ショウシンリョコウ
〜ACT STAGE 1999-2000 GATE1〜


5月7日

 ゴールデンウィークもあけて2日目。出勤してきて30分後に彼からのメールが届く。だいたいそれが日課になっていて、普段は夜何してたかとか、新しいMDを持って来たとかいう内容。今日もそれかなーと思ったら、別れてほしいという内容のメール。別れてほしいとは書いてなかったのか。『少し距離を置きたい』と。

 当然ショックでした。「距離を置きたい」なんてすごい都合のいい言葉、みのにはそれはイコール『別れ』を意味するものに思えました。自分から別れたいと思うことはあっても、まさかこんな結末になるなんて。仕事も手につかずただ放心状態。斜め前に座る彼は目も合わせてこない。恨んじゃいけない憎んじゃいけない、マイナスの感情は自分を不幸にしてしまう、そう言い聞かせてみても、悲しみよりも苛立ちの感情はつのるばかり。

 そんなとき、ありすんからのメールが。今米米クラブの曲を聴いているというありすん、内容が『別れの歌なんだけどすごいいい歌があるんだよ』と歌詞がいくつか書かれてある。ありすん、タイムリー(涙)。彼に別れてほしいというメールをもらったというメールを返す。

 そして、次に返ってきたメールに、みのの今回の傷心旅行のきっかけになる文章が。

「夜バスで来て追加だけでも見れば?」

 思えば今日明日は大阪のライブ。傷心旅行か…と考える。それもいいかな。ひとりで家帰っても愚痴言える友達もいないし(みんなは大阪、地元の子には彼とつきあうことを反対されてたので)。昼休み、仕事忙しいけど「追加行こう!」と決意。掲示板に「追加余ってませんか?」という書き込みをする。

 そしてしばらくぼんやりしてたんだけど、突然「そういえば、7日チケット余ってるって言ってたような…」と慌てて会社の公衆電話へダッシュ(みのぴっちは死亡中)。しいなさんに電話する。

「7日のチケットって余ってたよね?」
『うん、余ってるけど』
「1枚おさえて! これから大阪行くから」
『え!?』

 余ってるチケットを1枚確保してもらい、今度は自分の席へダッシュ。内線で社員さんに電話をかけ、今から早退したいという電話をかける。以前から親が病気なので突然辞めることになる可能性はある、という話をしていたおかげで「家でちょっと…」と言うとあっさりオッケーが出る(笑)。帰る時に彼と目が合い、睨みつけるという演出も忘れずに。でもちょっとほんとに泣きそうになるのをこらえた。

 家に一度戻りコンタクトレンズを鞄にしまい、東京駅へ。普段なら金券ショップで安く…とか言うけど今回はほんとに急なのでそうも言っていられず、全額ちゃんと払う。窓側を希望したところAの席が来る。今回も海側。そういえば富士山側って取れたことがないな。ホームでお弁当を買って乗り込む。

 ものすごくいい天気。ぼんやりと車窓を眺めていたら小田原の辺りから海が見えてくる。みのはこの海の景色を見るのがすごく好きなんだけど、今日だけは複雑な気持ちで見ていた。海を見ると小さな自分を実感する、とよく言うけど、まさにそんな感じ。海行きたいな…なんて思ってしまう。広い海を眺め、波の音を聞いていると、自然の力の偉大さを感じると同時に、いろいろな感情を抱えせせこましく生きている自分自身がばかばかしくなるというのはよくわかる。何度も途中下車したくなってしまった。いつまでたってもしあわせになれない自分に、あの海の中に自分の存在ごと飲まれてしまいたい、とさえ思った。

 新幹線は途中で何度か停車したのち、新大阪に到着。そこから地下鉄へ。地下鉄のホームの公衆電話からしいなさんに電話した後、ふと売店の壁を見上げると、地下鉄のカード(名前忘れちゃったけどJRでいうイオカードみたいなやつ)にみっちーのカードがあることを知る。そういえば明日の夜みっちーファンの友達と待ち合わせしてたっけ。と友達へのおみやげにみっちーのカードを購入する。

 地下鉄が来て心斎橋へ。近くのホテルに泊まっているしいなさん、MAKIちゃんと奈緒ちゃんと合流する。そして会場へ。会場でいろんな人に会う。大阪へは行かないとあれだけ宣言していただけに、当然みんな驚いていた(笑)。

 会場の中に入ると近くに友達がいるのを発見。ネットはやっていない子。「あれ、どうしたの?」と当然彼女も驚く。彼にふられて傷心旅行に来た、という話をする。「じゃ、チケットも持たずに来たの?」「うん」「宿は?」「まだ」「決まってないの!?」「うん」友達はひとしきり呆れた後、「今日さ、おばあちゃん家泊まるんだけど、来る?」「いいの?」「いいよ。他にもいるから」…ありがとうせべちゃん(涙)。ということで、急遽せべちゃんのおばあさまのお家にお世話になることに。

 客電が落ち、ライブが始まった。賢ちゃんの姿を見て「ケンイチー!」と叫ぶみの。歌い、踊り、飛び跳ねて手を振って。自分の視界に賢ちゃんだけを映す。賢ちゃん以外の誰も目に入らなかった自分、笑顔ひとつで幸せになれいていた自分、その頃のみのに戻れるように。みのの声は、賢ちゃんに届いていたかな。

 終演後、MAKIちゃんから「8日のチケット余ってるよ」と言われる。みのは最初追加だと思って「ちょっと保留にさせて」と言う。

 みののお気に入りラーメン屋「神座」でラーメンを食べてからせべちゃんのおばあさまのお家に。場所は奈良の生駒。思えばみの、奈良初上陸。おばあさんも含めビール等を飲み、ちょっとおしゃべりして就寝。

 そういえば、一緒に泊まった一人が、みのは初対面だったんだけど、このサイトに来てくれていた人だということがわかった(笑)。かおりん、これからもよろしくです。

5月8日

 3日にトイレに落として動かなくなってしまったミッキーぴっち。一緒に泊まったゆきちゃんのぴっちもミッキーだったことからちょっと充電機を借りてみる。あれ? 液晶は壊れてるけど、動いてる!? ためしに電話をかけ合ってみる。ゆきちゃんにかけてもらうと、みののぴっちから軽やかなディズニーカーニバルのメロディーが。動いてる!!

 そこでMAKIちゃんに前日のチケットの確認をしようと電話してみる。が、液晶が壊れていてあてずっぽうに電話帳から電話をかけているため、ありすんが出る(笑)。MAKIちゃんの番号を教えてもらいMAKIちゃんへ。その電話で昨日「余ってるよ」と言われていたチケットが8日の追加でなく本公演だということに気づく。即「ほしい!!」とみの。ありがとう〜!

 身支度を終えBIG CATに。たくさんの人が既に会場の下に集まっている。みのは追加公演のチケットをゲットすべく友達に声をかけまくる…が、みんな「もう売っちゃったよ〜」という返事。今回のメイン、追加のライブに来て追加がない(涙)。追加だけある、という人が多い中に追加だけない人がここに(笑)。友達から友達の友達にまで声をかけまくるがチケットはない。

 そんなときに紫苑さんから「友達の友達が2枚連番でなら譲れるって」という話が。それはいったん保留にしてもらって、最終手段、その場にいる人に片っ端から声をかけてみる。結構恥ずかしかったけど、声をかけているうちに「私も1枚探してるんです」という2人連れが。「ちょっと待って!」と紫苑さんのところに。彼女のお友達さんからチケットを譲ってもらえることに。ありがとう!! これで全公演のチケットゲット。開場1時間前くらいの話。

 追加公演は、最初は前の方にいたけど始まった途端もみくちゃにされてリタイア。実はここ最近、吐き気を伴う微熱が続いている。突然激しい吐き気にみまわれ壁の方に逃げた。壁に手を当てると壁が吸収した激しいリズムがダイレクトに身体に伝わりますます気分が悪くなる(笑)。

 アンコールの時に、耐えられなくなって後ろに下がると藤がいた。再会を喜んでいると、その後ろにパワスケ大阪の時にお世話になったるいちゃんが。るいちゃんに会うのも実に久しぶり。(よくみのが「みのはポテトサラダ嫌いだけど、るいちゃんのおかあさんの作るポテトサラダは食べられる」と言う、あのるいちゃんです)

 終演後外でまったりしていると、偶然「本公演売ります」という人が通りかかり、自分は持っていたけどとりあえずゲット。友達に譲る。みのも1枚だったので、ねいちゃんと連番にしてもらう。倒れたら面倒見てもらうつもりで(笑)。

 もともと追加を見たら新幹線で帰ろう、と思っていたんだけど、本公演もゲット。帰りはどうしようかと考える。そのまま東京へも帰れる時間ではあったけど、どうせならみんなの飲み会に参加しようかな。それには宿が必要。最初ホテルでも取ろうかな、と思ったけど、とよりんがかいわれの家に泊まる、ということだったので、お願いしてみのも混ぜてもらうことに。かいわれありがとう〜。突然ごめんね。

 会場の中ではねいちゃんとかちゅと3人で見る。賢ちゃんを見ることができるのは今月はこれが最後。この夢のような時間が終わればしばらくはつらい現実が待っている。賢ちゃん、みのにそれに立ち向かって打破できるだけの力をください。喉がつぶれてもいい、動けなくなってしまってもいいと全力でライブに挑む。

 激しい曲が続き、大ちゃんのピアノソロに。Image of Tomorrowの後の、なんていう名前かはわからない曲があった。低音の強く規則正しいリズムと、力強い和音。その音が、自分の気持ちに共鳴した。この曲を聴くのは5回目だけど、「頑張れ」って言ってくれているように思えた。つらいときも嬉しいときも、みのには浅倉大介の音楽がある、Icemanがいる。だから頑張れる。頑張ろう。つらくなったら、また、癒されればいい。友達に会って喋って笑っていても、賢ちゃんに向かって手を振っていても取れなかった胸のつかえがすーっと消えていくのがわかった。それと同時に別の感情がこみあげてきた。

 曲が終わり、ねいちゃんと目が合う。「だいすんかっこいいー!」とみのに抱きつくねいちゃん。その瞬間、みのは泣き出してしまった。振られたことよりあんな男を好きになった自分が悔しい、あんな男のためなんかに泣くなんて涙がもったいない、とずっとがまんしていたものが一気にあふれ出てしまった。自分がどこにいるとかはもう関係なかった。声をあげて泣いてしまった。

 そこから後は賢ちゃんも出てきて、もう何がなんだかわからない状態。体力の続く限り叫んで飛んで手を振った。ライブが終わり、メンバーが手を振ってステージの袖に消えて行く。みのは最後賢ちゃんの名前を叫び、そのままねいちゃんに向かって倒れ込んでしまった。

 結局、その後BIG CATの下のフロアの居酒屋さんでの飲み会に混ぜてもらうことに。予約の時間にはちょっと早かったけど、歩けなかったみのはねいちゃんと一緒に先に入れてもらった。お店の一番奥のところで、他のお客さんとはちょっと離れている場所。そこで寝ていてねいちゃんと話しているとまた涙が出てきた。「Icemanがいてよかった。みんなといられてよかった」と本気で思った。

 みんなも続々到着。みのも体力が回復。その後の飲み会はすさまじいものだった。っていうか、みのが超ハイテンション(笑)。何かあるとすぐ「かんばーい!」(笑) おまけに最後は再びつぶれてしまい、みんなに迷惑かけまくり。

 その後かいわれ宅へ。ちょこっとネットをさせてもらって、自分はあっという間に寝てしまった。

5月9日

 ふたりより早く寝た分、ふたりより早く起床。ひとりでぼんやりしているとどうしても彼のことを考えてしまうので、気を紛らわそうと本を読んでいるととよりんが起きてきた。

 いろいろな話をしているとライブの話になった。とよりんが「賢ちゃんが、ライブ中にこうやって(自分の胸をたたく)やったのね。なんか、「俺にぶつけてこい」って言ってる気がした」と言っていた。7日のありすんとのメールでも7日にふられたことに対してありすんが「賢ちゃんが「俺がいる!」って言ってるのよ」と書いていたけど、そういう解釈をしてくれる友達を持てた自分がすごい嬉しかった。

 お昼前にかいわれも起きてきて、3人で朝ご飯を食べた。そのときテレビでトミーズがコントをやっているのを見てちょっと衝撃だった(笑)。だってトミーズって東京だとあんまコントやらないんだもん。

 朝食後なぜかお化粧談義になり、3人で化粧品を取りだしいろいろやってしまった。かいわれ宅を出たのが既に3時前。服の替えがなかったみのは途中で服を買い、みんなと合流。新幹線で東京に帰った。


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