光田健一、金子隆博、池田達也 3人組み

  at 南青山MANDALA on 2002.8.15

〜ケンタツキントリオ 初ライブ〜


<セットリスト>

−第1部−(19:33〜20:59)

M1:In Flight  M2:I Can't Let Go  M3:Have You Hard  M4:忘却  M5:亡き王女のためのパヴァーヌ  M6:ボレロ  M7:剣の舞  −第2部−(21:27〜22:44)

M8:Bargain Sale  M9:Tomorrow  M10:Englishman in New York  M11:真っ白な八月  M12:かえる  M13:Lady Madonna  M14:DA BA DA DA -アンコール-(22:44〜22:55)

EC:ニューシネマパラダイス


1.はじめに

昨日の弾き語りライブとは、趣向を変えての3人での初ライブ。5月7、8日に同会場で行った健ちゃんの弾き語りライブに、各人が1日ずつ乱入していた。その時から、早、3ヶ月。チケット完売状態の人気ライブとなった。

会場には、開場時間約30分前に到着。既に、多数のお客さんがいた。昨日は、完売していなかったが、立ち見のお客さんが結構いた。今日は完売ということなので、昨日以上に立ち見のお客さんがいるという事になる。開場時間になり、整理番号順に入場。テーブル席は、奥まった位置しか空いていなかったため、ステージ傍の折りたたみ式椅子の位置で見ることにした(あまり奥に行くと、トイレ等の移動が不便だし…)。時間と共に、お客さんが増えてくる。気がついた時には、立ち見のお客さんが多数、トイレ待ちの列は地上まで(会場は地下)という有様になっていた。

ちなみに、初めて健ちゃんのライブを見に来る友人を連れてきた。


2.第1部

19:33、場内が暗くなり、メンバー登場。3人ともふらっとステージやってきたというような登場の仕方だった。中央に金子さん、下手側に健ちゃん、上手側に達也さんという配置。私の席は、達也さんの真ん前といった所。譜面台にある譜面に目を向けて、「最近目が遠くてさ〜」と口にする達也さん。周辺から笑いが発生。達也さんの行動が、最初から面白すぎる。なんとなく、音を奏でるメンバー。どう聴いても、演奏開始という音ではない。手慣らしというような軽いタッチ。

1曲目は、金子さん作曲の「In Flight」。軽快に演奏が始まる。5月の弾き語りライブに金子さんがゲスト出演した時に、演奏された曲。健ちゃんと金子さんのサバダバコーラス。

金子さんが楽器をフルートに持ち替えて、健ちゃんの「I Can't Let Go」。先ほどの軽快な曲とは雰囲気を変え、しっとりとした雰囲気に。ちなみに、達也さんは既に、沢山の汗を掻いていた。

雰囲気を180度変えての、MC。なんと、演奏終了後、3人が一斉にマイクを持ち、それぞれがMC開始。誰が何を言っているのか、全くわからない(そりゃ当然)。場内に笑いが起きる。「こんなやり方で来たか〜」と思ってしまった。3人の中で、健ちゃんの声は、他の2人とトーンが違うのか、一番聞こえた。とはいえ、音としての声が聞こえるだけであり、内容は不明。目の前の達也さんも、何を喋っているのかわからない。金子さんも、何を喋っているのか。
「だいたい、誰がまとめ役なのかわかんないね」と、健ちゃん。ここから、健ちゃんが、一応、この場のMCを取り仕切る。バンド名は、「ケンタツキン」らしい。金子さんによると、金子さんのマネージャーさんが、「ケンタツキン」で良いじゃんと言ったことからの決定だとか。ちなみに、5月のライブの時に話題になった、「男舞」は却下されたらしい。先ほど演奏された曲と、次曲紹介も行われた。予想通りといえばそれまでだが、最初のMCから、飛ばすメンバー。笑い多発。いきなり長目のMC。「今日の終了は何時かな〜?」と、この時点で思ってしまった。

パットメセニーの「Have You Hard」。7拍子の曲で、難しいとか。難しいと言っている割には、そう見えない(まあ、そう見えたらダメか)。達也さんは、喋っている時と演奏している時の表情のギャップが大きい。演奏時はかなり真剣な顔つきなのに、喋ると全然違う。演奏姿を見ている限りでは、爆笑トークと下ネタを繰り広げる人には、ちっとも見えない(笑)。

「忘却」は、達也さんが持ってきた曲ということで、達也さんが曲紹介を行った。マイクを楽しそうに握って、喋る。勿論、客席から笑いが起きる。「良い曲なんだけど、暗いんです」ということ。確かに、暗い曲だった。

演奏後、達也さんが譜面台を倒す。確か、健ちゃんが何か言って、それに対してずっこけたからだったと思う。足が譜面台の脚にぶつかり、倒れた。最前のお客さんがそれを取り押さえる(笑)。譜面台にあった譜面を揃え直す為に、繋ぎのMCが入る。次曲紹介を中心にトークが進んだと思う。達也さんは、「1部、しかし、大変な曲多いよね」と口にする。健ちゃんによれば、「たっちゃんが、サボらないようにって、選んだんだけど」らしい。リハーサルは、1日しか時間が取れなかったという話もあった。急遽、「明日」しか出来ないということになり(もっと出来るつもりでいたらしい)、急いでアレンジ譜面を作成したと、健ちゃん(ちなみに、明日しか出来ないということが判明したのは、夕方の出来事だったらしい)。

次に繰り広げられるのは、クラシック3曲。金子さんも、「大変だよ」と口にしていた。「クラシック」の言葉に、心踊った。どんな演奏を見ることが出来るのだろうと。

ラベルメドレーとして紹介されたのが、「亡き王女の為のパヴァーヌ」、「ボレロ」。前者は、「ババーヌ」じゃないですよと紹介されていた。ちなみに、この曲、調布ginzでの弾き語りリクエストの時、リクエストされて、さわりだけ弾いていた曲。それが今回選ばれたということだろうか。金子さんは、ソプラノサックスを奏でる。爆笑MCがあっても、演奏によって場内の雰囲気を変えてしまうところが凄い。また、爆笑トークの後なのに、すっと気持ちを切り替えて演奏するところも凄い。
後者は、金子さんはフルートとテナーサックスを使い分けた。曲の前半は、いかにもクラシックという雰囲気。ピアノソロから入り、音が重なっていく。中間で達也さんのベースソロ。このソロを挟んで、曲の雰囲気が一転。金子さんは、楽器をSAXに持ち替える。メロディラインを金子さんは奏でていたが、ブレスまでの間が長い。思わず、「大変そうだけど、凄いな」と思った。後半は、ジャズ要素がたっぷりと加わったアレンジになっていた。

本来は、このまま、クラシック3曲を一気にドーンと行く予定だった模様だが、達也さんが、待ったをかける。「いや、もう大変だよ、一息つこうよ」と。金子さんも、さりげなくこれに頷く。次の曲に絡んだトーク。次は、ロシアのクラシック曲。「皆知っている曲ですよ。きっと」と、健ちゃんが口にする。作曲者名を言っていたが、忘れた。なんか、ちょっと変わった名前。確かに曲は知っていたが、作曲者の名前は初耳だった。達也さんが、ここで提案をする。「ロシアの曲なんだから、カウントをロシア語でやろうよ」と。だがしかし、「1、2、3、4」のロシア語を知らない。客席に尋ねるも、誰も知らない。ということで、適当に、作る。「コフ、チョフ…」というような具合で、カウントの言葉決定。金子さんがこの大役を任されるが、どうも、上手く言えそうにない。考え込んでしまい、健ちゃんに託される。

健ちゃんのカウントにより、演奏開始。ちなみに、曲タイトル紹介が無いまま演奏されたのは、「剣の舞」。「あ〜この曲、確かに知ってるよ」と。これも結構大変そうだなと。クラシックの3曲は(も)、本当にかっこよかった。凄かった。「皆、なんでも出来るんだな、凄いなぁ」と思った、3曲だった。

演奏後、拍手喝采の場内。20:59、1部終了。さて、一体何時に終わるのだろう…。


3.第2部

21:27、2部スタート。まずは、MCから。「呑んでるか〜い」という、やり取りで始まった。この流れで、お酒を飲むとトイレが近くなるという話題になり、トイレネタ。「でも、トイレが近くなるっていいんですよね。しまいには隣にトイレで、すぐ行ける」と健ちゃん…。「トイレでよく寝たよねぇ。酔っ払うと」と、達也さん。男子トイレの便器ネタが繰り広げられる。

こんな、トイレの話題を盛り込んだMCの後に登場したのが、金子さんの曲の「Bargain Sale」。

「いや〜2部は楽しいね」と達也さん。「それじゃ、1部がつまんなかったみたいじゃん」と、健ちゃんに突っ込まれる。「1部は、ボレロがボロボロ…」と達也さん。達也さんは、佐賀県出身だが、国言葉出てこないねということで、出身地ネタ(といっても、たいしことは出ない)。達也さん曰く、ゴルフ場で、国言葉がでるらしい。「ナイスショット」を「何しよっと」に掛けたらしいが…。金子さんは、千葉県佐倉市出身。長島監督の出身でもあるが、寅さんの「櫻」ネタに発展。ちなみに、金子さんはこの時、次曲のために、フルートを用意していた。寅さんネタに合わせて、健ちゃんがピアノを奏でる。聞こえてくるのは、寅さんのテーマ。金子さん、すぐにフルートを構え、音を奏でる。達也さんが、歌う(笑)。「わたくし〜生まれも育ちも〜」の台詞から入る達也さんだが、「わたし くし」と言ってしまい、後で健ちゃんに突っ込まれていた。何気に、盛り上がった一瞬。達也さんは、「今度ベースじゃなくて、歌でこようかな。寅さん歌ってすっきりして帰るみたいな」とまで言い出す。お客さんに、「ベースのが良い」と突っ込まれる(笑)。次に演奏する、2曲の紹介も行っていた。

「Tomorrow」は、金子さんがフルートで。そうえいば、この曲のために、フルートをずっと持っていたのに、何故か、先に「寅さん」の演奏で利用。健ちゃんと金子さんのコーラスが有った。

続いては、最初の歌物楽曲。「Englishman In NewYork」。達也さんによれば、「アメリカ人が銭湯に入った曲」らしいが(笑)。健ちゃんも、半ば呆れ声で、達也さんの紹介通りに紹介していた曲。ボイスパーカッションのイントロ。達也さんは、ベースを叩いたり、ミニマラカスを振る。金子さんは、ソプラノサックスに楽器を替える。この曲は、最近健ちゃんライブでよく登場する曲だが、弾き語りとはまた違った味。途中、金子さんが足でタンバリンを叩いた。また、金子さんのコーラスもあった。彼もつくづく多才な人だ。

達也さんが、演奏後マイクを握りしめ、ベースを床に置き、自分の立ち位置を離れ、健ちゃんの所まで歩いていく。そして、健ちゃんの隣に寄り添うように座る(笑)。「オリジナルって良いよね」と言う為の長い前振りトーク(笑)。落語家の気持ちがわかると(先にオチを言われると辛いという意味)話ながら、絶好調トーク。オリジナルは、間違っても突っ込まれないというような事も言ったか。「何が言いたいんだか…」と呆れ顔の健ちゃん。

2曲続けて、健ちゃんのオリジナル楽曲。
「真っ白な八月」は、金子さんはフルート。そういえば、5月のライブの時、金子さんと2人で演奏した曲。季節的にもちょうど良い。
「かえる」は、金子さんと達也さんが、かえるを楽器で表現。「蛙の歌」をイントロに取り入れての演奏。金子さんは、5月の時に見せたように、ソプラノサックスにての「かえる」。この曲は、やはり、笑いがこぼれる曲。健ちゃんの蛙の鳴き声が、笑いを誘う。「けろっこデメタン」も少し取り入れていた。

ここでまたまた、トーク。ここでは、なんと、「ムーミンパパの歌」が登場。「後2曲で終わりです」の言葉に、「え〜」と反応した客席。「笑っていいともみたい」という流れになり、「○○ですね」、「そうですね」もやるんだよと、健ちゃん。「ドレミファの次は?」のネタから、「ムーミンパパの歌」に発展。この歌には、「ドレミファソラシド♪」というフレーズがあるからこの流れに。「皆知らないと思うけどさ」と、健ちゃんが歌ってくれた。

「Lady Madonna」、「DA BA DA DA」と、2曲軽快な音楽が続き、本編終了(22:44)。


4.アンコール

アンコールは、昨日と同様に、すぐにメンバーがステージに揃った。

「最も素晴らしい曲だと思ってる曲」と紹介されたのが、「ニューシネマパラダイス」。金子さんは、ソプラノサックス。最後は、聴かせる曲で締めくくった。メンバーは、笑顔でステージを後にした。22:55頃、終了。


5.さいごに

1部の時、「うっ、やっぱり予想通り、終わる時間は遅いのか…」とちょっと不安になった。とはいえ、今日は、お盆の夏休み期間だし、途中駅からタクシーで帰っても良いやという気持ちで、ライブに来ていたので、いつもほど時間を気にはしなかった。まあ、勿論、電車で家まで帰れることが、ベストだけれど。そんな心配をよそに、昨日に引き続き、今日も時間を考えていたようで、23時少し前には終了。今日も、あせらず、落ちついて最後までライブを観ることが出来た。

1部は、インストゥルメンタル、2部は歌物中心という構成だった。一応今回は、健ちゃんがリーダーで主催だったと思うが、オリジナル楽曲は3曲で、予想以上に少なかった。「かえる」、「ニューシネマパラダイス」は、演奏するだろうなとは思っていた。金子さんの楽曲は、5月の時に聴いた曲。達也さんの曲も演奏するかと思っていたが、この予想は外れた。

達也さんの目の前に座っていたので、今回は達也さんがよく見えたが、本分中にも書いたが、演奏している姿からは、あのトークは、想像できない。このギャップが、彼の大きな魅力なのだろうか。健ちゃんをも引っ張りこむ下ネタ等、笑いを誘うトーク。MCは、昨日より多かったと思うが、だからと言って、曲が少ないかといえばそうでもない。

クラシックの演奏は良かった。単なるクラシック的要素だけの披露ではなかった。

今回の席からは、健ちゃんの手がピアノに映っているのが見えた。指先までは見えないが、手の動きは見えた。初めて座った場所だったが、なかなか、良位置だった。

一緒に見ていた友人も、彼女のツボを得る楽曲オンパレードだった模様で、十分に楽しんでくれた。

9月14日にこのメンバーで行う杉並でのライブチケットは取っていなかったが、今日のライブを観て、ぜひ行ってみようと思い、早速チケットの手配を行った。そういえば、達也さん曰く、「杉並は、高尚な場所でのライブだから、どこまでこのMCが出来るか挑戦だ〜!」らしい(笑)。

2日間のMANDALAは、趣向が全く違い、それぞれに味が有った内容だった。