光田健一SUMMER SESSION 

at 六本木ピットイン on 2002.8.4

〜暑くて熱いフュージョンライブ〜


<メンバー>

Pf・Key:光田健一、Drs:河崎真澄、B:田中豊雪、G:養父貴、Key:河野啓三 <セットリスト>

−第1部−(19:33〜20:46)

M1:Across From The Sky  M2:A Gentle Breeze  M3:Looking Forward  M4:For Example  M5:Carlosquare  M6:Yayoi  M7:Rodan  −第2部−(21:14〜22:36)

M8:Who Is It?  M9:About You  M10:Welcome News  M11:My Treasure  M12:きんと雲で飛べ!  M13:Shiwasu  -アンコール-(22:37〜22:52)

EC:Such Is Life  光田健一作曲:M2、M4〜M6、M9、M11〜M13、EC 河野啓三作曲:M1、M10 養父貴作曲:M3、M8 田中豊雪作曲:M7


1.はじめに

六本木ピットインで、行われたセッション。健ちゃんファミリー(とあえて書いたほうが分かりやすいだろう)でのインストのセッションは、これで2回目。初回は、2001年11月27日に、調布ginzで行われた。その時のメンバーに、Keyの啓三君が加わる。

当日は、非常に暑かった。整理番号順の入場であるが、番号が80番台だった為、座れるかどうか、微妙な所だなと予測していた。しかし、いざ蓋を開けると、座席は思った以上に準備されていた。唯一、端のテーブル席が空いていたので、その席を目指す。場所としては、健ちゃんを正面に見る位置。端なので、ステージ全部は見渡せない。ドラムは全く見えない場所だが、テーブル席確保が、第一優先だったのでそこに決定。日曜日という事もあって、お客さん多数。その為か、米川セッションの時は少し寒かった会場も、今回は暑い。ステージには所狭しと、楽器が置いてある。まさかのグランドピアノも有った。

19:30開演で、間に30分ほどの休憩をはさみ、2部制のライブ(というか、この会場はそういうシステム)。入場時に、健ちゃんのライブでは珍しく、セットリスト表(予定)を受け取った。こういうのは、結構ありがたい。リストを見ながら、「あ、これやるんだ〜」と思いながら開演を待つ。基本的に、初回のginzでのライブで演奏された曲だったが、今回は啓三君もいるので、彼の曲も2曲あった。1部は7曲、2部は6曲、アンコール1曲という構成。


2.第1部

19:33にメンバーがステージに登場。1曲目は、啓三君の曲。健ちゃんは、ピアノを弾く。ちなみに、ピアノを弾くと、客席には背中を向けたスタイルになる。明るく爽やかな印象の曲。啓三君が、入りこんで演奏しているように見えた。

1曲演奏後、メンバー紹介を交えたMC。啓三君による先ほどの曲紹介もあった。ちなみに、健ちゃんはメロディーを間違えたらしく、「啓三、ごめんね。間違えちゃったよ。と言っても、お客さんには、わかんないだろうけどさ」と言っていた。そう、言わなければ、わからない(でも言ったから、バレる)。啓三君によると、タイトルを訳せば、「この空の向こう側」という事になるので、宇宙をテーマにした曲ということだ。この紹介の後、「じゃ、宇宙を思い浮かべてもう1回」と口にする健ちゃん(笑)。
次に演奏する曲もここで紹介。「A Gentle Breeze」の時は、いつものように、「ジェントルブリーフじゃないですよ」と口にする。何度も聞いている台詞だが、どうしても笑ってしまう曲紹介。今回は、「紳士なブリーフですから、『グンゼ』ですかね」と繋げた。この台詞に、声を出して笑う、啓三君。健ちゃんに笑いを指摘される。

「A Gentle Breeze」は、ベースの見せ場が有った。健ちゃんは、この曲もピアノを操る。爽やかな曲。 「Looking Forward」は啓三君による、メロディー。健ちゃんは、確か、ピアノではなくセットしたKeyを操っていたかと思う。演奏時の表情を、この曲で初めて客席に見せたと思う。

2曲続けての演奏後、MC。この会場に健ちゃんが初めて来たのは、KENSOのライブを観に来た時だとか。啓三君と初めて有った時に、「光田さんのファンなんです。サイン下さい」と言われたことや(勿論、いつもの事ながら、啓三君の真似をして)、先日の米川セッションの話をした。
米川セッションはなんと、当日リハーサルのみだったとか。健ちゃんと米川君は、あの日初めて会ったという事だ。当日リハーサルだけで、皆で演奏出来るのだから、やはり凄いことだ。ちなみに、「元C−C−Bの」と健ちゃんは言っていたが、「本人は言われたくないみたい(笑)」と追加していた。このネタで笑いが起きたのは、どうやら、私達位だった(ちなみに、友人はC−C−Bの大ファンだった)。

「For Example」から「Yayoi」までは、一気に演奏。ちなみに、セッションでは3曲続き演奏は珍しいらしい。「まあ、セッションって言っても、今回はバンドみたいなもんだからねぇ」とも言っていたが。3曲続き演奏は、結構大変なんだとか。

「For Example」は、養父さんの渋いギターが響き渡る。健ちゃんの早弾きも見所聴き所だった。

「Carlosquare」では、養父さんが陶酔して弾きまくるギターソロがあった。ギターがメインになると、彼は陶酔して演奏する。表情が結構変わるので、中々観ていても面白い。

「Yayoi」は、いきなりこれだけ日本語のタイトルという紹介があったかと思う。ginzで演奏した時は、「うきうき春休み」というサブタイトルがあった曲。イントロでは遊び心が、たっぷりあった。ドラムとエレキドラムの音(C−C−Bで聴いたような、エレドラの音)、それに対抗して健ちゃんが、様々な効果音をKeyで発する(Perの音、マシンガン、笛その他もろもろ)。笑顔で、真澄さんと健ちゃんが顔を見合わせる。結構、2人で遊んでいたように思う。そこに、トッキーのベースが重なり、皆が揃う。

3曲演奏後、トッキーは辛そうな雰囲気(かなりステージは暑い模様。ちなみに、客席も暑い)。「クールな演奏を心がけたいのに、熱くなっちゃって」と健ちゃん。この時、後から、「足つった…」と真澄さん。そして、タオルを持って来るのを忘れたらしく、タオルの要求も行う。折角タオルを持ってきてもらったのに、「雑巾じゃないよね?」と言う、真澄さん。健ちゃんに、「真澄ちゃん、持ってきてもらってそりゃ失礼だよ」と言われる(笑)。養父さんの生徒さんも、結構観に来ているとか(養父さんは専門学校の先生をやっている)。客席から、「先生!」という声が。今年から、レディースクラスを受け持ったなどの話が持ち上がる。ちなみに、真澄さんも、トッキーも先生。啓三君も先生をやりだしたらしい。啓三君によれば、「もう、ネタが尽きた」らしい。トッキーは、アンサンブルを教えているとか。真澄さんは、よく遅刻するとか(これは前にも聞いたけど)。

「Rodan」が1部ラストの曲。ginzで演奏した時も言われたが、「ラドン温泉のラドン」と、また健ちゃんに言われる。本当は、怪獣のラドンの事。18年前の曲(当時23歳)だそうで、「これでトッキーが何歳か分かりますね」と嬉しそうに健ちゃんは言っていた。健ちゃんと啓三君のKey対決が、聴き所。20:46、1部終了。


3.第2部

21:14、2部開始。そういえば、始まる前に、トッキーや真澄さんは、冷房の前にいた(相当暑いらしい)。まずは、これから演奏する2曲を紹介。

「誰に対しての誰なの?」と紹介された、「Who Is It?」。養父さんが正月に作った曲。ちなみに、養父さんは正月に曲を作るらしい。

「About You」は、健ちゃんはピアノ。ピアノソロから始まる。相変わらず叙情的なメロディー。養父さんの渋いギターがさらに、良い味をつける。渋いというよりも、哀愁漂うギター。養父さんの陶酔振りも見物だった。健ちゃんは、ピアノとKeyのL字弾きも見せた。ちなみに、先日の米川セッションでもこの曲の演奏はあったが、同じ曲でも、違う雰囲気になるんだなと思った。同じ会場で、ついちょっと前に聴いていただけに、よりその思いが強かった。

ここでMC。「目つぶってギター聴くとさ、年齢わかんないよね」と、健ちゃん。ここで、大橋イサム氏(G)が、呼ばれる。米川セッションの数日前に、大橋セッションがあったわけだが(私は行っていない)、その大橋さんが、今日観に来ていると言う。健ちゃんが、ステージに彼を上げた。大橋さんは、明るくステージに登場。ギター持ってくるのかな?と思ったら、手ぶら。健ちゃんの隣に立ち、テンポ良く会話を繰り広げる。大橋さんとトッキーと健ちゃんは、その昔一緒にやっていたが、健ちゃんが歌物に行っちゃって…等の話が出る。こんな会話の中、おもむろにステージを降りる真澄さん。楽屋から煙草持参で、ステージに戻る。自分の所で、煙草を吸い始める。これにつられて、トッキーが真澄さんのところに行き、2人で喫煙タイム。その間も、笑える楽しいトークが続く。
1部に演奏された、「Yayoi」はイサムちゃんの曲なんだよと健ちゃん。元は、「イサムちゃんの楽しい毎日」というタイトルだったとか。これに驚いたのは、大橋さん。「俺の妹、やよいって言うんだよ!偶然だねぇ」と。この言葉に、健ちゃんも驚く。最低5分は、2人のトークがあったかと思う。大橋さんは、手を振ってステージを降りる(本当に、喋っただけ)。大橋さんが去った後、次曲紹介。入場時にもらった予定表と、曲順が変わった模様。

「Welcome News」は、養父さんをフューチャーした曲と、啓三君が紹介した。養父さんと一緒にステージをやる時は、この曲を持って行くらしいが、いつも却下されていたとか。その為、「え?そうなの?知らないよ、俺」と、養父さんが言っていた。健ちゃんは、ピアノを弾く。非常に爽やか系な曲。

「My Treasure」は、啓三君の見せ場があった。入り込んで演奏する啓三君。この曲の中盤で、突然大橋氏乱入。養父さんのギターを構え、演奏。ギターが養父さんと入替った。お喋りだけで終わりなのかと思っていたが、そうではなかった。前半は養父さん、後半は大橋さんという1曲で、2人のギタープレイを観るというおいしい状況が突如出現。カッティングギター直前、養父さんがステージに急いでやってきて、調整を行う。ガンガンに引き倒す、大橋さん。2人のギターで、大曲がより大曲になった。拍手の中、笑顔でステージを去る大橋さん。

「いや〜呼んでみるもんだね。しかし、引き倒していったね。同じギターでも、こんなに違うんだね。雰囲気」と、健ちゃん。健ちゃん自体が、非常に嬉しそうだ。ステージに戻った養父さんは、「名ローディーだったと思わない?あっ、次カッティングだ!!と思ってさ」と自分を称える。健ちゃんに、「2人でコンビ組めば?1曲毎交替でローディーなの」と言われる。

「きんと雲で飛べ!」は、曲紹介時に、軽く下ネタ。サブタイトルが「如意棒で振れ!」だと紹介。初回のginzでもそんなことを言ったが。「今日は、いつもと違って大人なライブだしぃ。良いでしょう。下ネタ」と言う。「この手の話題は、笑う人とうつむく人がいるんだよね」と付加える。別に、下系に持っていかなければなんとも思わないサブタイトルなんだが・・・。「如意棒だよ?振っちゃうんだよ?」と、意味ありげに言う。うつむいた前のお客さんに、「今のはハードでしたか?」と訊く。ちなみに、私はしっかり笑った。演奏は、楽しそうに繰り広げられる。特に、養父さん。サビメロディーになると、健ちゃんの方を向いて、笑顔を撒き散らす。その直前は、ギターで陶酔しているのにも関わらず。この表情の瞬時の切り替えが、見ていて面白かった。この笑顔が、なんとも言えずキュート。健ちゃんはサビの演奏では、体を振りながらニコニコ表情で演奏。

「Shiwasu」は、「今の季節にぴったりですね!」と、紹介された(タイトルは、全然ぴったりじゃない)。途中で、健ちゃん→啓三君→養父さんの順で、3人でのバトルがあった。この3人で、即興フレーズを演奏し、つなげる。45セット位続けたと思う(後半は、一瞬フレーズオンパレードで数えられなくなった。35セットまでは数えたけど)。養父さんが、CMソング、「チョコレートは明治♪」のフレーズを演奏したところから(5セット目だったと思う)、笑いが混じるように。西部警察を健ちゃんがやれば、啓三君はちょっと悩みつつ、その続きフレーズを、養父さんも同様。ちなみに、笑点のテーマも同様に繰り広げられた。こんなやりとりに、大橋さんがステージに近づき、突込みを入れていた(主に健ちゃんの続きを担当した啓三君に対して)。トッキーはベースソロの時に、なんと!!!!客席のテーブルの上に立って演奏。腕前を存分に披露していたが、テーブルが傾かないかちょっと心配になってしまった。本編ラストは、大いに盛り上がった。22:36終了。


4.アンコール

ステージから一旦去ったメンバーは、すぐにステージに戻る。健ちゃんが、「ありがとう!」と口にする。

「そういえば、僕以外、皆先生なんだよね。でも、そんな先生達を率いている僕がえらい(笑)」と、笑顔で言う。そろそろアンコールを演奏するかなと思っていると、「40代、ちょっと待ち」とトッキーが口にする。先程の曲で、どうやら疲れたらしい。呼吸を整える時間が欲しい模様。この言葉に応じて、健ちゃんはピアノを奏でる。即興的なピアノソロ(だと思う)。

頃合を見て、「Such Is Life」。無心にピアノを弾きまくる健ちゃん。啓三君も、Keyを弾きまくる。そういえば、初めてこの曲を聴いた時は、歌詞付きだった。この曲は、もう歌有りでやらないのだろうか。確かに、歌うのは大変そうだが。熱い熱い演奏は、ラストまで続いた。場内から大きな拍手が起きて、22:52終演。


5.さいごに

さて、31日に、米川英之セッションで聴いた曲もあったわけだが、今回おいしいと思ったのは、同じ曲でも弾き手によって、違う印象になるということが、はっきりと分かったこと。会場も同じということもあり、ライブの日にちも近いということもあって、はっきりと認識した。特に強く感じたのがギターだ。米川君のギターは、重いなと。勿論、彼のギターも彼の味があり、上手い。養父さんは、本当に渋いなと。健ちゃんが、一体いくつ?と口にするのが、よく分かると思った。「About You」でいうと、米川君は、「切なげ」だが、養父さんは、「哀愁」という言葉が当てはまるギターの雰囲気。

啓三君が健ちゃんのステージにいるのもかなり久々。彼の演奏が、何か変わったように思えた。変わったというのは演奏スタイル。割とクールに演奏していた印象のある彼だが、今回は、陶酔している表情をみせた。やはり、T−スクエアで、鍛えられているのだろうか。

メンバーが非常にのびのびと楽しそうに演奏しているように見えた。といっても、真澄さんの姿はメンバー紹介の時しか見えなかったが。おそらく楽しんで演奏していた事だろう。啓三君の曲の1曲目から、なんとなくリラックスモードが漂っていた様に思えた。

今回は、大橋さんが乱入し、前半は養父さん、後半は大橋さんのギターという、これまためったに味わえない演奏を体験。色々とおいしさのつまったライブだった。

そういえば、ライブの途中、健ちゃんのピアノソロ時に大雨が降っているのか?と思える雨音が聞こえた。「雨?」と確信持てずにいたが、どう考えても、土砂降りの雨音だと。そう思える音。きっと、ほとんどの人が気付いていないと思うが。終演後外に出れば、雨の後だった。

11時ちょっと前に終了という事で、ラストまで聴くことが出来た。最悪、アンコールは聴けずに帰る事になるかなと思っていただけに、何とかギリギリ聴く事が出来て良かった。今回のライブは、暑くて熱かった。