1. 「Mr.J.B.Blues」"Duke Ellington 40's" 1940
メロディー楽器としてのベースを初めて認めさせたのが40年代にデューク・エリントン楽団に在籍した ジミー・ブラントンです。というか、彼以前に本来の意味での「ベース・ソロ」というのはなかったと言えます。 デューク・エリントンのピアノとのデュエットですが、それにしても彼のベースはテクニックはもちろんアドリブ・メロディーの の見事さといい、まったく素晴らしい。彼は惜しくもエリントン楽団での数曲のレコードを残しただけで20代の若さで この世を去っています。
2. 「The Man I Love」"Classic Tenors" Coleman Hawkins Qartet1943
ブラントンの跡を継いでベース・ソロの可能性を広げたのがオスカー・ペティフォードです。 テナー・サックスのコールマン・ホーキンスのグループでの演奏。エディ・ヘイウッドの楽しいピアノ・ソロに続いて 激しい息づかいの聞こえる熱気のこもったペティフォードのソロになります。続くホーキンスのサックスも良いですよ。
3. 「Haitian Fight Song」"The Clown" The Charles Mingus Jazz Workshop 1957
さて、「ベースの巨人」チャールズ・ミンガスの登場です。前に聞かせた「直立猿人」と並ぶミンガスの50年代の 代表作「ハイチアン・ファイト・ソング」を聴いて下さい。あの大きなウッド・ベースを時に激しく、時には優しく繊細に 自由自在に操ります(ミンガス自身とても大きく、太っていた人です)。
4. 「Fly Me To The Moon」"Jim Hall〜Red Mitchell" 1978
今度は比較的新しい録音から、レッド・ミッチェルのベースとジム・ホールのギターのデュエットで
「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」を聴きましょう。ミッチェルのベースは普通と違う調弦になっていて(五度調弦)
すごく低い音まできこえます。年代物のウッド・ベースの豊かな響きを味わいましょう。
ついでに、この曲聞いたことのある人も
多いと思いますが歌詞の内容がすごくしゃれているのですよ(今回は歌は入りませんが)。ちょっと紹介しますね。
前奏(ヴァース):「詩人は単純なことを言うのに言葉をたくさん使う。私はあなたのために歌を書いたのだけれど、私が
何を言おうとしているかわかってもらえるように、歌いながら翻訳しよう。」本編(コーラス):「月まで飛ばせて欲しい。
星の間で遊ばせてほしい。木星や火星の春を見せてほしい。言い換えれば、キスをしてということさ。心を歌で満たしてほしい。
永遠に歌わせてほしい。言い換えれば、愛しているよということ・・・・」もともと「言い換えれば in other words」という
題名だったらしいですね(「いつか聴いた歌」和田誠より)
(男子B)1.はリズムが好きだ。音が良ければもっと良いと思う。2.はベースとサックスのソロがよかった。3.は暗い感じで
渋くてかっこいい曲だと思った。4.はギターの音が良い。
(男子C)ボンボンうるさかった。
(女子D)1.短い曲だったけどすごく「モダン」だった。ブルースと言う感じがしなかった。2.本当にベース・ソロのときに
息づかいが聞こえてきたのにはびっくりした。サックスのソロもよかった。3.はすごく孤独な感じのする曲だった。最後のベース。ソロは
独特というかダイナミック・・な感じがした。4.はベースもギターもすごく良かった。ジャズのギターを聴いたのは初めてだ。最初は
どんな感じかなーと思ったけど、軽い感じがして、ベースもあまり重々しくなくてよかった。
(女子E)楽器の名前も知らなかったし、ベースがこういう音を出していると知ったのはこのクラブに入ってからです。楽器についてという 企画に感謝しています。3.を聴くと、ベースが足音に聞こえます。"fight"の緊張感が感じられました。ベースの音は底に響きがあって、コロリとしたところがあると思います。 ボンボンボンとボーリングの球が落ちた時のようですが、時としてスーパー・ボールがはねるように音が飛び出すように感じることがあってハッとさせられます。
(女子F)今日は私の好きなベース特集というのでとてもうれしかった。3.でベースから始まるのがかっこよかった。ストーリーがあるようで楽しい。 この前の「直立猿人」もすごく良かったし、ミンガスのグループは私の性に合うようだ。私はジャズも音楽のこともまったくわからないけれど、最後の方に出てきたベース・ソロは すごかった。