「ベルリンへの誘い」で私の正体をバラしてしまった。肝臓は頂き物で心臓は電池仕掛けで
動いている。サイボーグかゾンビのような人間だ。
でも、本人はいたって脳天気で幸せ一杯、駄洒落の製造機のように暮らしてきたのであるが、
「店主の呟き」が4ヶ月以上ストップしているには訳がある。
昨年末に、大切な友人を亡くしてしまった。詳しくは書けないが、ずっと尾を引いていた。
3月14日、この日はライブで忙しかった、11時半ごろシャッターを降ろし帰ろうと車に向かって、
歩き始めたとき、左手で鷲掴みにしていたセカンドバッグが路上に落ちた。拾おうと、しゃがみ
掴んだがまた落ちた、そして立ち上がれない。
「あんた、これおかしい!」
と妻が叫びながら、助け起され、車の後部座席に寝かされた。彼女はすぐに店にとって返し
電話したらしい。
「すぐに救急車来るからね・・・・」
「何を大げさな!」
「だって、ほんとにおかしいよ!」
ほんとに救急車がきた。
「お・な・ま・え・は?」
「住所は?」
「何歳?」
「生年月日は?」
「ここはどこかわかりますか?」
今、会ったばかりのあんたに個人情報を言えるかい!
同じ質問をなんどもされた。
病院に着いても同じ質問攻めだ。
意識もはっきりしているし、しっかり喋っているつもりなのだが、言葉になっていなかったらしい。
「脳梗塞です、足の付け根からカテーテルを脳まで入れて詰まっているところを処置します」
<俺はツマラン男だと思っていたのに、ツマッタのか!>
少しウトウトしたようだ。
「ここはICUよ、カテーテルはうまくいったって先生が言ってたよ。よかったね」
「・・・・・・・」
脳梗塞ってあの巨人の長島監督の病気だ、不整脈になってから、脳梗塞の可能性は
言われていた。体に後遺症が残ったり死にもつながる恐ろしい病気だ。でも今、頭が痛い
とか気分が悪いとかはない。
幸い、後遺症もほとんど残らず2週間で退院できた。ただ体力が極端に落ちて未だに
戻らない。
神戸中央市民病院には全国的に有名な脳のカテーテルの名医がいらっしゃるらしい。
その人に処置していただいたわけではないが、弟子であろう若い医者だった。そんな有名な
医者がいるなんて、私も妻ももちろん知らなかった。
入院してから三日目にそのゴッドハンドの部長回診があり、病室に入ってくるなり私を指差し。
「この人か、超幸運な人は・・・・・」
普通は詰まっている血栓がとれても、後遺症が残ることが多いらしい。
入院中、友人の死や、自分の一生について考えた。
といっても、そんなに深刻なことではない同じ死ぬなら、カッコよく死にたいものだ。
今年は千載一遇のチャンスなのだ。もちろん死にたくはないし、自殺する気もないが。
昭和21年7月21日生まれ
平成21年7月21日 没
なんて芸術的ではないか。
実はこれを言って皆のヒンシュクをかってしまった。
ついでに、[私が倒れた、当店の前の道をノウコウソク道路と命名する]。