Stephen Stills / Mannasas |
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east west japan : AMCY-2698 |
マナサスのデビューアルバムはLP2枚組で発表されました。CD世代の方にはわかりづらいかもしれませんが、A面「わたりがらす」、B面「荒野」、C面「コンシダー」、D面「この世はロックン・ロール」(全て邦題)と各面にそれぞれタイトルが付いていました。 比較的日本盤CDの入手がしやすいアルバムです。日本盤でもリマスター盤が発売されています。 私は輸入盤を数年前に購入し、最近日本盤(リマスター)を買い直しました。 スティルスのソロの前作、前々作とこのアルバムが大きく違うのは、ロック、カントリー、R&B、ラテン・・など様々な要素が取り入れられた曲が、見事に一つの作品に収められているところだと思います。CDだと一気にそのジャンルを越えた曲を聴けてしまいます。 今回このレビューを書く為に、初めてLPでいう各面毎に分けて聴いてみました。 そうすると、確かに各面それぞれタイトルを付けて色分けしているのがわかるような気がしました。 それにしても、私は輸入盤LPも持っているのですが、指摘されて各面をチェックしたところ、A面の裏がC面、B面の裏がD面となっていました。(日本盤はA面の裏がB面。C面の裏がD面。) 「アメリカはプレス行程がいい加減だなぁ〜」と思っていたのですが、どうやらLPのオートチェンジャーが日本より遙かに普及していたので、こういう形でプレスされていることがわかりました。 それにしても、日本でそんなプレイヤー見たことないなぁ・・・
(1)〜(4)までは曲の間も殆どなくメドレー形式という感じで一気に流れていきます。スティルスの『ロックン・ロール・エンジン全開!』という感じで、圧倒されてしまいます。スティルスのボーカルもギターもカッコイイ!の一言につきます。 そしてこのサイド最後の(5)は、リスナーの肩の力を抜いてくれるかのように、スティルスとヒルマンのデュエットの静かな曲に変わります。心地よい気分でこのサイドは終わる・・・ と、思いきや後半ラテンのリズムをバックにウッドストックのカルロス・サンタナを想わせるギターソロが待っています。 最後までスティルス=マナサスに圧倒された気分でこのサイドは終わります。油断できないサイドです。
悪くはないのですが、個人的にこのサイドの曲を繰り返し聴くのはキツかったです。^^; クリス・ヒルマンの影響なのでしょうか? 全曲スティルス単独名義の曲なのに思い切りカントリーです。特に(6)(7)(10)は個人的に辛いです。 (8)はこのサイドに入っていますが、ソロアルバムの延長のような気がします。私の好きなスティルスのスタイルです。 (9)もソロの延長のような感じがしますが、スティルス以外のバックがカントリーしているので、カントリー・ミュージックに仕上がっています。 それにしてもこの曲は、あの青い眼のジュディことジュディ・コリンズが『True Stories And Other Dreams』('73)でなんとカバーしています。「きみなしで生きていく術を身につけなければならない」という内容の歌を、ジュディが、それもスティスルの歌を歌っているのが何とも意味深です。 (10)はカントリー・ミュージックを意識して作ったのでしょう。このサイドを締めくくる(11)は、ノリも良くポコまではいかなくても明るいカントリーです。
このサイドのオープニング(12)[邦題:どうってことないよ]は、クリス・ヒルマンとクレジットはされていないですがリック・ロバーツが作りかけていた曲を、スティルスが完成させたもので、このアルバムから最初にシングルカットされそこそこヒットしました。ジョー・ララのパーカッションがポイントを抑えていい味出していると思います。スルメのように聴けば聴くほど良い良い曲です。 後年リック・ロバーツはファイアー・フォールを結成し、1stアルバムでこの曲を取り上げていています。更に、フライング・ブリトー・ブラザースなどリック・ロバーツのグループ活動も含めた彼のベスト盤では、改めてこの曲を再録しています。 (13)[邦題:ジョニーの庭]が好きです。スティルスのイギリスの家に通っていた庭師をイメージしたそうです。 私のプロフィールにも書いていますが、最初に買ったスティルス関連のCDはCSN(2CD)でした。その中にこの曲も収録されていて、ほのぼのとした感じが好きだったのを思い出します。^^ (14)は独特なスピード感があり、尚かつ徐々に盛り上がる感じが好きです。2分弱の曲ですがコーラスが頭に残ります。 (15)も個人的にソロ作の延長に感じてしまいます。そうでもないかな・・・? (16)は幻想的な音作りをしています。(17)はスティルスとビル・ワイマンの共作。そして、ベースでビル・ワイマンが参加しているそうで思い切りブルースしています。個人的にはギターがカッコイイと思いますがいかかでしょう? こうして各曲を列挙してみると、このサイドはスティルスお得意(?)のゴッタ煮状態です。「遠慮してください」というのは、「このサイドにタイトルを付けるのは遠慮して下さい」という意味でしょうか??
しかし最初の(18)は、またしてもカントリー・ミュージックのような感じです。コーラスが重厚ですね。ホンキートンクな感じのピアノが良い味を出していると思いますが、個人的にはあまり受け付けなかったりします。^^; (19)はイントロから期待してしまうような軽快なロックナンバー。良いぞスティルス! ギターソロもカッコイイぞ!! 続いての(20)は8分以上にも及ぶ曲。長い曲ですが全然ダレません。後半はジャムのようになりますが、ここでもスティルスのギターはカッコイイです♪ スチール・ギターもカッコイイです。スティルス=マナサスのパワーに圧倒されてしまいます。 このアルバムの締めくくりは、スティルスのアコースティック・ギターの弾き語り。シブイです。カッコイイです。 このレビューを書くために、各タイトル(LPでいう各サイド)を初めて意識して分けて聴きました。 個人的に新発見もあり勝手に満足しています。(笑) CDのように一気に通して聴いてしまうのも良いですが、あえてタイトル毎に分けて聴くのも良いのかな。 スティルスは(21)のように、このアルバムでも一人でギターの弾き語りをしていたりしますが、『マナサス』というバンド、そしてアルバムを見事にまとめていると思います。 この状態が長続きしなかったのは残念なことですが・・・
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