ギター遍歴 第1章



小学5年の時、同じクラスの女の子が自分の友達の誕生日に詩を贈ろうとしていて、 
「この詩どうかな?」って私に見せて来た。 
そこには飾りの無い素直な気持ちが綴られて、読んでいた私にはとても心地良かった。 
「凄く良いんじゃない。」 
で、終われば良かったのですが、思わず 
「これに曲を付けるともっと良いかも。」って言ってしまった・・・。 
「出来るの?」の彼女の問い掛けに、 
「で、出来るよ・・・。」 
そう答えるしか仕方なかった・・・。 

さー大変。自分で言った以上、なんとか曲を作らないといけなくなった。 
今まで、当然曲なんか作った事ないし、どうしたものか・・・。 
とりあえず家に帰り、何か音を出せる物は無いかと辺りを探して見れば、音楽の授業で使うリコーダーが有った。 
ちょっと吹いてみたけど、なんか違う。 
「こんなんじゃダメだ。」 
他に何か無いかと探したけど何も無い・・・。 
その時、ふと押入れの奥にフォークギターが有るのを思い出した。 
押入れの中から埃まみれのフォークギターを引っ張り出し、とりあえず抱えて弾いてみる。 
「ポロ〜ン」 なんか変な音。 
それまでギターを弾いた事無い私でも、明らかにチューニングが合ってないが分かった 
「どうしよう?」 チューニングの合わせ方なんか知らないし、考えても答えは出て来るはずが有りません。 
私は本屋に走り、チューニングの合わせ方等をメモった。 
そして家に帰り、チューニングを合わせてみる。 
でも上手く合いません。 
それもそのはずです。基本に成る音が取れないから、合わし様が無いのです。 
そこで先ほどのリコーダーを使い、吹きながら合わせる事にした。 
「ジャン!」 なんとか音が出る様に成った。 
「これでどうにか成りそうだ。」 そう思ったのは私の早合点。 
今度はコードが分からない・・・。 
また本屋に走るはめに・・・。コードを片っ端からメモる。 

家に帰り早速弾いてみる。 
「C」 楽勝、楽勝。 
「A」 簡単、簡単。 
「F」 ・・・。 
「F」 ・・・あれ? 
音が出ない・・・。 
仕方ない「F」は後回し。とりあえず音が鳴るコードだけで作ってみる事に。 

もう1度、彼女の詩を読んでみる。 
詩の内容にコードの音を合わせながら鼻歌でメロディーを付けていく。 
でも彼女の詩は当然歌詞では無い為、文字数とかもバラバラで曲を付け様にも上手くまとまらない。 
言葉を変えてしまうのも悪いし、出来る限り原文のままで作りたかった。 
で結局、サビに成る部分を繰り返しにする事により、なんとか曲を作る事が出来た。 

そして、その彼女の友達の誕生日。 
カセットテープに収められたこの曲がテープレコーダーから流れ出す。 
その時の彼女達の泣き顔は今でもはっきりと憶えている。 

これをきっかけにギターを弾きだし、曲を作り、人前で演奏する事の喜びを知り得た。 
そんな彼女達に本当に感謝したい。 

それにしても、初めて弾いた曲が自分の曲って言う人も、中々居ないんじゃないかな。