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アケコラム
『異常を感じて』
「どうしたの?」
「…どうもしない」
ほっといて。そんな気分だった。
周りの、くだらない感情に振り回され、不自由を感じ、全てを投げ出しそうになった。
これは不本意ながら、そのもの、それ自体でつまずいた訳ではない。
だが、原因を周囲に求めては、責任を転嫁しているにすぎない。
いや、そう取られても仕方がない。
「…どうもしない」
今は、それが一番の答えだろう。
+
「ねえ、どうしたの?」
当たり前だが、それでも聞いてくる。
「…どうもしない」
どうもしない訳がない。
+
嫉妬することをやめた。他人を妬(ねた)み、羨(うらや)むことの、なんと生産性のないことか。
それだけで日々が過ぎ行くことが、どれほどつまらないことか。
そんなことをしても先には進めないことに、私は気づいた。
「どんなに羨ましがっても、あの人自身にはなれないのよ」
そして、もうひとつ。
私が他人にそうだったのと同様に、嫉妬されてもいたんだ。
「どんなにうらやましがっても、私の代わりは」
確かに、花は赤く見えるもの。持ち主は赤が好きとは限らないのに。
私は疲れた。
「…どうもしない」
だから、嫉妬することをやめたのだ。それは諦めにも似ている。
他人は他人だ。どんな生き方、何をしていても関係ない。
もういいよ。
そのかわり、私は私。好きにさせてもらうわ。
2004.09.07
ヤノアケコ
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