欲と進化と退化と



以前のコラムでも少し触れましたが、人間と言うのは実に欲深い生き物です。
仮に或る欲求が満たされると、また次の新しい欲求が出て行き、
今の環境に満足することなく絶えず欲求不満状態と成ります。

この『欲』と言う言葉には負のイメージが有りますが、
この『欲』は人間にとって無くては成らないものでも有ります。

今、生活の中に有る物全て、また、環境の全ては
『欲』が有ったからこそ生まれてきた物で成り立ち、
『もっと楽をしたい。』と言う欲から洗濯機、掃除機など。
『今すぐ人と話したい。』言う欲から電話、チャットなど。
『早く移動したい。』言う欲から自動車、電車だど。
言い出すとキリが無いくらい出てくるはずです。

と言う事は、「欲が有れば有るほど、人間は進化する。」と言う事に成ってしまう。
欲が絶えず出て、それを満足させる物、道具を生み出す。
今、この瞬間にも進化し続け、大変便利な世界に成るだろう。

「それなら、どんどん欲をかけば良いの?」

イヤ、そう思うのは少し早合点。
実はこの『大変便利な世界』と言うのが厄介なのだ。


究極の便利な世界を思い描いて下さい。
恐らく、頭の中で考えるだけで何でも出来る世界です。
口で話さなくても、テレパシーで会話をし、思い描いた物が実物で出てくる。
歩く事も、手を使う事も必要としません。
そうなれば、どうなるのでしょう?
当然、使わなければ無くなります。
歩く事をしなければ、足の筋肉が見る見る落ちて行き、段々短くなって来る。
そして、最終的には足が無くなってしまうかもしれません。
所謂、『退化』です。
手も同じです。また、口や耳なども必要としなくなれば無くなります。
そして、最終形態として『脳だけの生き物』となってしまうかもしれません。

当然、ここまでに成るにはかなりの年月が必要かと思いますが、
ここ数年の進歩を見てると、そんなに遠い未来でもないかもしねませんね。