21世紀へのメッセージ Vol.2
藤家渓子/思いだす ひとびとのしぐさを−室内オーケストラのための(1994)
湯浅譲二/ピアノ・コンチェルティーノ(1994)
田中カレン/ウェーヴ・メカニクス−20人の奏者のための(1994)
猿谷紀郎/透空の蔦(1994)

指揮/岩城宏之 独奏/木村かをり(ピアノ)
●発売/ポリドール株式会社(1995.4.26)
●DeutscheGrammophon POCG-1860 ¥2,718(税抜)
●録音/富山県・小杉町文化ホール ラポール(1994.8,10)

このシリーズの第1作が現代日本のベテラン作曲の作品を集めたのに対して,第2作は,湯浅譲二の作品を除くと若手作曲家の作品が中心となっている。評価の定まっていない作曲家を取り上げたという点で非常に冒険的な試みとなっている。若手作曲家に発表の場を提供するというだけで,彼らにとっては,有り難いことなのではないかと思う。

先に評価が定まっていないと書いたが,藤家の作品が尾高賞を受賞したのをはじめ,他の作品もその後,あれこれ賞を受賞し,このCD自体も音楽之友社のレコードアカデミー賞の現代音楽部門を受賞している。この作品集自体がOEKにとっても各作曲家にとっても新たなに活動を行っていくための基盤になったといる。

曲の中では,藤家の作品が実際に生で聴いた印象からしても,曲想が華やかで変化があり,とても斬新である。田中作品からは,通常とは全然違うオーケストラの音が楽しめる(耳障りな人もいるかもしれないが)。ホラー映画やSF映画に合いそうな音で,地球外の宇宙空間などを思い浮かべてしまう。

猿谷の作品からも,小編成オーケストラとは思えないほどスケール感のある響きがする。湯浅の作品は,これらに比べると,いちばんまとまっていて,落ち着いて聞える。木村の純粋で硬質なタッチも美しい。