以下に、ut 所有のパウル・ヴィトゲンシュタインや左手のピアノに関する文献等の
うち、重要と思われるものをいくつか紹介する。各位の参考となれば幸いである。
(2011年5月作成)
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◎ パウル・ヴィトゲンシュタインについて |
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FLINDELL, Edwin Frederick
Paul Wittgenstein (1887-1961) : Patron and Pianist
The Music Review, xxxii, 1971, 107-127 |
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パウル・ヴィトゲンシュタインについての最初の本格的な学術的
モノグラフ。のみならず、以後も長きにわたりこれ以上のものは
書かれなかった。現在においても、このピアニストについて論じる際に
第一に参照されるべき論文であることには変わりがない。内容は
パウル・ヴィトゲンシュタインの伝記、ピアニスト/教師/パトロン
の三側面の業績の記述から成る。英文。
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KIM-PARK, So Young
Paul Wittgenstein und die für ihn
komponierten Klavierkonzerte für die linke Hand
Shaker Verlag Aachen, 1999 |
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上記フリンデル氏の業績から30年近くを経てようやく現れた
初の研究書。カールスルーエ大学に提出された学位論文。著者は
韓国・釜山出身。内容はピアニストの伝記、左手のピアノ音楽の
歴史的概説、ヴィトゲンシュタインにより作曲を移植された
ピアノ協奏曲(フランツ・シュミット、コルンゴルト、リヒャルト・
シュトラウス、ラヴェル、ブリテン)の解説から成る。独文。
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SUCHY, Irene / JANIK, Allan / PREDOTA, Georg (hrsg.)
Empty Sleeve Der Musiker und Mäzen
Paul Wittgenstein
Studien Verlag, 2006 |
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2003年にピアニストの遺品が競売というかたちで公に
された後に出版された論集。研究論文や回想録から成り、
どの内容も甚だ興味深い。独文及び英文。
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アレグザンダー・ウォー(塩原通緒訳)
ウィトゲンシュタイン家の人びと――戦う家族
 中央公論新社, 2010 |
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世界大戦を経て滅び行くヴィトゲンシュタイン家の有様を各種資料や
関係者への取材をもとに活写した労作。とりわけ第二次大戦期に関する
詳細な記述はすこぶる興味深く貴重である。本書の内容が今後の
ヴィトゲンシュタイン家に関する研究にとって基本的な認識を与えることと
なることは疑いがない。(原著はイギリス・ブルームスベリー社から
2008年に刊行。)
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◎ 左手のピアノ曲というジャンルについて |
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EDEL, Theodore
Piano Music for One Hand
Indiana University Press, 1994 |
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左手のためのピアノ曲の歴史とこのジャンルに関して史上
重要なピアニスト(ドライショック、フマガッリ、ジチー、
ヴィトゲンシュタイン)の簡潔な紹介、一手のためのピアノ曲の
カタログから成る(左手のためのピアノ曲は約1000曲以上)。
英文。
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PATTERSON, Donald L.
One Handed
Greenwood Press, 1999 |
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一手のためのピアノ曲の簡単な紹介と2500曲以上の
作品のカタログ(左手のためのピアノ独奏曲は1800曲以上)
から成る。なお、オリジナルな作品のみならず、編曲ものも含む。
英文。
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シュミット村木眞寿美
左手のピアニスト ゲザ・ズィチから舘野泉へ
河出書房新社, 2008 |
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左手のピアノ演奏をテーマとした事実上本邦初の著作。これまで
ほとんど知られていなかったジチー伯の伝記に焦点を当てたことは
極めて大きな、評価されるべき特色であろう。ただし反面、左手の
ピアノ曲の歴史とパウル・ヴィトゲンシュタインの伝記については
やや駆け足で触れるに止まったことは残念である。
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◎ 個別の作曲家について |
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安益泰・八木浩
R・シュトラウス
 音楽之友社, 1964 |
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コンパクトにまとめられたR・シュトラウスの評伝。古い著作では
あるが、いまだ参考となるところが多い。著者の安氏は
シュトラウスの直弟子であり、大韓民国国歌の作曲者。
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ハンス・ハインツ・シュトゥッケンシュミット(岩淵達治訳)
モリス・ラヴェル
 音楽之友社, 1983 |
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ドイツの音楽研究者・評論家ハンス・ハインツ・
シュトゥッケンシュミットによるラヴェルの評伝。章節の区切りがなく、
やや見通しに欠けるところがあるが、随所に鋭い分析と深い共感を
示す名著である。巻末に付された詳細な作品目録もすこぶる便利。
(原著はドイツ・ズーアカンプ社から1966年に刊行。)
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TSCHULIK, Norbert
franz schmidt
Verlag Elisabeth Lafite Wien, 1972 |
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90ページ弱の分量にコンパクトにまとめられたフランツ・シュミットの
評伝。著者はヴィーン大学で音楽学を修めた音楽評論家。小著ではあるが、
調べのよく行き届いた内容。独文。
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早崎隆志
コルンゴルトとその時代
 みすず書房, 1998 |
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コルンゴルトに深く傾倒した著者による内容の濃い評伝。作曲家への
尊敬と愛情に裏打ちされた深い考察に加えて、表題に窺えるとおりに、
その時代背景にも十分に配慮した快著。コルンゴルトについて纏まって
読める著作としてはおそらくいまだこれが唯一である。
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THADANI, Bhagwan
SERGEI BORTKIEWICZ RECOLLECTIONS, LETTERS and DOCUMENTS
2.Aufl. , Cantext Publiations , 2001 |
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セルゲイ・ボルトキエヴィッチの遺した自伝原稿や手紙、そして原稿写真
等々を集めた、価値の高い基礎資料集。カナダの研究者タダーニ氏の
長年にわたる調査収拾の成果であり、ボルトキエヴィッチについて何がしかの
検討を加えるに際しては無視することのできない労作である。独文からの英訳。
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