ある関係 (上)

一番きまずいのは、俺だった・・・

これから書くことは、あまりなさそうで実はよくある、奇妙な三角関係である・・・

 つい最近の出来事である。高校二年生になった私たちは、来年の受験のことを考え、遊べるのは今しかないととにかく遊んでいた。だが、遊ぶといっても限界がある。そこで私たちは、とにかく学校行事に熱をいれることにしたのだ。というわけで、体育祭や文化祭 (文化祭は結構俺がすごいことやったんで書く価値があると思うから多分あとで詳しく書く) に青春を注ぎ込んだものの、それといった良い結果は返ってこなかったのだった。そこで私たちのクラスが目指すもの、それは2月14日に行われる合唱コンクールでの優勝であった。

 話は少しさかのぼる。あれは確か11月の終わり頃であった。クラスの友達が授業中に私に話しかけてきたのだ。
「あのさぁ、モキチと小津さん(仮名)、最近仲良くない?」
「ん・・・。そう言われると確かに。てか今もなんか喋ってるじゃないか」
 モキチとは、我々の友人で、斉藤という苗字であるが故に一年の頃からずっとモキチと呼ばれていて、本人が頼むからもう呼ばないでくれと懇願しているにも関わらず、聞く耳をまるでもたれない親しみやすい男である。そんな彼と、私は同じクラスになってからよく会話したが、恋愛については皆無であったのだ。それだけに、モキチと小津さんとの仲は興味が引かれるものがあった。
「・・・ひょっとしたらモキチ気があるんじゃないの?いくら席が近いからって話しすぎだって」
「そうだな。もう今日なんか話しかけるの五度目だぜ
「けどなんか聞きづらいな。モキチだとなおさらだ」
 ちなみに小津さんは背がとても小さく、なかなかかわいらしい人である。 確かに好きになる人が何人かいてもおかしくない。そんなことを考えながら、私は決定的な瞬間を目の当たりにしてしまう。
 モキチが放課後、小津さんにアドレスを聞いていたのである。モキチは無表情で自分の携帯にアドレスを打っていたが、まんざらでもなさそうな表情にも見える。ようするに、すっごい喜んでいるのを頑張って無表情にしようとしている彼がいたのである。私はとにかく驚いた。まさかモキチがそんな行動をとるなんて・・・。 そこで私は思い切ってモキチに聞いてみたのだ。
「おいモキチ、今のは一体どういうことすか??」
「いや、どーもこーもないよ。・・・これからちょっと飯でも食いに行こうか」
唐突だよ。 別にいいけどなんで?」
「いや、ちょっと今のことで君に話したいことがあるんだ」
 これはあれだ。いわゆる相談ってやつだ。私には特に断る理由もないし、むしろ興味があったのでモキチについていくことにした。話しあった結果、びっくりラーメンという、180円でラーメンが食える、学生にはありがたい店で会合を開くことになった。 余談だが、このびっくりラーメンは地元では意外と有名で、口にした人の八割が「まずさにびっくり」と答える。私はそこまでまずくないと思うが。それよりも従業員全てが中国人というところに私はびっくりした。

 ラーメンを頼んで私はすぐに聞いた。
「モキチは小津さん好きなの?」
「・・・そうだよ。二年に入ってからずっとだよ」
 まさかモキチからそんな言葉がでるとは。なんて素直で健気なんだ。私だったら絶対ごまかす。
 その後もモキチからあらゆる情報を引き出し、私はしばし呆然としてしまった。あのモキチがそこまで色々考えていたとは。だてに歌人の名前で呼ばれていない。そしてモキチは次のように言った。
「実はもう一人この事を教えて、協力を得たい人がいるんだよね」
「ん、誰?」
「ノリオだよ」
「・・・ノリオか」                        続く

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