1972  「女学生の友」14回連載  フォトポエム  詩/沢田研二

 第4回 

雲が流れる

  人かげのない公園
  昼下り
  風が涼しい
  あおぐ空 雲が流れる

  木かげの小さないこい
  昼下り
  太陽があたたかい
  あおぐ空 雲が流れる

  人かげがちらほら
  昼下り
  楽しそうな二人
  淋しそうな僕?
  あおぐ空 雲が流れる

白い雲、青空

  白い雲が好き
  青い空にある 白い雲が好き
   
  青い空も好き
  白い雲のある 青い空も好き
  
  白い雲が好き
  青い空に
  一人ぽっちでいる 白い雲が好き
   
  白い雲が好き。


 第5回 
  砂をやさしくなでるように
  小さな波 いったりきたり
  僕のはだしの指の間に
  冷たぁくふれてった
  夏のひととき 白い波

  砂浜に小さな貝をもてあそぶ
  白い波 いったりきたり
  今 君の歩いた足あとを
  少しずつ消してゆく
  夏のひととき 白い波

  夏だというのに感傷的になって
  海を見に来た 風の日に
  荒々しくしぶきをちらし 
  打ちつける波
    
  岩場に腰掛けて
  何を考えるともなく波を見つめる
  荒々しい波は大好きだ

  波がおそって来る
  波よもっと強く
  波よさらっておくれ
  このまま海へ
  このまま…………波よ

  夏だというのに感傷的になって



 第6回 みずうみ

湖は輝いていた

    夏の名残の太陽をうけて
  湖は輝いていた
  誰もいない
  ただ輝いている
  時々涼しい風を運んでくれる
  なんと優しい湖だろう
  なんとまばゆい湖だろう
  心も涼しい気分になる

  ただ輝いている湖
  誰もいない

  夏の名残の太陽をうけて
  湖は輝いていた

  この小さな湖
       静かな湖   
  この小さな湖
       無気味だ

  忘れていたあの事を
  想い出させるこの静けさ
   
  この小さな湖
       無気味だ

  ここに立っているのが辛い
       センチメンタル?
       センチメンタル………

  秋がやって来る…………湖


 第7回 枯葉

  枯葉が顔をなぐりつけてゆく
  暴れん坊な風と一緒に
  やけっぱちな感じで
  行ってしまいやがった

  枯葉が踊っている小さな広場で
  気取り屋な風と一緒に
  僕の視線に気付いて
  やめちまいやがった

  枯葉の季節  枯葉の…………


  傷ついたお前を
  誰も慰めてはくれない
  何処からやって来て
  誰に気付かれる事なく
  足でふまれ けとばされ
  風の思うがままに振り回され
  そして そして……………

  今度 枯葉を見つけたら
  決してふみつけたり
  しないでやって下さい。



 第8回 わかれ

さよなら

  あなたのさよならがこわくて
  おびえている 寒いんだ
  笑ってくれ いいんだよ
  さよならを前にして
  おびえている僕を

  寒くって道も歩けないよ
  明日から…………
  知ってるくせに
  悪いひとだよ 悪い………
  笑うがいい 笑うがいい

  さあ『さよなら』って早くいってくれ!

ジェーンとの別離

  ジェーン! 別離
  地中海.船.パーティー.ディスコティック
  青い空.サントリーニ島.ロバ゙.長い階段
  星空.カタ言の英語.ほほにキス
  アテネの昼前.公園.ラッパ飲みのビール
  夜.まずい日本料理.おはしの使い方
  カジノ.ケーブルの中.夜の街角
  ジェーン! 別離

  すべて美しかった.すべて
  想い出と別離の始まり

  また逢えるだろうか?………

  それから一週間後
  クレタから葉書が一枚………



 第9回 俺と僕

冷たい俺

  冷たい言い方だけど………
  自分の事は自分でやれよ
  うまくいかないからって
  人のせいにしちゃいけない
  お前が悪いんだよ みんな
  
  冷たい言い方だけど………
  調子に乗るんじゃあないよ
  運が良かっただけじゃないか
  お前の力じゃないんだよ それは……
  冷たい言い方だけど………

今日より明日

  ちっぽけな想い出に
  ブレーキをかけられ
  その時 その日
  そして明日のために
  ベストをつくせないのはまづいよ。

  想い出なんて心の中に………
  ちっぽけな事だよ そんな事
  ふりかえってばかりいるのはまづいよ。


 第10回  愛の出発

  列車に乗って
  あなたは行ってしまう
  愛の出発
  倖せそうな彼
  可愛いいブーケを持ったあなた
  僕の視線に気づいて
  そのブーケをくれた

  やがてホームに列車が入って
  二人は乗り込む
  友人達に送られて
  出発する
  僕の方に視線を向けて
  最後に微笑んだあなた

  倖せになってほしい


たびだちを前にして

  あなたに
  話しておきたい
  僕の過去と夢
  あなたになら
  受け止めてもらえる
  ありのままの心
  愛という程じゃないけれど
  感じられるときめき
  瞳をみつめて
  やさしく微笑むあなた
  そっと くちづけて………
  昨日までの全てにさようなら
  今、たびたちを前にして………



 第11回 ひとりぼっち

弧想い

  楽しきかな一人
  淋しきかな一人………ひとり
  一人で生きれるわけもなく
  二人で行けるものでもなし
  とかく人生やりにくい
  帯にゃ短かしタスキにゃ長い

  人は人とて人でなし
  自分一人もひとでなし
  長いものには巻かれまい
  臭いものにはフタしまい
  いっそこの世はありのまま
  見たまま
  聞くまま
  言うがまま

  偽れば良いなと思うだけ

  やりきれなくてせつなくて
  一人だけで生きて行けそうな
            「サッカク」
  やりきれなくてせつなくて
  人の無責任さにいやけがさし
  やりきれなくてせつなくて
      でも自分の事は棚に上げ
  
  やりきれなくてせつなくて
  いっそ姿を消そうかと
  やりきれなくてせつなくて
  被害者意識丸出しで
  やりきれなくてせつなくて
      でも自分の事は棚に上げ
 
  やりきれなくてせつなくて
  死んでやるといいながら
  死にきれないでやるせない
  馬鹿がこの世に多すぎる


 第12回 

  あの空にあなたの夢を
  かいてみて下さい

  きっときれいな夢ですね
  きっと可愛いい夢ですね
  …………………………

  それじゃあ
  灰色の空にはかけませんね

  すいこまれそうな青い空の
  小さな雲にならかけますね

  僕は見つけて来ます
  真青な空を
  小さな雲を

  白い小舟にのって
  夢とあなたをのせて二人
  海へ出よう
  あつい太陽をむかえに

  小さな島で自由に遊ぼう
  子供みたいに手をつないで

  波にゆられて
  気持ちのいい ひととき

  白い小舟にのって
  夢とあなたをのせて……


 第13回 そよ風

風に逆って

  風にふかれながら
  私は考えています

  人の世の大きな流れの中で
  どうやって生きて行く事が
  ベストなのか?

  人の情に流されたくもないし
  風の中で一人みじめったらしいのも…

  時には風に逆って
  時には風にあおられ
  時には私が嵐を呼び起こし
  いろんな事を試しながら
  結局 平凡な人生に終わって
  どうって事なくなる事を
             予感しながら

  でも風に逆って生きて行きたい私
  ひねくれ者一人 風の中で一人


そよ風と疲労

  そよ風に身をまかせて
  あいつの事を想う
  暖かい日ざし 芝生の上……

  でもゆうべは楽しかった
  男同志で飲み語り合い
  色んな事を言い
  色んな事を聞き
  女の話しもしたっけ

  最近珍しくもりあがった夜でした
  男って良いなとおもい
  お前は良い奴だと言った
  飲んだ酒もうまかった
  時間がすごく短く感じた満足な夜

  そして一夜明けて
  昼下り
  そよ風に身をまかせてる 俺
  そよ風が心地良いひじょうに
  無気力な今日の俺 疲れたんだな……
  疲れた時にはそよ風にあたって。。。



 第14回 陽光

太陽をあおいで

  私には愛するあなたがいて
  進むべき道もある
  ささやかな倖せの時
  欲張りじゃあなくって
  もっと倖せになりたい
  いつも陽のあたる道を歩きたい
  いつも太陽をみつめていたい
  それは私の努力次第………
  
  光り輝く未来があると信じ
  あなたと一緒に
  あせらず あわてず 遅れもせず

  かすかにだけれど見える
  遠い遠い光にむかって
  明日のずうっとむこうまで
  歩いてゆこう
  生きてゆこう

  愛するあなたと………
  今 太陽をあおいで……。

ひなたぼっこ

  いい天気だね 今日は
  幾日ぶりだっけ
  青空と太陽は
  のんびりしちゃうね

  あ・く・び・がでちゃうよ

  芝生ってこんなにアオかったっけ
  太陽がまばゆいね
  君の顔もまばゆそう
  白い歯がキラッと光った
  長い髪をかきあげる
  そんな君がちょっぴり色っぽい

  「好き?」
  「好きだよ」
 
  「あぁぁぁ……
       のんびりしちゃうね」

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1972年に連載されたコーナーの詩をUPしました。
掲載された月がわかる方、
第1回〜3回の6篇をお持ちの方がいらしたら、
教えていただけると嬉しいです。どうぞよろしく。
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