夜ごと聞こえてくる 鳴き声は

地上では聞いたことのない 鳥の声

幻聴だろうか

鳥の声ではないのに

鳴き声は空を飛ぶ鳥のものだと感じた

 

今夜は起きて窓を開けると

私の住む部屋のベランダはなく

目の前には草原が広がっていた

ベランダも手すりもない

 

目の前に広がる草原に出てみたくて

思い切って

落ちない と固く心に信じてから

目を閉じて

空中に向かって一歩右足を踏み出した

 

前に出した足の下には何も感覚はなかったが

立てる と

確信をした

そして左足も空中へ

 

静かに目を開いた

確かに私は空中に立っている

もう一歩右足を進めた

 

たった一歩なのに

とても遠い所まで進んだ

左足を出したら

もっと進んだ

振り向いたらもう

山を一つ越えていたようだった

とても遠い所でかすかに鈴の音がする

 

草原を走り回った

自由自在に動くことができる

とても楽しかった

途中、一頭の白馬に出会った

何も言葉は交わさなかったが

心から 深い愛情が湧きあがってくるのを感じ

また会える とも思った

人はなんてちっぽけなんだろうと

突然 痛烈に感じた

 

メロディーが草原に鳴り響いていた

この曲を[HUMAN]と名付けた