●だったら?
● ‘Marry me please or I'll die.’ってところかな。
★ そりゃ、質問状じゃなくて脅迫状だよ!

◆ ってところで、せっかくだからインタビュー読んでみましょうか。なにしろ膨大な量なんで、気になるのだけね。
● 「なんであなたたちはビデオに出ないの?」という質問は?
★ “Taxloss”のビデオを見たとき、これがMansunのベスト・ビデオだと思ったんだって。私も同感だけど。それであのビデオには自分らが出演していなかったから、“Six”からのビデオは全部その路線でやることにしたんだって。でも年が変わったし、シングルの“Six”は彼らとしては久々にポップな曲なんで、また出ることにしたんだって。
▲ おお! “Six”を撮るのはRadioheadの“No Surprises”を撮ったGrant Geeだって! これは期待できそう。
● それってどれだっけ?
▲ 金魚鉢ビデオ。
● それっていちばん見苦しいやつじゃん!
★ それはThom Yorkeの顔が見苦しいだけでしょ。
◆ でもあれにはぜんぜん似てないって。
★ あたりまえでしょ。
◆ MagazineやElvis Costelloみたいなニュー・ウェイブ調のローファイなやつになるって言ってるけど、それってどういうことかな?
★ 要するに古くさくて安っぽいって言ってるみたい。《まんまでしたな》
▲ でもCostelloのビデオは良かったよ。Magazineのなんて一度も見たことないけど。
◆ New Waveの時代といえば、ビデオはよほど今より凝ってたからな。まあ、楽しみ。
● 私はPaulさえお耽美に撮ってくれればなんでもいいのに。

▲ “Six”にはMarxの名前が何度も出てくるけど、「マルキシズムを信じてるのか」っていう質問は?
● べつにどうでもいい。
◆ これは▲の領分だから、いちおう書かせてあげよう。

Paul 「バンドとしてのMansunは政治的だったことはない。むしろ政治を信じないって意味で反政治的というか。政治についてのぼくの考えは、人は権力を求めるというだけで、そんなやつには投票もしたくない。ぼくらは誰ひとり政治的じゃない。ただ、ぼくらはみんな思想的ではあって、ある種の価値観を持っているとは思う。純粋なマルキシズムは、そのもともとのコンセプトみたいなものは、いかに生きるべきかについてのいい指標だ。(中略)
 Mansunは理想主義的だと思う。ぼくらはつねに理想主義的だった。いつも理想を追い求めては挫折するみたいな、悲劇的な理想主義者。だけど、どんなに挫折しても理想をあきらめたことはない。(後略)」

★ なんかまるでRicheyのセリフみたいだね。
● ていうか、まんまRicheyの受け売りじゃない? 「敗北を運命づけられた理想主義者」ってあたり。
★ それはまたClashからの受け売りだし。
◆ まあ、▲が抵抗できないっていうのはわかりますね。
▲ じーん‥‥
● 願わくは、Mansunも先人のあとを追うことがないように。
★ でも疑問なのは、Manicsなんかとっくに資本主義に身を売ってるのに、なんでまだManicsをほめたたえるのか‥‥
▲ 黙れ黙れ黙れ!
★ 人から言われると怒るんだから。
▲ Manicsが資本主義者なのは元からだ。「Sonyの情婦」とまで言われたんだから。
◆ だったらMansunは「EMIの情婦」か?
● でもこの人たちは敗北することが美学なんだからこれでいいのか?
▲ うるさい! Mansunに限って敗北なんかしない! Mansunは!
◆ ああ、この話はやめましょう。こじれるから。

● なんかもっと楽しい話ないの?
◆ あの暗いPaul Draperに楽しい話をさせようってのが無理ってものなんじゃ? 「やめたメンバー(ドラマー2人とキーボーディスト)はなんでやめたのか?」ってのは?
▲ これについては、MansunはAndieの加入まではあくまでPaul、Stove、Chadのトリオで、あとは友達がスタジオに出たり入ったりしてただけという答。
★ 最初からAndieをドラマーにしたかったんだけど(彼はChesterでいちばんうまいドラマーだったそうで)彼は別のバンドに入っていたのでだめだったんだって。
● へー、Paulってレコード・コレクターとしても有名なんだ。Magazine、Bowie、Princeのコレクションは相当なもんだそうだ。
◆ Princeってところだけが、私と相容れないんだが。
▲ でも90年以降のPrinceはきらいだって。たしかに昔のあの人はちょっとすごかったよ。
● そりゃ音楽はともかく、人間がいやだ。あんなチビで女々しくていじけた、暗い男は。
★ それってまんまPaulのこと言ってるみたい!(笑)
● 顔が違う!
◆ 実に明解なお答え。

★ 諸説入り乱れてる名前の由来に関しては、Charles MansonにならってMansonだったんだけど、EMIがMansonの商標権もってたので1字変えたというのが、やっぱり正しいみたいね。
▲ なんでそういう悪趣味な名前を付ける? よりによってあんな情けないチンケな小悪党。
● DahmerやNilsenならいいのかよー!《いずれも連続殺人鬼の名前》
▲ そういうもんでもないが。このネーミングはMansunの唯一の汚点と言っていいな。どうせ名前変えるなら、ぜんぜん別のにすればよかったのに。 そうすればMarilyn MansonやHansonみたいなブタのクソと間違えられずにすんだのに。
★ Marilyn Mansonと間違われたことはないそうだよ。(そりゃま、そうだろうな) Hansonと間違われるのはしょっちゅうだそうだが。Paulはよく「写真で見るより老けてるんですね」と言われるそうだ。(Hansonの男の子は17のガキ)
● Paulのほうがずーっとずーっとずーっとかわいいもん。十分17に見えるし。

▲ 歌詞についてなかなか興味深いことを言ってる。

Paul 「(“Grey Lantern”はもっぱらChesterとそこに生きることについての歌だという話に続いて)Mansunはつねにアウトサイダーのバンドとして見られてきたし、今でもそうだと思う。(中略)
 スモール・タウンの表面下で、つまりイギリスの‘stiff upper lip’や‘reserved society’の下では《ええーと、なんて説明したらいいんだ? これはどっちもイギリス人気質を言うときによく引き合いに出される言葉で、つまり感情や喜怒哀楽をあまり表に出さなくて気取ってるってことです》、そんなきれいごとじゃないってことさ。
 あれはすごく暗いアルバムだったと思う。でもどっちのレコードにも、それについてのユーモアはたくさん入ってるよ。“Six”はすごくユーモラスなアルバムだと思う。“Witness To A Murder”にしろ、“Television”にしろ、すごくユーモアがある。でも同時に、あそこにはまじめなメッセージもいっぱい込められてるんだ。
 ぼくらは歌詞ってものは単にメロディを乗せるための乗り物だとは思わない。“Lyrical Trainspotter”で言いたかったのもそのことさ。あれは歌詞が何を意味しているかを理解してくれない人に対するフラストレーションの歌だ。というのも、初期の歌詞の多くはすごくあいまいで気味悪くて、人はぼくらのことをきちがいだと思うだけだったから」

● だったらわかるように書けよー。
◆ あれがユーモラスねえ? きちがいとは言わないが、独特のユーモア・センスを持っている人ではある。
★ でも“Lyrical Trainspotter”はやっぱり反語だったのね。文字通りのわけないとは思ってたけど。

◆ “You, Who Do You Hate?”では、Paulがすべての楽器を弾いてるって知ってた? 「Mansunの曲でどれがいちばん好きか?」っていう質問で、だからファーストではこれがいちばん好きって言ってるんだけど。
▲ すごい! マルチ・プレイヤーなのは知ってたけど、アルバムでもやってるとは知らなかった。

◆ 例のクリスマス・イシューのことも訊かれてる。PaulがMansunサイトやファンジンのことを褒め上げたのを受けて。

Dave 「ファンジンやウェブサイトについての最新のNMEの記事は読みましたか?」
Paul 「ぼくら、自分たちについて書かれたものは読まないんだ。読むのはファンジンだけ」
Dave 「‘Mansun family’と揶揄されたことはどう思います?」
Paul 「メディアってのは最後にはピープル・パワーには屈するものさ。どういう意味かわかるだろ?」

▲ 続けてやはりメディアについて。NMEがMansunの宿敵なのは周知の事実なのに、NME Premier Award showに出るのはどうしてなのかという、なかなか鋭い質問。

Paul 「プレスがなんと言おうと気にしたことはない。誰かがLondonのギグをオファーしたから、それを受けただけさ。ぼくらはライブで演奏するのが好きなんだ。それだけのことさ。それにジャーナリストにだって友達はいるよ。本当の友達と言っていい人もたくさんいる。ただ、基本的にMansunはまだアンダーグラウンド・グループだと思う。Mansunが好きだっていう人は、自分でMansunを発見したんであって、誰かに無理やり押しつけれられたわけじゃない。人はMansunを発見するのさ。そしてある日、それが一気に爆発して、まったく新しい、もっと大きな、コマーシャル・エレメントになるわけ。それがいつのことかはわからないけど」

● もう、そうなってますって!
▲ まあ、待ってろって。あいつら全員、Paulの前にひざまずいて、靴をなめにやってくる日がもうすぐ来るから。
★ べつにそんなことはしてほしくないが。女王様じゃないんだから(笑)。

◆ 以上はシリアス篇。以下はアホな質問を集めてみました。まずはChadに「あなたはすばらしいギタリストだけど、ものすごく毛深いですね。バンドに入るためには、ぼくもそんなふうに毛深くなくちゃだめなんでしょうか? どうかあごひげだけは生やさないでください。それやったら終わりだから」。
● ほんまにアホやー!
▲ それに対するChadの答は。

Chad 「毛深い必要はないと思うな。ぼくは確かにグループでいちばん毛深いけど」
Paul 「でも、それは契約には入っていない」
Chad 「うん。べつにレコード契約にはそれについては何も書いてないよ。それにぼくはギタリストになるよりずっと前から毛深かったから、関係ないじゃないかな」
Paul 「少なくともそれでギターがうまくなるってことはないね」
Chad 「それはない」

▲ こんなアホな質問にまじめに答えるなよ!
★ このボケがいかにもChadらしくてかわいいんじゃない。
● そんなこと訊くなら、家族もみんなあんなに毛むくじゃらなのか、背中や肩にも毛が生えてるのかってことを訊いてほしかったわ。
◆ 訊かんでいい!

◆ 次。「“Winnie the Pooh”のキャラクターにたとえたら、誰が誰に似てると思いますか?」

Paul 「その質問には前にも答えたな。ChadがWinnie the Poohだろ。というのも彼はいつもまごついてばかりいて、それに毛深いから。AndieはTigerだな、うん。それにぼくがChristopher Robinで、StoveはPigletかなんかだ」

● 似てる! かわいい!
◆ さーて、次はまたも▲の領分だよ。「“Legacy”の歌詞にMarquis de Sadeが出てきますが、Sadeを読んだことはあるんですか? あるなら、それがバンドの作品にどういう影響を与えてるんですか?」という質問に。

Paul 「えーと、Mansunの音楽にはいつも性的なニュアンスがあったと思う。単なる変態から、SM的な含みのあるやつまで、よくそういうファンレターをもらうよ。ボンデージとか、フェティシズムとか、ニワトリとか(??)、ラバー・パンツとか、マスカラとかね。and we're all bang up for that, I s'pose.(イディオムの意味がわからず)
 それって確かにMarquis de Sadeの影響かもしれない。昔の同僚に『ソドム120日』という本を読まされたんだ。すげーグロい話で、彼のいちばん有名な作品だけどね。世界でいちばん恐ろしいと同時に、いちばん笑える小説だ。それに影響を受けたとは言わないけど。だってぼくら正気だからね。土曜日の夜にボンデージ・クラブでぼくらを見かけることもないと思うよ。いや、Stoveは行くかもね。でもぼくは行かないよ。単なる好奇心、一時的に興味を引かれただけさ。
 それにMansunの音楽には無数の文学からの引用が出てくるし、ぼくらは文学を取り込んでは、それを音楽に吐き出すのさ。たまたまその時に心に浮かんだことなんかを。でもぼくらはいつもクロノロジカルに仕事をしてるんで、そういうのはどれも一時的なものなんだ。小説とか、アイディアとか、思想とか、宗教とか、どれも一時的に通り抜けて行くだけなんだよ」

◆ というわけで、どうやらPaulはSMファンではなかったようで、残念でした。
▲ べつに残念とは思わないけど、そうやって引っかかったということは、潜在的には素質があるに違いない。
● 希望的観測(笑)。
★ Stoveは好きみたいだけど?
▲ かっこだけでしょ?

◆ 続けても▲だな。「Manicsのアルバムではどれがいちばん好きですか? 新しいアルバムについてはどう思いますか?」だって。
▲ ぎく!

Paul 「“The Holy Bible”。あれがいちばん好きなManicsのアルバムだな。うん、新しいのもほんとに好きだよ。ずいぶん変わったよね。この意味はわかってると思うけど。“The Holy Bible”の好きなところは歌詞だ。大好き。曲も好きだけど、歌詞は別物だ。なんていうかセンセーショナルで。中でも“4st 7lb”は芸術作品だと思う。すばらしいよ」

● 良かったじゃん。▲とぴったり同じ趣味で。
★ ま、当然の答だと思うけど。▲と違うのは新しいのも気に入ってるというところね。
▲ でもこれなんか含みのある答だと思わない? 現実につきあいのある人に向かって、ゴミだとは言えないでしょ。
● Oasisは言ってくれた! Robbieのレコードのことボロクソ言ってた。気持ちはわかるけど。

● それじゃ次は◆の質問。「ホモの体験ありますか?」
◆ 私が書いたわけじゃないよ!

Paul 「(笑う)知らないよ。他のメンバーの代弁はできないけど、ぼくには言えない

◆ これだけ? これってどういう意味よ?!
▲ あいかわらず、意味ありげにごまかすってことは‥‥
◆ ‥‥かなあ?
★ 続けても似たようなの。「“Being a Girl”で言ってるように、本当に女の子になりたいの?

Paul 「あれはすべてメタファーなんだよ。ただ、Mansunにはいつもどこか女性的な部分があったとは思う。グラマラスって言うんじゃなく、女っぽいところがね。物事に対するアプローチの仕方とかいろんな意味で」

◆ これもうまくごまかしてる! それじゃ最後に今後の展望について。

Paul 「次のアルバムには4月ごろに取りかかって、できれば来年(99年)末には出したいと思う。その前にライブ・ビデオを作って、B面アルバムを作って、ChesterのDeva Stadiumでのショーをやって‥‥そのあとはわからない。(中略)
 今後18か月のことはわかるけど、その先なんてわからないよ。長期計画としては、これまでもそうしてきたように、12か月か14か月に1枚アルバム作って、毎年何枚かシングル出すことは続けるつもりだ。このペースを落とす気はないよ。2年半に1枚のアルバムとツアーなんてのは絶対にごめんだね。でも具体的に何をするかってことになると、まだ何も考えてないんだ。ただ休暇をとるってことだけは絶対にないね

● おまえー‥‥
★ なぜそんなに脇目もふらずに働く?
▲ それだけが唯一の生きがいだから。
◆ ワーカホリックという人はこれまでも見てきたけど、ここまで禁欲的な修行僧みたいなワーカホリックって見たことない。
● こういう人のセクシャリティを問うのは意味ないんでは? バンドと結婚したようなものだからね。
★ 遊ぶってことを知らないし、音楽以外にまったく何の興味も関心もない。
▲ 文学にも哲学にも興味もってるじゃないか。
◆ でもそれも結局音楽に取り入れるためでしょ。
★ それと、将来のこととか訊かれると、とたんにまごついてしどろもどろになるのもいつものことだね。前にも「過去もない、未来もない」って言い方をしたけれど、ほんとに今やっていることだけで手一杯で、後ろを振り返るひまもないし、将来の人生になんの展望も持ってない。
● やっぱり人間的には何か欠陥があるんでは?
★ 確かに音楽的には天才だけど、人生の大事な部分を犠牲にしているようにも思えるなあ。
▲ ありがたいことじゃないか。人生を犠牲にしてまで私たちを幸福にしてくれているんだから。
● かわいそうだとは思わないの!
▲ だってPaul自身がそれが何より好きで幸福なんだから。
◆ それにかく言う我々だって、音楽、それもMansun以外にほとんど関心ないし。
★ 私にはあるよ!
◆ 音楽やるだけのために生まれてきたって感じね。
▲ この人は神だな。まさに音楽の神。ミレニアムの終わりには、第二の救世主が現れるというが‥‥これぞまさしく我らが待望のメシア‥‥
◆ さしずめミュージック・ジャーナリストはペリシテ人か?
★ もうすでに神格化されてる!
◆ それでは次は来日コンサート・リビューでお会いしましょう。