こんにちは、亀井英彦です。
先週の関東地方は、秋の長雨季節まっさかりって感じで、
雨が降ったりやんだり。毎日じとじと湿気ておりました。
しかしそんな中、このうっとおしい気分をふきとばしちゃうような、
元気で明るい子ども達の歌声を聴いてきました。

 9月29日(日) 《創立38周年》
「ひばりヶ丘少年少女合唱団2002年・定期演奏会」  
 〜 二期会・小栗純一氏と共に/和と洋の織りなすハーモニー 〜
於:西東京市民会館  17:30〜  入場無料  自由席

 さて、私がひばりヶ丘少年少女合唱団の定期演奏会を聴かせて頂くのは、
今回が初めてです。 プログラムによると、
創設者羽場かず江さんによって、昭和39年に設立された当合唱団、
創設時より立川清登氏を顧問として迎え、NHKのTVやラヂオに出演。
また、レコーディングやオペラの舞台等にも活動の場を広げると共に、
中国・アメリカへの海外公演や、各種ミュージカルへの挑戦など、
これまで数多くの実績を残しておられます。 そして創設から38年、
羽場かず江さんは残念ながら3年前にお亡くなりになられましたが、
その遺志を羽場曾時氏が継ぎ、今日の定期演奏会を迎えられたとの事です。
団員は現在、小学校1年生〜大学1年生までの計35名(内男子0名)。
「いつも合唱とミュージカルを併行させ、様々な歌の楽しみを、
子どもと共に」、と言う羽場かず江さん創設時のモットーのもと、
今日も「明るく、元気で、子どもらしい」、
ひばりヶ丘の子ども達の歌声が街に響いています。

              プログラム
オープニング  〜 海 〜
         <秋の青空に>
   「青い空の歌」「空がこんなに青いとは」「青空のポルカ」
第1部  こどものための合唱曲「唱歌ファンタジー」  編曲:南安雄
                         以上 指揮:羽場曾時   
                          伴奏:木村恵理子
第2部  小栗純一氏:独唱コーナー
    「彼女に告げて」(ファルゴ)「心から君を愛す」(シュトルツ)
    「美女と野獣のテーマ」(メンケン)
    「If I Loved You」(ロジャース&ハマースタイン2)
    「荒城の月」(瀧廉太郎)
                             伴奏:村瀬由美
            〜 休憩10分 〜
第3部  歌とダンスで綴る ミュージカル“Annie”より 
                 構成・指揮:羽場曾時
                 振り付け :田村連
                 演奏    :ひばりヶ丘ピアノトリオ+1
                 ゲスト   :善澄真記・山田雅樹(ソロ)
                        小栗純一(ウォーバックス)
   曲目:
    「メイビー」「ハードノック・ライフ」「リトル・ガール」
    「素敵なところ」「ウイ・ガット・アニ−」「Something was Missing」
    「おしゃれは笑顔から」「映画に行こう」「イージー・ストリート」
    「メイビー(リフレイン)」「あなただけ」「トゥモロー」
エンディング  団歌「昆虫の大合唱」   
                  作詞:井上ひさし  作曲:小森昭宏

 さて、この合唱団の子ども達の歌声を聴いて、私がまず感じたのは、
あ、子ども達が、自分たちそれぞれの感性でもって、
本当に心から音楽を楽しんで演奏しているな、ってことです。
地声を強く響かせ、“とても子どもらしい”声を前面に押したその歌声は、
子ども達の生の気持ちを直接私たちに伝えてくれます。
この歌声の特質は、成る程、ミュージカルの中の感情表現において、
その真価を最大限に発揮するものだと思われました。
 また、ひばりヶ丘のコンサートでは、どのステージにおいても、
小学生から大学生までの幅の広い年齢層の子ども達が、
みんなで一緒に声を揃えて歌っているのが印象に残りました。
勿論これは、例えば第1部で歌われた「唱歌ファンタジー」など、
高度な技術を要求される曲では、幾分演奏上の苦しさを感じさせました。
N児によって初演されたこの作品は、かなり難しい3部合唱曲であり、
小学校低学年のお友達には、少々演奏の無理なところもあるでしょう。
全体として音程が不確かになったり、高音がかすれてしまったり、
そういった場面も多々見受けられました。
しかし子ども達の合唱においては、それら演奏技術の優劣のみが、
演奏の真価を問うものでないことは、言うまでもありません。
ここでは、学年よる声質の違いなどはひとつの瑣末な事実として取り置き、
もっと朗らかで、自由な雰囲気の中で自分を表現し、
どの年代の子ども達もが、みんな〓対等に〓声を出し、
歌声を響かせ合うことを目標としているようです。
そしてそのことによって、舞台の上で誰もが全く萎縮することなく、
自分の持っている全ての力を、思いきり出し切る事が出来ているのでした。
ひばりヶ丘の子ども達の合唱のすばらしさは、
まさにこのことにこそあるのではないでしょうか。
 そしてそれは、第3部のミュージカル“Annie”において、
最もその特色が大きく発揮されていました。
この作品は、毎年青山劇場で子供たちによって上演されている、
有名なブロードウェイ・ミュージカルの、
ひばりヶ丘風、オリジナル・ダイジェスト版なのですが、
ここで、私達に最も目を見張らせたのは、そこで演じている子ども達の、
体をいっぱいに使った、すばらしく生き生きとした姿でした。
このステージには、歌うことが、踊ることが大好きな子ども達の、
無限の生命力が光り輝いています。
その輝きは、ステージの上からまさに転げ落ちんばかりで、
子ども達の沸きあがるバイタリティーを受け止めるには、
この西東京市民会館の空間は、少々狭すぎるようでした。
 そしてコンサートのラスト、アンコールでは毎年恒例なのでしょうか、
井上ひさし、小森昭宏による団歌、「昆虫の大合唱」が歌われました。
そしてその歌詞の中にある言葉。
 “みんなと一緒なら 小さな夢も分け合える。
   みんなと一緒なら どんな苦労もへいちゃらだ”
この一節は、このひばりヶ丘少年少女合唱団の、
過去から未来へと繋がっていく、
子ども達の心に結ばれた永遠のリボンを象徴しているようです。
このかけがえのないリボンがいつまでも色鮮やかでありますように!
私は心からそう願いつつ、いつまでも暖かい空気に包まれた、
このコンサート会場を後にしたのです。

 それでは最後に、聴いていてちょっと気になったことをひとつ。
それは、このホールが余りに音の拡がりに乏しいと言うことです。
とにかく残響と言ったようなものが全く感じられず、
音そのものの雰囲気に欠けること夥しい。
これでは歌っている子ども達がかわいそうだし、
もう少し音の良いホールで演奏させてあげたいものだと、
私は切に思った次第です。

 さてさて、このコンサートの他にも、8月から9月にかけて、
本当にたくさんの子ども達の演奏を聴くことができました。
ひばり児童合唱団、森の木児童合唱団、杉並児童合唱団、
いまだ書くことのできない合唱団はたくさんありますが、
私の心にどの合唱団も大きな感動を残してくれました。
これら合唱団のすばらしい演奏を聴かせてくれた子ども達に、
私達は心から感謝しなくてはなりませんね。

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