光田健一'98秋のライブツアー「走れ!ハイエース!!〜会いに来たよ!」

at.渋谷Egg-man 1998.10.3

 

演奏曲目

M1:Cry'n SmileM2:走れ!ハイエース!!,M3:優しい雨の中で(日替わりリクエスト),M4:古風な女,M5:誤解されやすい奴,M6:帰郷,M7:きっと夢を見ていた,M8:ねえ?,M9:僕はピアノが好きなんだ,M10:入道雲を飛びこえて,M11:君に夢を伝えたい,EC1:1998

 

 

10月3日,光田氏の活動拠点地である渋谷Egg-manにて,「走れ!ハイエース!!〜会いに来たよ!」ツアーの最終日を迎えた。このツアーは,いつも遠方からライブに足を運んでくれるお客さんのために,何としても出向いていきたいという光田氏の思いから,実現したものである。光田氏と小GENTLES(三枝俊治氏(B,Cho),このツアーでプロデビューとなった向井淳氏(Dr))が,ツアータイトルにもなっているように機材車であるハイエースで各地を回っていくというもので,富山のライブハウス「こっとん倶楽部」で9月10日に幕を開け,9月24日から神戸,福岡,広島,大阪,名古屋,そして渋谷にやって来るという日程であった。最終日である今回は,ツアーに参加できなかったGENTLESメンバーの藤井晴稔氏(G)をスペシャルゲストとして迎え,たまには客席で観ていようかなと思っていたが結局は参加してしまった,斉藤久美子氏(Cho),CICO氏(Per),杉野寿之氏(本来はDr)を交え,最終日にふさわしく盛大に行われた。今回はこの模様をレポートする。

 

開演時間になると,おなじみの物販宣伝放送が始まった。CICO氏によるこの放送では「CD3枚,ビデオにテレカ,スペシャルTシャツ買って頂戴!(買って頂戴のところはいろいろなversion有り)」と連呼していた。この放送,なんだか“ナマっぽい”と思って聴いていたのだが,真実は分からない。

 

光田氏と小GENTLESが登場し,向井氏の変拍子ドラムが響きわたり「Cry'n Smile」で幕を開けた。この曲の途中では,MCを歌の様にし,ライブツアーが出来たことはみんなのおかげということや,メンバー紹介を行っていた。ここのMC歌で光田氏は,1つ間違えを起こしていた。それは何かというと,曜日を言い間違えていたのだ。出だしでは「土曜の昼間に来てくれて〜」と言っていたが,なぜMCを歌のようにしているかという説明をしたときに,「日曜の昼間は時間がないからMCを減らせって言われた〜」と言っていたのだ。このとき私は心の中で,「曜日を間違えてるよ。さっきはちゃんと合っていたのに・・・。そりゃ今まで昼間にやっていたのは日曜だったけどさ。」とつぶやいていた。

 

このツアーのために作られた「走れ!ハイエース!!」では,お客さんをコーラス隊に招き入れ「Sunday,Monday,Tuesday,Wednesday,Everyday」と,皆で大合唱し,まだ始まったばかりというのにも関わらず,すでに場内は大いに盛り上がっていた。「優しい雨の中で」は客席リクエストにより選曲された物である。リクエストの方法は,あらかじめ用意されていた3曲の中から行われ,チケットの半券を光田氏が1枚選んで,その半券の持ち主が選曲する。

 

あらかじめ用意されていた曲は,光田氏のお気に入りの曲が“3つの恋”というキーワードの元に,“大人の恋”,“青春の恋”,“哀惜の恋”とされ,それらのキーワードが書かれた紙が封筒に納められており,選曲者が好きな封筒を選ぶという物であった。ちなみに“大人の恋”は「いつか2人で・・・」,“青春の恋”は「美しい想い出に」,“哀惜の恋”は「優しい雨の中で」であった。今回は“哀惜の恋”が選ばれたが,光田氏によると,このツアー中最も多く選ばれた曲だったらしい。「変なタイトルなんですけど」と紹介された,「古風な女」と「誤解されやすい奴」は,弾き語りで以前演奏されていた曲であったが,今回は3人用にアレンジして演奏された。富山の時にも「古風な女」は演奏されたが,そのときはまだ弾き語りversionであったので,その後の短期間の間にどうやらアレンジしたようである。弾き語りの時も良い曲だとは思ったが,今回のversionの方が,奥行きというか曲に広がりが出ていて私個人としてはこのversionの方が好きである(勿論,弾き語りには弾き語りの良さはあるが)。弾き語りversionと聴き比べていないのではっきりしたことは言えないが,少しアップテンポになっていたように感じた。

 

この曲の後,本ツアー中に関門海峡を通ったときの風景の美しさに感動して,「涙の関門海峡」という曲が出来てしまったことや(本当かな?),広島にはGENTLESで唯一広島出身の藤井氏に出てもらいたかったという話をし,そこからは藤井氏ネタを光田氏は話し,「実は今日来ています!」と藤井氏を呼び,スペシャルゲストとして登場した。藤井氏は登場するとすぐに,楽器のセッティングを行いだした。それを見ていた向井氏は,ドラマーからローディーに戻り藤井氏を手伝いだした。その間光田氏は藤井氏ネタをさらに話し続け,場をつないでいたが,セッティングが終わった後も光田氏の爆笑トークは繰り広げられ,藤井氏に「早くやろうよ。もう2時5分だよ。オレはスペシャルゲストちゃうんか!何なんだこの扱いは!!」と言われていた。そして,「飛行機で東京に降り立ったときに,窓から見えた富士山とかがきれいだな。この街もなかなかやるね。と思って出来た曲で,昔藤井さんと演奏したことがある曲です。その頃と歌詞は少し変わっているけどね。」と曲紹介をし,「帰郷」が演奏され,「きっと夢を見ていた」に続いていった。

 

「きっと夢を見ていた」が終わると,藤井氏はアコースティックギターをエレキギターに持ち替え,「オレはスペシャルゲストだ!何でスペシャルゲストかっていうとツアーに参加できなかったからなんだ!」と叫び,「実はオレ以外にもここに来ている奴がいる。」と言って,斉藤久美子氏とCICO氏を呼び,2人がステージに登場した。CICO氏が登場するとステージからも客席からも大きな笑いが発生した。なんと彼は,白縁の大振りサングラスを掛け,怪しい髭を付けて登場したのだ。この格好は「あんた誰?」と言ってしまいたくなるようなもので,現に光田氏は「誰なんだ!!」と言っていた。この2人を交えて,「ねえ?」が演奏された。光田氏は歌詞をCICO氏の髭にちなんで,「この髭素敵よねって(本当はこの帽子素敵よねって)ほめてくれるけど〜前の彼女にもらったなんて〜♪」と替え,途中何度か笑いながら歌っていた。これを聴いたとき「彼女にこんなのもらいたくないよ・・・」と思ってしまった。

 

「僕はピアノが好きなんだ」では,いつものように「僕はピアノが好きなんだ〜♪」の歌詞の部分をメンバー1人1人にふった。それにメンバーは応じ,三枝氏は「僕は焼き肉が好きなんだ〜♪」,藤井氏は「僕はお姉ちゃんが好きなんだ〜♪」,斉藤氏は「私はゴマが好きなのよ〜♪」,CICO氏は「ア〜ア〜ア・・・北の国からが好きなんだ〜♪(ア〜ア〜ア・・・の部分は北の国からのメロディー)」,向井氏は「僕はお寿司とステーキと昼寝とドラムが好きなんだ〜♪」と歌っていた。この曲が終わると藤井氏は「実はもう1人,さっき来た奴がいる!」と言い,杉野寿之氏がタンバリン片手に登場した。光田氏は「なんだ皆暇なんじゃないか。いっぱいになったぞ。わーいわーい!」と無邪気にはしゃいでいた。

 

メンバーがいっぱいになった状態で,本ツアー目玉企画である「入道雲を飛びこえて」での“大ア・カペラ大会”が行われた。客席でパート分けを行い,会場全部をひっくるめて“大GENTLES”と称し,ア・カペラ部分も演奏付き部分もみんなで大合唱した。ラストナンバーの「君に夢を伝えたい」が終わり,拍手喝采の中,メンバーが退場し,アンコールに応えるために再び光田氏が登場した。アンコール曲が演奏される前に,「こうやってツアーが出来たのはみんなのおかげです。つい最近スターダストレビューの正式メンバーになりました。音楽を通してこんなに素敵な人たちと巡り会えたことを,とても幸せに思っています。これからも僕は変わらず光田健一です。」ということを語っていた。とても真面目に話していたので,「真面目ですね。僕。」と言ったりもしていた。そして,「今年はいろいろな出来事があって,そんなことを振り返って出来た曲です。」と曲紹介をし,当初「説教おやじのバラード」,富山では「タイトルは決まっていません」としていた曲が「1998」というタイトルで演奏された。このツアーでの様々な出来事や,曲紹介にもあったように今年に入ってからのいろいろな出来事が思い描かれていたのだろうか。いつも以上に思いを込めて歌われたこの曲は,このライブのそしてこのツアーのラストにふさわしい曲になっていたと思う。大きな拍手の中「走れ!ハイエース!!〜会いに来たよ!」ツアーの幕を閉じた。

 

今回のライブはサンデーワイドショーライブと同様に昼の部で,長いようで短い2時間という限られた時間ではあったが,サンデーワイドショー以上にとても内容が濃かったと思う。本ツアーが大成功であったことは,このライブで十分感じることが出来た。このツアーを機に,ますます飛躍的に伸びて行くであろう光田氏に,今後も変わらず期待していきたいと思う。ライブツアーはきっと,光田氏の大切で楽しみな物の1つに加えられることであろう。今後もがんばってツアーを行って欲しいと思う。最後に,「ツアーの成功おめでとうございます。」という言葉を光田氏と小GENTLES,そしてこれを支えてきたスタッフの方々に捧げたいと思う。