軍歌一般論

軍国少年

軍歌と言えば「教育」

 この世代にとって、軍歌といえば「教育」であるようです。
 なにしろ、昭和12年から昭和20年にかけての日本といえば、よくもまあここまで戦時歌謡を作ったものだと思えるくらい、戦時歌謡まみれの時代でしたので、このころ少年期を過ごした世代は、軍歌しか歌わされずに育ったといってよいようです。
 しかも、ここまで過酷な軍国教育をうけたのは、この世代のみで、とくに昭和18年から昭和20年の日本の教育は、過去にも未来にも例が無いくらいの軍国教育の色の濃いものとなっています。
 よって、この世代の軍国批判というのは、ほかのどの世代よりも、ものすさまじいものとなっています。だいたいにして、全力投球、自分の人生をかけてまで、熱心に軍国主義を批判される日本人は、どうも、この世代のかたたちが多いように思われます。「はだしのゲン」の作者にしてもそうですし、「ボクラ少国民と戦争応援歌」という本を書いて、徹底した軍国批判をされている、作家の山中 恒さんにしても軍国少年の世代です。
 なにしろ、子供のころ教え込まれた教育一切が、敗戦とともに、全て否定されたのですから、それはそれはやりきれない怒りにおそわれるはずです。
 戦後、あっさりと親米派になっていく大人達をみて、
「大人は、けっこういい加減だ。」
 と、つよい反抗心をもったかたが多いようです。