COLUMN THE JIGSAW  SEX

子宮の気持ち 4

憧れのAカップ 木村恵子

 ついこの間までDカップだった胸が、
ダイエットしたらCカップになってとてもうれしい私。
胸のある人がうらやましいなんていう女性がいるけど私は胸のない人がうらやましい。
生理前なんて脇と胸の間のリンパ腺がど〜んと腫れて重くなるし、
ストラップレスブラはずり落っこってくるし、
第一日本じゃ圧倒的にAやBカップ中心でしょ。
可愛いブラなんてDやEじゃ全くないし、
色も白とかベージュみたいのしかなくてうんざり。

 まあ最近では胸の大きい人も増えたのか、
Dカップ位だったら何とかお店に置いてあるからいいけど、
外国に行くと私なんて逆に小さいサイズになっちゃったりするから驚きだよね。

 ところで男というものはどうしてそんなに女性の胸の谷間が好きなんだろう。
胸より谷間が好きなんていう人もいたりして、
「君の胸の谷間で窒息して死にたい」というフレーズをウチの留守電に
何度も吹き込んだバカもいたりして、
一般的にはワイヤーの入ったブラで胸を下からグッと持ち上げて、
乳首は見せずに谷間だけ……というのがいいらしい。
だけど胸が大きい人がワイヤー入りのブラなんかしようものなら、
いきなりホルスタインになってしまうこの悲しさ。

 セックスする時に胸が大きい方がいいか周囲の人に訊いたところ、
”小さくないと感じない”という一部少数派を除いて、
「甘えられていい」「赤ちゃん気分になれる」「パイズリしたい」等の答えが多かった。
私がレズをするなら、やっぱり大きい方がいいと思うくらいだから男の人は当然だろうし、
乳児の気分になってる男から”ママ”と呼ばれないと感じない女性もけっこういそうだ。
やはり大きい胸は人類をストレスや孤独から守る最高のグッズであるのだろう。

にもかかわらずその昔はよくセーラー服で学校に通う地下鉄の中で
私は本当によくおじさん達の餌食になった。
中1の頃は気が弱くて泣きながら胸をさわられたり、
精液をもろスカートにつけられたりしていた私も、
中3にもなるとそこは生活の知恵というやつで、
小さなカッターナイフをセーラー服のポケットに入れて、
おさわりしてくるおじさんのお手々にすじを入れて差し上げたこともあった。

 どうして自然のままじゃいけないの、隠さなくちゃならないのという内なる声と闘いながら、
胸の目立たない服を着て色や柄でごまかしたり、
わざと猫背にして胸のないように見せていた最近までの私。
どうせ母性本能強いわよ。
ない人には分からないこのつらさ。
でもこのごろ平気で上半身のシルエットが出るような服着て歩いている自分がいたいけだ。
もっともっと胸張って堂々と、今度こそおじさん達の野次に負けない自分になりたい。
CDEカップのお姉様方よ、そうは思いませんか?


キムラケイコ
 ミュージシャン。
FM東京でDJをしています(毎金18時〜20時)。
生放送なのでパンツがぐっしょり。差し入れはパンツをね。