2005.10.20 Y/SAKAKI |
6月26日の朝に1本の電話がなった。受話器の向こうからは聞き覚えるのある呂律が微妙に怪しい声がした。「泉だんば・・・・」僕がプー太郎してる頃にギターなんか教えたらしい築島泉からだった。何やらCDを作っていて、その中に僕の曲を3曲収録したという。事後承諾の電話だった。しかし、他にも歌える曲があるというから驚いた。作者としてはそんな話を聞くと嬉しくて仕方がない。断る理由もないので即OKの返事をした。 数日後また電話が鳴った。今度はかなりハイテンションな声なのだ。「よーちゃん東京に来て歌わん!」いきなり花のお江戸で歌えと言う。適当に返事をして電話を切った。それから数日後また電話が鳴った「東京のみんなに聴かせたいちょや〜!来てくれん」何度も頼まれるとイヤとは言えない弱い性格なのだ。「良いよ〜!」つい口が滑ってしまった。その後、あれよあれよと言う間にスケジュールが決まってしまった。 東京で歌うのは24〜5年ぶりかな?荻窪にロフトと言う店があってそこで歌わせて貰った。渋谷の店でも何カ所か歌ったが渋谷の店では若い女の子にナンパされそうになり恐ろしい街だと思った。今思えば損な事をしてしまったと後悔している(笑) |
空港ロビーで泉を探した。毛糸の帽子を深々と被ったひときわ怪しいサングラスの男がこちらを見ている。築島泉だとすぐに分かった。怪しさに磨きが掛かって凄みがある。一般人なら近づきたくないタイプであるね(笑)15〜6年ぶりの再開を喜びながら彼の家に向かった。 |
泉の家に一歩足を踏み入れて度肝を抜かれた。 「凄い部屋ですから・・・」と言ってた意味が目に飛び込んできた。7〜8000枚あるレコードやCDが壁どころか床まで占領して居住スペースを浸食しているのである。 「お〜い、わんはどこで寝るわけ?」 「客人はベッドで寝てください!」 と言われても客人は困るのだ。家主をさておき一等地で寝るなんて....。でも寝たが。 |
さてさて、ライヴ初日を迎えるのでありました。 稲生座は音楽の町高円寺の中にあって老舗中の老舗なのだ。誰でもかれでも歌える所ではないらしい。「稲生座に気に入ってもらえたら一流だ」とか言われているらしい。そんな由緒正しき所で歌えるなんて最高な気分。 店内に入ってみると以外にこぢんまりとしていた。歴史を感じさせる物が店内に溢れていて雰囲気は抜群だ。店にはレイチェルと呼ばれる自称「稲生座のご用聞き」の愛嬌あるお兄さんが待っていてPAを担当してくれた。お店の割にでかいミキサーが鎮座してスペースを占領していた。今夜は泉と僕の他に「減肥脂・願」と「原口純子」が出演する。減肥脂・願はネリヤカナヤのmayumiと福岡のシンガー、ヤモトモンゴが組んだユニットだ。もう一人の原口さんも福岡を拠点に活躍している。 リハを終えて開場になった。外は大雨なのに次々にお客さんがやって来る。ネリヤカナヤのアキラ、プロベースマンとして活躍しているヤマケン、大崎裕史、満ちゃん、埼玉のYUMIちゃん、里青年、ぶるーす屋の森さん達、田中由美さん、道瀬さんご夫妻、懐かしい顔、知ってる顔、初めての顔でいっぱい。東北で歌っている やなぎさんの友人まで来てくれていた。稲生座が立ち見で満杯になった。泉とさっちゃん(泉の奥さん)が懸命に集客してくれた事に感謝です。たくさんのお客さんを前にライヴは始まりました。 |
一番目に登場したのは減肥脂・願。どこかヨーロッパの香りがする音楽だ。テンポのよい曲をガットギターで軽快に弾き歌う。mayumiの驚異のパチカのリズムも凄い!飛び入りだったので2曲しかしてもらえなかった。 |
二番手に登場したのは原口純子さん。こちらも飛び入り。 彼女はこの週末ライヴがないのとニュージーランドから来ている友人との再会をするためと、そして、次回のライヴ候補の店探しで急遽東京に出現したのだ神出鬼没の恐ろしく行動派の姉さんである。 しっとりと女心の歌を切々と2曲歌いあげて次回の出演を勝ち取ったのでした。あなたの行動力には脱帽です。 |
演奏が始まった♪これが格好良いのだよ。かなり酒が入ってエンジンが掛かっている。しわがれた声で4ビートを歌う泉。天性なのか間合いがとても良いのだ。 |
M1;Agin |
なんとか稲生座のライヴ終えた。オーナーの柴田浩志さんから「原曲聴けて良かった。また、歌いに来てよ!」と握手を交わした。エミさんからは「月や潮騒、海の香りがして気持ちよかったよ!年に2〜3回は私達を癒し来てね」と何より暖かい言葉を頂いた。その一言で東京までやって来た甲斐があった。初めて来た所とは思えないほど暖かい場所でした。その後、明け方近くまで飲んだのは言うまでもない。 |