Stills / Stephen Stills |
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SONY RECORDS : SRCS-6189 |
古巣のアトランティックからCBSに移籍しての第一弾がこのアルバム[邦題:孤高の世界]です。日本盤CDは以前発売されていたようですが、残念ながら現在廃盤(製造中止?)です。輸入盤だったら比較的楽に入手できます。 それと2001年にはDTSで発売されています。こちらも残念ながら日本盤はありません。 これはCDではなく、DVDなので音声は5.1chで良いのでしょうが、私はしばらく買わないと思います。^^; このアルバムの最初を飾るの(1)[邦題:君の面影]は、マナサス解散後『スティルス・バンド』に参加していたドニー・ダッカスとの共作です。シングルカットされ同年シングルチャートでは84位を記録しています。 ドニーとはその他にも(11)[邦題:冷酷無情の世界]でも共作しています。 マナサスは別として、このアルバムでは先の(1)(11)以外にも共作曲が目立ちます。 (3)では『Crosby Stills & Nash』('69)以来の付き合いになるダラス・テイラーとの共作。 (7)と(12)[邦題:シーシュポスの神話]も他のミュージシャンとの共作です。一枚のアルバムに12曲中、共作が5曲、カバーが1曲というのも、今までのスティルスの快進撃を追っていると以外に思います。 その1曲のカバーとは(8)です。それも盟友ニール・ヤングの曲です。当時のファンの方は驚いたのではないでしょうか? 74年のCSN&Y再編ツアーで、ニール・ヤングが演奏していたのを(間近で)聞いて、気に入ったのでしょう。 スティルス自身も「アルバムの収録曲がたりなかった時は、まずニールの曲から選ぶんだ」と公言しています。その最初のケースだと思います。 この頃は、ニール・ヤングもスティルスのライヴに飛び入り参加を頻繁にしていたようです。 仲が良いんだか、悪いんだか、この二人の関係はわかりません。。 少なくてもお互いに誰よりも認め合っているのは間違いないようです。きっと『二人にしかわからない世界』なのでしょう。。 当時のスティルスの心境が歌詞の中に現れているのは(6)[邦題:ママに捧げるお伽噺]です。妻のヴェロニク・サクソンに対して「クリストファー(息子)のように俺を信じてくれ」「二人は一つになれる」と歌っています。 スティルスがこのアルバムで「一番言いたかったこと」なのかもしれません。 (9)[邦題:過ぎ去りし日々]は、しっとりとした曲で後年ソロ・ライヴやCSN(Y)のライヴでも演奏されています。このアルバムに納められているテイクのベーシック・トラックは1stアルバム作成時だったらしく、ドラムはリンゴ・スター、コーラスはクロスビー&ナッシュになっています。『お蔵入り』の曲をスティルス自身が手を加えて収録されています。 アルバム全体の印象としては、スティルス特有の『攻めのロック』になっておらず、どちらかというと『大人のロック』と言う感じで、しっとりとした曲調が目立ちます。例外としては(11)の途中アップテンポになるところだと思いますが、アルバム全体のイメージとしては今までのスティルスの印象は消えています。特にアコースティックなスティルスは存在しません。個人的に少し残念です。 先にも書きましたが、スティルス自身ヴェロニク・サクソンと結婚したことや、クリストファー(後のクリス・スティルス)が二人の間に産まれていたりするので、心境の変化があったのかもしれません。 それがこのアルバムを全体的に「しっとり」とさせているのかもしれません。
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