出演された演奏会は、
大阪市城北市民学習センター講堂にての芸術文化サロン、
「春の音楽散歩道」です。
プログラムにも春を彷彿させるような曲もチラホラ、
楽しいコンサートでした。
出演はピアノ、オーボエ、そして龍城先生のクラリネット、チェロと、
とてもバリエーションに溢れていました。
1曲目はベートーヴェン作曲、
クラリネット3重奏曲 変ロ長調 作品11「街の歌」です。
こちらはピアノ、クラリネット、チェロという編成で演奏されます。
私個人の感想で恐縮ですが、
ベートーヴェンという作曲家は交響曲やピアノソナタがあまりにも有名で、
どうも重厚といったイメージがつきものだと思いますが、
室内楽になると意外なほどライトな音楽に感じることがあります。
とはいえ、繰り返し出てくる主題に引き込まれるところなどは、
この作曲家の得意なところのような気がします。
途中、慇懃ではない、
スマートな目配せと動作でアンサンブルをされているのが、
とても印象的でした。
そして次にはオーボエとピアノによる演奏です。
亜麻色の髪の乙女(ドビュッシー作曲)、
バッハのカンタータなどを演奏されました。
聴き馴染みの深いメロディをオーボエで演奏され、
オーボエの緊張感ではなく、
その柔和な音にその演奏者の人柄を聴いたような気がしました。
前半最後はチェロです。
演奏されたバッハの無伴奏チェロ組曲1番よりはとても有名で、
CMなどでもよく耳にする曲です。
初めて演奏会で聴けたのでとても嬉しかったです。
休憩をはさんで龍城先生の出番です。
少し緊張している面持ちに見えたのは、
気のせいでしょうか(苦笑)。
演奏会のタイトルを意識されたのか、
春と名のつく日本人の作曲家の2曲を演奏されました。
2曲目に演奏された宮城道雄作曲「春の海」は、
私自身、とても好きな曲でしたので、
ドキドキしながら聴いていました。
ゆったりとした能のような旋律やテンポの良いところなどがあり、
とても素敵な曲です。
曲目解説で、
宮城道雄が日本海での波の音や風の音、
鳥の鳴き声などをインスピレーションに作曲されたと聞き、
イメージを巡らせながら鑑賞。
印象に残ったのはやはり音の立ち上がりです。
pの音の立ち上がりには先生の並々ならぬ意識を感じました。
最後はピアノの独奏で、
ショパンの曲を2曲、演奏されました。
幻想即興曲 嬰ハ短調 作品66は、
聴き馴染みのある曲で、
最初の平手打ちのような1音から始まり、
流れるような旋律が印象的な曲でした。
アンコールとして出演者全員合奏で、
ホルストのジュピターを演奏されました。
ちょっと残念かな、と思ったのが、
あまり音響的には優れてはいない会場だったように思ったところでしょうか。
しかしながら龍城先生が普段、
合奏中におっしゃられていることのイメージが、
少し分かったような気もしました。
また、選曲にも十分に配慮があり、
暖かい雰囲気のあるコンサートでした。
(2006年3月20日 筆者:トモゾヲ)
|