お台場乗っ取り計画2

 8月20日午前0時20分。浅ちゃんの家へ愛車(自転車)を走らせ、10分もたたない間に到着する。すでに星也はそこにいた。とりあえず私達は出発予定時刻の4時まで時間をつぶすことにした(今思うと寝ればよかった)。
とりあえず時間をつぶす代表的なものとして、トランプをすることにした。しかしただトランプをやったのではつまらない。そこで、とりあえず彼の部屋にあるありったけのトランプをかき集めてみた。

162枚あった。普通の量の3倍である。しかし、左の写真をみればわかる通り、上のディズニーランドのトランプは変色がはげしい。よって、上のトランプを除いた、計108枚(ジョーカー4枚)のトランプで遊ぶことにした。
 最初にババ抜きをやったのだが(ジョーカーを3枚にした)、あまりにもあっけなく、トランプの量を倍にしたメリットがまるで感じられなかったので、多少オリジナルルールを含んだ大富豪をやることになった。
 〜オリジナルルール〜
一.面倒なので、八切り、縛り、イレブンバック、階段は無し
一.カードがやたら多いので、革命は5枚から(ファイブカードと命名)
一.シックスカードの場合、一番強いカードを選択できる
一.セブンカードの場合、一番強いカードを選択できる上、要らないカードを5枚場に出せる
一.エイトカードの場合、その試合は勝ち
一.ナインカード以降は、神になれる


 

とりあえず試合は始められた。右の写真を見ればわかると思うのだが、とにかくそろえるのが面倒くさい (ちなみにこの時私はジョーカーを一枚持っていたので、7のシックスカードを出すことに成功している)。
 
 すると、突然星也が笑い出した。この男がこんなに笑うなんて、久しく見ていない。次の瞬間、星也はジョーカーを巧みに使い、エイトカードを成功させた。この時点で星也の勝ちである。 大富豪は知っての通り、ビリが一位に一番強いカードを2枚渡さないとならない。つまり、ジョーカーを受け取る可能性が莫大に増えるのだ。

 私たちの心配の通り、星也は次の試合で即ナインカードを決め、神となった。どうせ出ないだろうと思って適当に考えただけに、非常に困った。とりあえず全ての決定権は星也にあるということになってしまい、これ以降の勝負はもはや無意味という結論に達したので、大富豪はここにて終了となった。

 

 この時点でまだ2時30分である。次にどうやって時間をつぶそうか。すると、浅ちゃんはあらかじめ用意していたかのようにこう言った。
「カップラーメンにいろんな飲み物を入れて食おう」
かなり楽しそうだ。私たちは即コンビニへ行き、カップヌードルのちっちゃいのを5個、コーラ、カルピス、コーヒー(ブラック)、トマトジュース、ウィダーインゼリーを買った。 似たようなことをしてる人は結構いると思うが、ウィダーインゼリーを入れようとした人たちはおそらくはいるまい。どういったゲテモノが出来るのか、私たちはわくわくしながら作り始めた。以下はその感想である。

コーラ…見た目はガソリンのようであり、非常に甘い匂いが食欲を失わせる。一度口に入れた途端、これは毒か?といったほどの甘さが口の中に広がり、やや震える。肉は美味。
 カルピス…見た目はとんこつスープのようであり、期待が持てる。しかし食べた瞬間、その期待は闇の中へと葬り去られるようであった。味はほぼコーラと同じ。肉は美味。
 トマトジュース…一番ましだろうと思っていただけに、衝撃は大きかった。一見ミネストローネのようなのだが、すっぱい以外の何物でもなかった。相変わらず肉は美味。
 コーヒー…開けた瞬間、なんでこんなに肉がいっぱい?と思ったら、黒く染まったたまごだった。口に入れると一瞬で苦味が口いっぱいに広がり、絶望を感じた。しかし肉は美味。
 ウィダーインゼリー…見た目はあんかけ焼きそばのようでかなりおいしそう。ところがどっこい、温まったマスカット味のゼリーと麺とのコラボレーションは奇跡と呼ばざるを得なかった。今でもその食感を思い出すと吐き気がする。肉も不味い。

 

 

 そんなこんなで4時になったので、出発することにした。各々が愛車にまたがり、お台場を目指す。距離的には、錦糸町からお台場までといった感じである。予定ではぴったり一時間で着くはずだ。まだ暗い道を自転車で颯爽と駆け抜ける。フフ、青春だ。もちろんただのアホだということも重々承知している。


  とりあえずお台場に到着した。着けばすぐ大江戸温泉の場所はわかるだろうと思っていたのだが、よくわからないのでフジテレビの警備員に聞いたところ、 「アーチ状の建物の向こう側です」 と言われた。その発言は嫌がらせか?と思いながら自転車を走らせたが、アーチ状の建物が多すぎてまるでわからなかったので、コンビニのお兄さんに聞いたら、すっごい丁寧に教えてくれた。今度から道はコンビニの人に聞くことに決めた。

 そして大江戸温泉到着。右の写真は入り口で撮影。浅ちゃんが完璧なポーズをとってくれた。中に入り、それっぽい雰囲気に圧倒されながらもなんとか受付を済ませる。すると受付の人が、「足湯は終わりました。また、お店はここのうどん屋だけです」と言った。朝だから出し物は少ないだろうとは予想していたが、それを上回る待遇に笑わずにはいられなかった。受付の人もつられて笑っていた。そして僕らは悲しくなった。

 

 

 

 朝なので客は自分らだけだろうと思っていたが、意外にいた(多分ツアーかなんか。子供がすんごいいた)。様々な風呂があり、どれも特徴があり楽しめたのだが、中でもよかったのが 「蒸し湯」 というサウナである。中に入ると目が開かない。ふと温度計に目をやると、80℃を指していた。とてもじゃないが10分もいられない。しかし、ある太った中年の男は30分以上も入っていた。痩せたいという一心が彼をそこまで忍耐強くさせたのだろう。 私たちは計2時間ほど温泉を楽しんだのだが、うち1時間はこの蒸し湯と水風呂のローテーションであった。

 風呂から出て、広場みたいなところで寝ていたら、星也とはぐれた。私と浅ちゃんは少し心配になったが、睡魔が勝った。30分ほど寝て、そろそろ星也を探そうというところでバッタリ星也と会った。よかったよかった。 見つかったついでにうどんを食べようと思ったが、値段に驚きやめた。

 そしてついに、この日の本当の目的であるお台場乗っ取り計画を実行する時が来た。
「今、フジテレビでは冒険王をやってるから、警備が3倍になってるらしい」
これは浅ちゃんが友達から聞いた話らしい。そんなわけだから一般人の量もハンパではない。そんな中でコントなんかできるのだろうか。



 

 

 


 結果は惨敗であった(ホントになにもできなかった)。
だけど、いいんだ。僕たちは、フジテレビに侵入するよりも、もっと大きなものを手に入れたんだ。お昼ごはんはマックで済ませたけど、みんなそこで寝ちゃったんだ。帰りは、コンビニを見つけ次第そこで休憩するなんて言っちゃったもんだから、2時間半かかったんだ。
 とりあえず帰った後、カップラーメンを食べた。おいしかった。

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