及川光博 独演会「うたかた。」
於 ハーモニーホール座間
2003年2月6日(ゲネプロ公演)
〜世にも珍しい本気で総点検〜
<セットリスト> M1:流星 M2:月下美人 M3:三日月姫 M4:まるごとフルーツ M5:ロリータの罠 M6:理想論 M7:ラヴソング M8:君がいなくても M9:展望デッキ M10:ベストフレンド M11:シャンデリアラブ M12:悲しみロケット2号 M13:強烈ロマンス M14:求めすぎてる?僕。 M15:背徳王子のテーマ EC1:ヘブンな気分 EC2:死んでもいい EC3:ココロノヤミ WEC1:抱かれたい男 WEC2:不真面目な女神 <バックバンド 「シャンデリアス」> G:原田喧太 Key:佐々木真里 Dr:阿部薫 B:TOKIE Cho:伊藤理枝 Per:スティーブ衛藤 始まり:19:07 本編終了:20:47 アンコール終了:21:21 ※ダブルアンコールの終了時間は不明。
前回のカウントダウンライブから早1ヶ月。次のツアーまで1ヶ月か、と思っていたが、あっという間に月日は流れた。本公演は、以前(多分、2000年の「誰にも言っちゃダメだよ…」ツアー)のゲネプロ公演に外れた、FC会員を優先にしたチケット。平日で、遠いな…と思ったが、この特別枠は今回で最後なので、申し込み、チケット入手。なかなか、チケットが家に届かず、「いつ届くのだ…」と思っていたが、公演10日位前にようやく到着。届いたチケットは、F列。結構良い席が来た。
当日は、友人と新宿で待ち合わせをし、相武台前駅にて食事をし、18:20頃、駅前のタクシー乗り場に行くと、長蛇の列。タクシーは、予想外に、来ていない。乗り場そばの、花屋のオジちゃんが、「いつも公演が有る時は、タクシーが一杯待っているのに、今日はおかしいなァ」と。ちなみに、このオジちゃん、面白いキャラで、タクシー待ちの間、笑わせてもらった。開場時間も過ぎ、タクシーも相乗りをするようになってきた。みんな協力するところは、協力する。ちなみに、我々も、1人で待っていたベイベーから声を掛けられて、一緒に会場に行った。タクシーの運ちゃんは、帰りにタクシーを使うなら、呼ばないとダメと言う。どうやら、この会館には、降車場はあっても、乗車場が無いらしい(苦笑)。
会館は新しく、きれい。トイレも数が多く、きれいだ。座席配置も、前の人の頭が被らないように、ずれた配置。自分の席につくと、思ったより見やすい場所だった。通路側ということもあり、演奏終了後すぐ帰るには、好都合な場所(家が遠いので、最後の曲が終わったら、メンバーが一堂に会して、お辞儀をする前に出る必要があった。駅から遠い会館の場合、すぐ出ないと、会館の最寄駅まで行く事自体に時間を取られてしまうため)。
2.本編
客席の電気が落ちると、波の音のSEが流れ、みっちーの声が聞こえる。人魚姫の話だ。ステージ背面中央に用意されたスクリーンには、水面と水中の映像。キラキラと水に反射する光。朗読が終わると、緞帳が上がり、「G線上のアリア」が聞こえてきた。バイオリンの音色が、心地良い。スクリーンに、「出演者」と、縦書きの白抜き文字が写る。「歌・ギター 及川光博」の文字。ステージメンバーだけでなく、スタッフの方々の名前も映し出される。なぜか、「チェホフ」の所で、笑いが起きる(まあ、彼だけ、本名記載ではなかったから。私も噴出したけど)。曲に合わせてゆっくりと流れる名前。こんな風にしっとりとしたオープニング。
そして聞こえてきたのは、「流星」。みっちーがイントロ中に、セリから上がる。珍しく、バラードナンバーからで、意外性を感じた。みっちーは、振袖仕様の和服をモチーフとしたものを、身に着けている。色は紫。どうやら、和のテイストをちりばめているようだ。これは、「うたかた。」という、ツアータイトルに合わせているからだろうか。みっちーの声が、場内に響く。この曲では、ウッドベースを使っていた。この曲が終わると、みっちーは、上に着ていた、紫の衣装を脱ぐ。その下は、白地に模様の入った、やはり、和服をモチーフにした衣装。下は、黒のパンツと黒のブーツ。
2曲目は、「月下美人」。この曲で、理枝ちゃんが登場。着物を着た(ただし、超ミニ)、理枝ちゃん。かなり、かわいい。イントロと共に、客席が立ち上がる。前曲からノンストップという構成。「三日月姫」も、ノンストップ。「踊っていただけますか?」が、なんだか、懐かしい。この時思ったのは、「夜空」で、まとめた選曲?ということ。「星・月」と夜空に関する言葉が、タイトルに含まれている。
最初のMC。まずは、汗をぬぐい、水分補給をして、みっちーは、トークを展開。「今晩は!忍者ケムマキ君です」という挨拶に、場内から笑い発生。本日は、1200人のお客さんらしい。「ゲネプロ」の説明も行う。「ちょっと、皆さ、ゲネプロって意味わかって来てるの?」と言っていたと思う。「ゲネプロ」とは、「Generalprobeの略。総点検です。今日は、皆、総点検を見に来たわけよ。照明OK、チェホフOK、バイト君(前方でロープを持っている人)OK!」と、みっちー(この間に客席とやり取りがあったけど)。ちなみに、私の位置から、ロープ持ちのお兄さんが良く見えたが、「バイト君」の所で、お兄さん、笑っていた。笑いをこらえるため、下を向いていたが、肩は確実に笑っていた。
ここで、ようやくメンバー紹介。今回のバンド名は、「シャンデリアス」だそうだ。喧太からの紹介。喧太の衣装も実は、和のテイストが取り入れられていて、裏地の模様が着物柄だった。「いいこと思いついた!」と言ったみっちーは、「シャラダ喧太」と紹介。喧太も、それに合わせて挨拶(笑)。続いて、Keyの真里さん。楽器で、衣装が見えなかったが、かなり露出した衣装。彼女も、和のテイストだった。喧太に合わせて、「シャシャキ真里」と紹介されていた。知らなかったが、彼女は、「邪念オーバードライブ」のコーラスも担当していたらしい。スティーブさんは、飛ばされて、師匠。師匠は、テキヤのようだ。シャツの柄が、和のテイストだが、師匠が着ると、テキヤみたい。真里さんに続いて、みっちーでは初登場の、ベースのTOKIEさん。「今晩は」と挨拶。そして、理枝ちゃん。着物の襟元を開いたりして、見せたがり(笑)。みっちーに、「どろろんえんま君の雪子姫です」と紹介される。真里さんや、TOKIEさんは、しとやかに挨拶したにもかかわらず、彼女はいつものように、「どーも、今晩は」と、男前(笑)。そんな理枝ちゃん、やはりかわいい。最後は、スティーブさん。ステファン等と、呼ばれているらしい。そして、「僕、及川光博」と、続く。
この時、皆の声援が、物足りなかったらしく、「ダメだね、もう、皆、年末みっちー見すぎ。馴れ合いは良く無いよ」と、口にする。初心者ベイベー&男子の指導(みっちー曰く、「調教」)。少しばかり、物足りなかったのか、先輩達のをみてみようということで、初心者以外のベイベーと男子が、「ハ〜イ(はあと)」を行う。「どう?そう、確かに、おかしいのは分っている(笑)。でもね、言うでしょ、『郷に行ったら、GO!GO!GO!』(笑)」と、みっちー。そういえば、「オヤジギャグ」は、言わないとも言っていた(ちなみに、オヤジギャグのことを、「エロティックダンディギャグ」と言い直していたけど)。
「まるごとフルーツ」から、「ラヴソング」までも、先程同様にほぼノンストップで演奏される。「まるごとフルーツ」の後、着物衣装を脱ぐ。このスタイルは、う〜ん…と思う部分も有ったが、まあ、良いでしょう。「ロリータの罠」では、ジャズテイストも取り入れた演奏で、なかなか、カッコ良い。真里さんのピアノとTOKIEさんのウッドベースがきらりと光る。「理想論」も嬉しい選曲。そして、3月に発売する「ラヴソング」。みっちーと理枝ちゃんの声の重なりがいい。先日、「新星堂」イベントでも聴いたこの曲。あの時も、1番だけみっちーは歌ってくれたが、生演奏での完全な生状態は、今回初。より、お気に入り度がアップ。
「ラヴソング」の後、みっちーがステージを去り、真里さん以外のメンバーもステージを去る。ステージに残った真里さんは、「瑠璃色の地球」を奏でる。しっとりとしたピアノの音が、静かな場内に響く。珍しく、客席にざわざわ感が無かったのが良かった。今後も、こういう状態を願いたいところ。演奏が終わる直前に、衣装を替えてみっちーが登場。久し振りにフリルが付いた紫色のブラウス。みっちーの手には、台紙(賞状を挟む厚い台紙のようなもの)。「佐々木真里さんの演奏で、『瑠璃色の地球』でした」と、司会者みっちー。映画、「連弾」でのみっちーの役みたいと思っていたら、「なんか、谷村先生みたいだね」と、みっちーも口にしていた。ここで、客席を座らせる。「反応早いんだよね、君達」と、ボソッと言うみっちー。
これから始まるのは、「今夜のポエム」。その日の気分で、自作、他作問わず、みっちーが詩を朗読するコーナーということ。みっちーは、「またこんなことやるの?」と思われたらどうしようと、少し思っていたらしい。みっちーはタイトルコールをし、朗読開始かと思ったが、ここで拍手が有った方が良いと思ったようで、「はい、ここ総点検。「今夜のポエム」の後、ザーっと」と、説明を入れる。再びタイトルコールをし、コーナースタート。みっちーは、台紙を静かに広げる。今夜は、銀色夏生さんの詩集『ロマンス』から、「私の心は」。
静かに読み上げた後、みっちーはお辞儀をする。拍手の中、「君がいなくても」のイントロが流れる。喧太のアコースティックギター、真里さんのピアノ、TOIKEさんのウッドベース、スティーブさんのPerという構成。みっちーが、丁寧に歌い上げる。ラストは、みっちーの口笛。丁寧な口笛のメロディが、響く。理枝ちゃんが登場(理枝ちゃんは、赤のワンピースを着ていた)して始まった、「展望デッキ」。とても久し振りに、生で聴いたような気がする。公樹さんが、参加していた時以来だと思う。と考えると、ホーン無しでの生は、過去にあまり聴いていない曲かもしれない。「ベストフレンド」の出だしは、スタレビの「今夜だけきっと」の出だしと似ているなと、思った。みっちーは歌いながら、客席に向かって、立つように両手で指示を出した。その時の表情が、何とも言えず優しい笑顔。
この後は、先程のしっとりモードを一気に変える構成。非常にキュートな振り付けが印象的な、「シャンデリアラブ」。やはり、かわいい振り付け好きなのねと、思わずにいられない。みっちーが、かわいい笑顔を振り撒いて踊る。この振り付けにもすぐに反応する、ベイベー&男子(まあ、自分も含めてだが)。客観的に考えると、凄いかもしれない(スタレビや健ちゃんでは、ここまで良い反応は見られないから)。ラストは、みっちーの合図で、「ジャン」と止めることを数回。最前ベイベーにも、みっちーが同じ事をやらせる。これは、今後も続く係なのだろうか?
「悲しみロケット2号」では、この曲のPVがスクリーンに登場。みっちーが、今、歌っている姿と、この曲のPVを融合させていた。
「求めすぎてる?僕」は、なぜか、「おはよ〜〜」から始まった。今回は、「すべすべなヒップ ほほ寄せて つついてみたり ダメだよ」と、お尻をいつものように差し出して、突き放す。理枝ちゃんのあえぎの部分では、スクリーンに、理枝ちゃんを下からなめる映像が。かなりエロイ。喧太は、ギターネックを股間に…。
この後は、洋楽?と思っていたが、「背徳王子のテーマ」。もう、すっかり忘れていたけど。でも、洋楽も織り交ぜているように思う。みっちーと理枝ちゃんの声の重なりが良い。みっちーは、曲の途中でステージを去った(と思う)。曲が全部終わり、残ったメンバーも全員去る。どうやら、これで、本編が終わりのよう(20:47)。
3.愛と哲学の小部屋
黄色いシャツを着たみっちーが、ステージに登場。「元気?」、「燃えてるか〜い?愛し合ってるか〜い?」のやりとり。「サーキットツアーから約1ヶ月空いて、このツアースタート。僕もどうなるか楽しみです。成長して行くツアーにしたい」と、司会者っぽく喋るみっちー。「うたかた。」ツアーは、「心をぎゅっと抱きしめる」ツアーということ。強く、ギューッではなく、軽くという。みっちーが、抱きしめる仕草をするので、会場から歓声が上がる。ここで、「失神」。この時、視界に入っているロープのお兄さん、笑っていた。「会報届いた?」と、訊いていたが届いていないことを知り、「あ、2月末発送だ。ごめん、今の忘れて」とみっちー。多分、あの話をしようと思ったのかな。さらに、何か言おうとして、その言葉を引っ込めていたが、「ごめん、正直に言います。『ここからは自由参加です』と言おうと思ったんだけど、ここじゃなかったんだよね(笑)」と、結局白状してしまう、みっちー。この後は、「愛と哲学の小部屋」だと言う。「着席ベイべ〜♪」と、座らせる。今回のツアーから、愛哲ではおねだり系はお断りということ。みっちーは、実は正直困っていたとも話した。今回の内容は、4つ。
1つ目は、「みっちーにとって着物の良いところは何?それから、花粉症に気をつけてください」。
花粉症は、注射を打ったので、平気だとか。「着物は、襟元や、生地感、柄とかが良いね。ほら、今回女性が4人いるじゃない?(って、いきなり自分を女性チームに含めるみっちー)この柄、素敵とか、皆で言っているのね」と。パンフレットの写真にも触れていた。「最初と最後は良いと思うんだけど、問題は、眉毛が無い真中。今回のパンフレットで、評判良くなかったら、女装はもうやらないかな」と、話す。吉原炎上(映画)の、西川峰子さんが凄いというトークに。だって、「『ここ噛んで〜!』だよ」と。
2つ目は、「年上の女はどうですか?」。
「全然大丈夫。むしろ言って欲しい。『ここ噛んで』と。僕ね、子供と犬になぜか好かれるの。ダメなのが、彼氏とダンナ(笑)」。
3つ目は、「みっちーお払いして!」。
「無理です」と、きっぱり。ちなみに、ラストということで、この紙が選ばれたが、その際に、「ラスト19800円!」とみっちー。いつか出てみたいんだよねと話していたが、何の意味か全然わからない…。
4つ目は、メッセージだった。みっちーは、「ありがとう」と言う。
4.アンコール
愛哲の後、メンバー登場。メンバー紹介も含める。喧太は、グッズの「光」文字入りTシャツ着用。皆、衣装を替えての登場。師匠の「お立ちなさい」で、ベイベーと男子が立つ。
サーキットツアーで、宿題を出されていた「ヘブンな気分」。みっちーの後、喧太と理枝ちゃん、真里さんが見本を見せるが、真里さん失敗。みっちーに、「間違ってるよ〜」と指摘される。ベイベー達も、まあ、大方の予想通り、出来なくて、「NHKに来る人は、NHKまでの宿題にします」と、みっちー。
「今の気分は?」とお約束の前振りで、「死んでもいい!」とベイベー達の声で、「死んでもいい」。まさか、これが出るとは思わず。ポンポン率も低いが、お客さんの歓声は大。真里さんも、片手に金のポンポンを持っていた。最後は、「ココロノヤミ」のバンドバージョン。始まりと最後は、しっとり系で行くのかと、思った。みっちーが、この曲を歌い終えると、静かに緞帳が下りた。21:21。
5.さいごに
「ココロノヤミ」は、「最後の曲を聴いてください」と、紹介をしていたので、これで最後だと思っていた。しかし、翌日、ネットで、続きが有ったことを知る。みっちーにやられた…と、少し思ったが、仕方ないと言えば仕方ない。区切りの良いところで、会場を去ったし。ただ、「抱かれたい男」だけは聴きたかった。その後の、NHKホールでもやっていないし。結構勿体無い。家さえ遠くなければ、こんなことは無かったのに…と思うが…。
今回のツアーは、いつもより、シックな印象。衣装は、和のテイストを取り入れていた。「うたかた。」は、テーマ性を持ってと、以前言っていたみっちー。「はかなき美しきもの」という意味に、有っていたように思う、オープニング。
曲構成としては、各ブロック毎に、ストーリー性や、テーマがあったように思う。最初のブロックは、「星・月」と、夜空の文字が入った楽曲。歌詞の持つ意味合いが、ブロック内の曲を通して、一つのストーリーとして成り立っているような構成もあったように思う。バラード率も、いつもより高く、良かった。「歌は心だな」そんなことを感じたバラード達。非常に惹き込まれる、心が伝わる歌い方。
スクリーンも、曲にあわせて利用しており、歌っているみっちーの姿や、プロモーションビデオとの融合など、割と手が込んでいたように思う。ウッドベースの利用も、私が見た中では、初めてだったと思う。久しぶりな曲も、結構あった。それも嬉しかったし、やはり、前より上手くなっていると、思う部分でもあった。
席付近には、喧太のピック、みっちーのピックも飛んできたが、微妙に自分のところではなかったので、獲得は出来ず。こんなに、近辺に飛んできたのは、初めてだった。
最前で、ロープを張っているアルバイトスタッフのお兄ちゃんが、みっちーのトーク等に、笑っていた。彼も、楽しめたのかな。実は、ゲネプロなだけに、歌詞が危なかったりするかな?と思っていたが、そうでもなかった(いつもレベルかな)。
正直なところ、理屈抜きに、結構好きな内容で、今行く予定の公演よりも、増やしたいなと感じた。
全然関係無いが、「ココロノヤミ」で、即効退場した後(なぜか、係の方に、「お疲れ様です」と言われた。しかも何人にも…)、外に出ると、先に出ていたベイベーが、タクシーを呼んでいるので一緒にどうですか?と声を掛けられた。大変有りがたく便乗させていただくことに。友人も、同様に先に出てきたため、3人でタクシーで駅まで向かう事が出来た。ありがとう、声をかけてくださったベイベー。