COLUMN THE JIGSAW  SEX

子宮の気持ち 6

愛って血の匂い 木村恵子

 好きな男に殴られたい。
顔に青あざつくって人に見せたい。
彼、あたしに夢中なのよって他の女の子に自慢したい。
人に見せる……のがミソなのよね。

 例えば世の中にはいろんな人がいてさ、
ラヴホテルで仲居さんにお金払ってSEXしてるとこ
そこで見ててくれとかっていうカップルがいたりするでしょう。
とにかく何でも「愛の証」とゆーやつを人に見せるのって快感なのよね。
要するに刺激が欲しい。
だってイマジネイションは日に日に枯渇してゆくばかりだしAVなんか見たら萎えちゃう。
薄毛の19歳だか何だか知らないけど、
どうしてああいうものを見てインポにならないのだろう。
教えて下さい。

 それに比べて映画だとエッチな妄想を掻き立ててくれるものってかなりあるよね。
例えばカトリーヌ・ドヌーヴの「昼顔」にしてもマゾ女の話でしょ。
森の中で縛られたり顔に泥がいっぱい飛んで来たり鞭で打たれたりして
「許して」とか言っちゃってさ、
セブリーヌは「愛して!愛して!」って体で表現しているのね。
それとか谷崎潤一郎の「鍵」で松尾嘉代が出て来て、
納屋で書生としちゃうやつとか若い子には刺激強すぎるんじゃない。
あーゆーのは本当にいやらしいね。

 AVでもうなぎを中に入れちゃうとか
日本人ってやっぱりすごくイマジネイション豊かなのかな。
「愛のコリーダ」にしたって旅館の布団や着物のひもとかの淫靡なイメージって
外人さん勝てないよね。
安部定が相手のオチンチン、リアルに切っちゃうとこ見たかったりして。

 まあ愛の極みとゆーか安部定レベルまできちゃうと完璧向こう岸でおっかないけど、
やっぱりロマンチックでちょっとアブノーマルなものって、絶えず探してたりするよね。
レディースコミックの過激なことといったら……。

 一方活字で感じるタイプの方々は宇能鴻一郎さんの秘かなファンも多いのでは。
あの人は天才だと思う。
でもきっと実際書いてるときはボッキしながら……
どころかそれこそゲーゲー吐いたりしながら骨身を削ってたのかも。
何でもSEXを商売にするのはつらいね。

 好きな男じゃなきゃ当然こっちがいじめる側よね。
変な男に誤解されたら悲劇。
強姦されたいのはあくまでも「好きな男」なの。

 こないだ松任谷由実さんとお会いした時に映画の「スージー・ウォンの世界」を
教えてもらったんだけど、唇自分で噛んで血をヌメッと出して他の女の子達の所へ行って
「彼があたしのこと死ぬほど妬いてるのよ」とか言っちゃう気持ち分かるなァ。

 殴られたいよう。
そこまで愛されたい。想われたい。
口のはしから血を流したまま仕事に行きたいわ。


キムラケイコ
 ミュージシャン。
最近、周りがO型の人ばかりでとても楽しい。
O型ってマゾが多いから一緒にいて、深い。