全ては中学校の時の同級生である星也の一言から始まった。
「今度健康ランド行こう。」
高校三年生が行くところなのかなぁと思ったが、ちょっと面白そうだ。だけど二人だけだとなんか微妙なので、小学校の時の友人で、現在早稲田高校に通っている浅ちゃんを誘うことにした。
彼は二つ返事でOKをし、話し合いの結果、8月20日、数ある健康ランドの中からお台場にある「大江戸温泉」へ行くことになったのである。
私は姉に頼み、大江戸温泉についてインターネットで調べてもらった。 すると、値段が思ったより高い。約3000円である。
私 「なんか安くなったりする券とかないのかなぁ?」
姉 「ちょっと待って。今探してみるから。・・・あ、なんかこれ安いよ。朝料金だって。えっとねぇ、5時から9時は半額だって!」
私 「・・・それいいな。」
早速浅ちゃんのところへ連絡を入れる。
私 「あのさぁ、入場料金高いからさ、朝行こうよ。5時から9時までだと1500円だって。」
浅ちゃん 「それって何時出発?」
私 「とりあえず完璧に堪能したいから、四時間フルに遊べるように考えると、まぁ4時には出発だね。電車ないから自転車でちょうど一時間ぐらいのはず」
浅ちゃん 「誰だよその朝料金とかいう制度考えたヤツは。頭ワリィよ。」
私 「え、やっぱ早すぎる?もうちょい遅くする?」
浅ちゃん 「いや、何言ってんの?」
私 「ってことは4時出発でいいの?」
浅ちゃん 「当然だろ」
まず一人了承を得ることができた。
次は星也である。私の知ってる彼(つまり中学校の頃)ならばどんな無茶なことでも了解してくれるが、さすがに高校三年間の間に多少の道徳は心得てるようだ。来年からは就職するらしい。そのことについて彼に聞いてみると、
「先生にさ、やりがいのない仕事ないですか?って聞いたんだよ。それで、これはやりがいないぞ。って言われて紹介された仕事につくんだ。なんか印刷業らしいけど。」
と言っていた。心配したが、あの頃となんら変わってない。安心した私は大江戸温泉の話を彼にすると、即OKされた。こういった、どんな無理を言っても理解(?)してくれる友人を持つと人生が10倍楽しくなる。
それから一日か二日して、浅ちゃんからこんなメールが来た。
「その日お台場乗っ取ろうぜ」
意味がよくわからない。 詳細を聞くため彼に電話した所、フジテレビに侵入して、どんな手を使ってでもなにかの番組に出演するというものであった。つまり、『番組に出演する=お台場を乗っ取る』
ということらしい。さらに彼は、「若手芸人になりすます作戦」というのを打ち立て、「座・バラバラ」という超マイナーな三人組の芸人を探し出し、彼らになりすますと言い出した。
私 「もし 『座・バラバラ』 じゃないってバレたらどうするの?」
浅ちゃん 「その時は 『カンカラカンコン豆の木チーム』 と名乗る」
カンカラカンコン豆の木チームとはなんなのか。それには小学校の頃の話に遡らなければならない。ポケモンの赤、緑が流行っていた頃である。当時、毎週木曜日の6時半からテレビ東京で、小学生の二つのグループがそれぞれ自慢のポケモンを三匹ずつ選んで戦わせるという番組をやっていた(その番組はゲームかなんかの番組で、ポケモンを戦わせるってのはその中のコーナーの一部であった)。そして、彼らにはチーム名というものが存在した。ポケモン最強チームとか、確かそんな安直なグループ名であった気がする。その番組に影響されまくっていた私たちは、このコーナーに出よう!と決意したのである。それぞれが自信のあるポケモンを推薦し(確か三匹のレベルを足して155以下とかそんな規定があった)、三匹は選ばれた。次にチーム名である。
どうせならインパクトの強いものにしようと色々考えたがなかなか決まらない。そんな時、ふと隣の本棚に目をやると、「空き缶カンカラカンコン」と
「ジャックと豆の木」の二冊が目についた。話し合いの結果、チーム名は「カンカラカンコン豆の木チーム」となったものの、結局応募せずに終わった、というのが由来である。
浅ちゃん 「そんで、もし警備員に止められたら、コントを披露しよう」
私 「そんじゃさ、ショートコントにしてさ、一回一回終わるたびに 『カンカラカンコン!豆の木チーム!!』 って言おうよ。ポーズとかも考えてさ。絶対ウケるよ」
浅ちゃん 「あ〜、いいねそれ。そんじゃ俺コント考えとくわ。たぶんパクリになるけど」
私 「任せたよ」
てなわけで、2005年8月20日、お台場でひと暴れしてきます。
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