ディアナ
ディアナ
2000.9.19 release

作詩 伊東友香
作曲 程塚繁樹
編曲 程塚繁樹&長尾和明

マンドリン 長尾和明
伊東友香さんとの作品でも、最も評価の高い作品のひとつですし、私自身、自分の曲の中でも良いものの一つと自負のある作品です。前作「まのぬけた月」を練習、録音している最中にすでに、何曲か新作を用意しました。この「ディアナ」は、伊東さんが「娼婦ヴェロニカ」という映画をみてインスピレーションが沸き書いた詩で、最初の段階では「娼婦」という題名でした。その詩を彼女が送ってくれた時(2000.6.5)、私は気に留めていたのですが、実際には「偽善者の森」(発表はずっと後になりました)のほうが先に出来上がり、練習に入っていました。しかし、伊東さん自身は、後から完成(2000.8)したこの「ディアナ」をいたく気に入ってくれて、こちらの曲を先に録音しようということになりました。この歌の内容は、ヴェネチアのゴンドラの上で、官能的な夜を過ごす二人のシーンです。「神が寛容な心をお持ちなら」と始まる歌詞の世界は、普通のPOPSとはまったく違う、後に「伊東友香的」とも言われるようになる非常に深く、そして幻想的で、そして不思議なほどリアルな世界観を代表しています。ディアナ(Diana)は、英語では「ダイナア」元来は多産を象徴する地母神で野性の動物たちの守護神であったそうですが、いつしか処女の狩人のイメージが定着したそうです。細い体、小さなお尻、すんなりとした乙女の姿をし、チュニックを着て弓矢を持っている。牡鹿か犬を連れており月光の女神として月とともに描かれている事が多いそうです。なんとなく、伊東さんのイメージにも重なるかもしれませんね。それにしても、この詩は、そのディアナのイメージを余すところなく描いていて驚かされます。「首をお土産に空へと帰って」のフレーズは「サロメ」のイメージだと思います。 曲はゴンドラをイメージしたので、8分の6拍子でバルカローレ(舟歌)またはシチリアーナのリズムを使ってみました。音階には、教会旋法のドリアン(正格ドリア調)を採用しました。アレンジ、およびマンドリンの演奏(船の上で弾く楽士を象徴)は、長尾和明君。彼は、間奏の弦楽器のメロディーも考えてくれましたし、その演奏は、この作品のレベルとぐっと上げた素晴らしいものです。彼は、この演奏を、レコーディング現場で場で考えながら、すぐに録音してくれました。この歌は、伊東さんのファーストアルバム「Angel Breath」(2001年10月発売)時に再録音されましたが、その後、ライブ等では、まだ歌っていない作品の一つになっています。難しい歌ですが、私個人的には、ぜひ伊東さんに歌ってもらいたい曲の一つです。また、余談になりますが、伊東さんは、映画やTVを見て霊感を得て詩を書くことが間々あります。最近の作品でも「月の神話」などがそうです。やはり、詩人というのは、鋭い感性があるものだと、思うことが多いです。 ともかく、深みのある歌なので、何度も聴いて欲しい作品です。程塚繁樹 記

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