かつてなかったものへの挑戦とは

「具体案」いわゆる「アイディア」を、生み出すことは本当に大変なことです。アーティストは誰しも体験していることだと思います。出来上がった物事に対して、それを評価することは簡単であっても、ではそれがダメだとなったときに別の方法を新たに編み出す事は、評価することの100倍のエネルギーがいる。音楽に限らずどの世界でも同じだと思います。

また、何もないところから何かを生み出すことの辛さは、正直言って私は経験していないとも思います。なぜかというと、どんなに新しい音楽、新しい趣向だと感じられても、それはやはり過去に存在していたものの別表現であったり、過去に存在していた複数のもののかけ合わせだったりすることがほとんどのはずだと私は思うからです。そして過去にあったものの要素を取り入れたり、そこに別の過去にあったものをまぜたりすることで、それ自体は「今までには確かになかったかもしれない」ものに成長していく。

歴史を作ってきた大御所のアーティスト達も、やはり自分達より以前のアーティストから影響を受け続け、その歴史が長く続いていく事で、結果10年前、20年前には考えられなかったものが今存在する、その繰り返しだと思います。というわけで、現在私達が新しく作りあげているものも、様々な影響を受けてのことであることは、絶対に否定できない。バンドにとっては新しい試みだとしても、それ自体が新しいわけではない。そこで、確実に「新しい」「誰かのマネではない」バンドになるためには、「過去にすでに存在するものの広げかた」に対するアイディアがいかに出るか、ということがとても重要な気がします。ただ、「アイディアが降りてくる」という感覚で生み出す場合は一概に言えないけれど。話はそれるが、先日、ジョー・マクモニーグル氏の超能力実験で私の脳はただの脳であることが明らかになりました(笑)。