JUST IN TIME を開店するにあたり2台の電磁調理器を用意した。使用した湯沸し用ポットは
絶縁体の付いていないオールステンレス製のどこにでもあるポットで、底面の直径16cm高さ22cm。
これで湯を沸かし、もう一つ小さなポットを使い、コーヒー等の飲み物を作っていました。
私の心臓に不整脈が出てペースメーカーを入れなくてはならなくなり、手術した時点ではまだ原因は
わからなかった。ところが作業を妻と交代して妻も不整脈が出だしたのです。その時はじめて電磁
調理器を疑い大きい方のポットを計測してみたのです。
取っ手部分にテスターを当てるとなんと 33v。これはかなり異常な数値です。
家電製品には外装漏れ電流というのが発生していて、製品の内部の回路に電気をながすと外側
を覆っている金属に電気が発生してしまう、これを外装漏れ電流と言うのだが、電気用品安全法と
いうのがあって、1mA以下という規定があるのです。しかし普通電気製品の外側の金属はさらに
樹脂などの絶縁体で覆われ漏れ電流に触れることはまずありません。しかも一般的な漏れ電流は
大きくても10V前後で33Vは異常といえる。
とりあえず電機メーカーに電話をいれました。ところが電話で応対してくれたK氏は電磁調理器の
本体の漏れ電流と勘違いし「0,03mAぐらいしかない微電流ですので問題ありません」というのです。
「いや、鍋やケトルなどの絶縁していない取っ手に流れている電気だ、とりあえず電圧を測ってみて」
と説明すると「鍋の取っ手ですか・・・・」と怪訝そうに言うではありませんか。
つまりこのK氏は調理器具の底面以外にも電気が流れているのを知らなかったのです。
後日の電話で
「確かに30V以上の電圧はでますが、電流(A)はたいしたことありません、大丈夫です」
これを言われると私は弱い、電圧(V)は計測しやすいが電流(A)は私の持ってるテスターでは
測定できない。しかたなくホームセンターで電流の測定できるテスターを買い、測定してみたのですが、
どうもおかしい。まともな数値がでない。
K氏に電話すると「20KHzに変換しているので、普通のテスターでは測定できません。行きますわ」
というわけで、はるばる関東からテスターをぶらさげて、大手電気メーカーのK氏が来たのです。
「フルークというデジタルメーターで測定すると0,6mAでますが、これは電磁波の影響を受けて
いるからで、アナログの漏れ電流計だと0,04mAしか出ません」
「このポット持ってかえって、詳細に調べてくれ」
私がこれに納得せずにくいさがったかと言うと、はじめに私が33Vを測定したのはアナログテスターで、
こいつは鈍感、0、以下の微電流では反応しないのです。何かが変だ、検電ドライバーといって
電気が来ているかどうかを調べる道具があるのだが、こいつが壁のコンセントに差した時よりポットに
当てた時のほうが反応が大きいのも納得いかない。
もうひとつ大事なポイントがある、電気製品の外側に不可抗力的に湧いてしまう外装漏れ電流
とは違い、意図的に流された電流だということだ。だから漏れ電流の規定に当てはめるのも間違い
ということになる。
電機メーカーのK氏と3回の協議を重ねたが、話は平行線だった。しかしその度に「この電流は
漏れ電流とは違うよね」と念を押し、彼もそれを認めていたのであります。なのに4度目に本社の
部長と彼が持ってきた調査書の見出しには ”○○○ 漏れ電流の測定結果”と書いてある。
中身は見ずとも想像はつくというものだ。印鑑まで押してこれをメーカーの正式回答とし「身体に
影響はない」と言うのなら、法的手段しか残されていないと腹を決めた。
後でその調査書を詳しく調べてみると、想像どうりごまかしと間違いのてんこ盛りであります。大企業
がこんないいかげんなことしても良いのだろうか。
法的に争うなら社会的に信頼のある機関もしくは人物による測定が必要になる。できれば医者
の協力もほしい。
こういう時には喫茶店という商売の特異性がすばらしい威力を発揮する。実に様々な業種の
いろんな人々と知り合いになれるのだ。
磯田 省三