組曲「ひろしまの夏」を普及する会 公式サイト
「ひろしまの夏」作曲メモ/五十嵐健作
♪ 誕生・・・生命
生命の誕生から始まる「ひろしまの夏」は、助産師神戸さんならではの構成です。私は長男の出産の時、ラマーズ法だったので出産前に妻と一緒に講習会に数回通い呼吸法(ハッハッハッ ヒッヒッフゥ)などを教わりました、この詩を読みながら我が子の出産の時を思いだしました。
前奏は母親の御腹の中で小さい生命が動いている様子を表現しょうと思いました。産まれるまでは喜びもあるが、子どもは五体満足で産まれるだろうか、母親は大丈夫か、など考えながらオギャーの一声を聞いた時の喜びと、助産師のおめでとうの言葉を思い起こしながら創りました。
♪ 友よ
原子爆弾による悲惨さ・惨たらしさを、どのように表現するか悩みに悩んだ時、兵隊の軍靴の音を考えました、次にB29の飛んで来る音、そして原爆投下の瞬間をどのような和音にするか、なかなか決まりませんでした。詩の部分については重く・深い言葉をどうしたら内容を伝えられるか熟慮いたしました。
♪ 兄嫁の遺言
神戸さんの言葉と兄嫁の言葉の違いをどのように音楽にするかうまくゆかず、詩を構成させて頂きました、表題も「ケロイド」を「兄嫁の遺言」とさせて頂き、遺言に焦点を当てることにしました。そして、兄嫁の神戸さんへの訴えの言葉を十分歌って訴えるようにしました。激しい言葉の部分は半音進行などで創ってみました。
♪ 七歳の黒い瞳
イメージが浮かばず悩んでいる間に、鎮魂歌にしてみようと考え、最初のテーマを広島の鐘に。言葉の部分については、一節一節の内容を伝えたいと思いました。
♪ 灯ろう流し
現在の灯ろう流しの様子から初め。58年前の悲惨な出来事。そして、未来への決意の部分に分ける構成にしました。そして、川の流れに乗って歌うメロデイにしてみました。
♪ いのちの詩を織る
暗い過去を背負いながらも、未来に向かって羽ばたいて行く音楽に出来ないだろうかと考えました。助産師の仕事場である病院は、誕生から終焉まで同居していますが、そこで働く作者は何時も朗らかで、私たちを励まし勇気を与えてくれます。その姿を季節で言えば「春」で表わしてみたいと思いました。
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