冷たい人間



中学3年の冬の或る日、父親に「話がある。」と呼ばれた。
父「父さん達、離婚しようと思うんやけど、お前はどう思う。」

理由はどうあれ『離婚する』と言う事は夫婦間に「もうどうしようもない。」物が有ったはずだし、
その事についても幾度となく話し合いもされていたはず。
その話の中には当然子供の事も話し合ったはず。
それにも関わらず『離婚』と言う答えが出たのだから、今更子供が「離婚せんとって。」等と言ったところで
意味が無い。
そんな事を思いとっさにこんな言葉が出た。

「それを俺に聞いてどうするん?子供が『離婚せんとって。』って言ったぐらいで離婚せんで済むんやったら
初めから『離婚する。』とか言わんといて。」

すると父は「・・・。お前は冷たい人間や・・・。」と一言・・・。


まぁ、確かに子供らしい言葉では無かったと思うけど、正直『お前は冷たい人間や。』は堪えた。
でもなぜ堪えたのか・・・。
自分成りに色々考えて或る結論に達した。
それは『私の本質』を捉えた言葉だったからだと思う。

私は昔からどこか冷めている子供だった。
自分自身を客観的に見ているもう一人の自分がいつも居てる。
普通の子供なら、あの父の問い掛けに「離婚せんとって。」と泣き叫んぶものなのかもしれないが、
私には出来無かった。

『意味が無い。』から言わない・・・。
言っても『無駄』だから言わない・・・。
子供らしくない子供・・・。


私が結婚しない理由の1つ、『私の様な子供は欲しく無い。』
『冷たい人間』は私1人で十分なのです。