ハイドン,ボッケリーニ/チェロ協奏曲集
ハイドン/チェロ協奏曲第1番ハ長調(カデンツァ:ペーテル・ブレイナー)
ハイドン/チェロ協奏曲第2番ニ長調(カデンツァ:ペーテル・ブレイナー)
ボッケリーニ/チェロ協奏曲変ロ長調
●演奏
ルドヴィート・カンタ(Vc)
ペーテル・ブレイナー/カペラ・イストロポリターナ
●NAXOS 8.550059(輸入盤)
●録音  1987-1988/ブラティスラウ゛ァ

古典派時代のチェロ協奏曲の名曲を1枚に収めたCDです。録音はカンタさんがOEKに入る直前,スロヴァキアで行われています。丁度,NAXOSレーベルが頭角を表し始めた時期です。NAXOSレーベルは,「クラシック音楽の価格破壊」的な感じで登場してきましたが,その後,内容の面でも評価を高めています。それほどメジャーではないけれども実力のある奏者たちの演奏によって,「クラシック音楽の百科事典」的な方針でCDを制作しており,近年では,メジャー・レーベルに並ぶステータスを築いています。その初期の代表作がこのチェロ協奏曲集です。

NAXOSの録音は,演奏者の個性よりは,曲を歪めず純粋に伝えるものが多いのですが,この演奏は,かなり独特なものになっています。カデンツァが登場するまでは,正統的な演奏なのですが,指揮者のブレイナー氏作のカデンツァになると,急にジャズ風というかブルースのような雰囲気になるのです。この辺は好みを分かつところですが,このことによってこのCDが有名になったのも事実です。

ハイドンのチェロ協奏曲は高音や重音が続出する難曲ですが,カンタさんは安定した技巧で見事に演奏しています。カンタさんのカンタービレはいつも見事ですが,第1番の最終楽章などのスピード感溢れる演奏も快適です。オーケストラとの音量のバランスも良いと思います。ボッケリーニの方は,グリュツマッヒャーという人の編曲したものが一般的なようですが,この演奏が何版なのか私にはよくわかりません。ご存知の方があれば教えて下さい。

このCDの伴奏を務めているカペラ・イストロポリターナという団体は,スロヴァキア・フィルのメンバーからなる室内オーケストラです。録音当時,カンタさんと元OEKのコンサートマスターだったパヴェル・ボカチュさんも参加していたようです。つまり,NAXOS初期のレコーディングによく登場していたこのオーケストラ及びスロヴァキア・フィルの録音には,このお二人の音も入っていることになります。