「洗礼」の恐怖
梅図かずおの漫画「洗礼」って、知ってます?私はこの漫画を中学生の時に読み、この過激なストーリー、この恐怖の絵に何ヶ月も悩まされ、一時期、読んでしまったことを後悔し、梅図氏を本気で恨んだ事さえある、思い出の恐怖漫画です。そのストーリーは強烈だったので、今でもはっきり覚えており、ゴキブリの入った水を飲むシーンやアイロンを体に当てようとするシーンなど、大人になった今でさえ夢に出てくるシーンがあるんです。これを書いているうちにまた梅図かずおが憎たらしくなってきた(笑)。
実はノアは最近歯医者に行きはじめたのですが、その歯医者に、この「洗礼」全巻が置いてあったのでございます。げっ!洗礼だ!と思い、その表紙を見るだけで子どもの頃の恐怖がまた沸き起こってきたのですが、やっぱりその衝動を押さえることはできなかった。子どもの頃あれだけ苦しめられたこの洗礼を、今読んだらどうなのか?という。それを知りたくて、また、結局は部分的に忘れているストーリーを思い出したかったため(笑)、手に取ったわけでございます。しかしなんで歯医者の待ち合い室にこんな漫画が置いてあるん?そっちの方が興味深い。。
とにもかくにも1ページを開きました。数ページ読み進むにつれ、いもづる式に記憶が蘇って来ました。こわいこわい!この話はやっぱり怖い!でもちょっと私も大人になっているため、読みながら泣く、という子どもの不思議な行動を再びすることはなく、落ち着いて読み進めて行きました。冷静に読みながら、この時代に脳移植のネタを恐怖漫画にした梅図かずおって人も、すごいよなあと思ったり、ネタ的に絶対ありえない!おもしろすぎ!というような展開も多々発見し、同じ漫画を全く違う感情で再び読んでいる今日この頃です。
実は私は学生の頃、中野のブロードウェイにて梅図氏本人とすれ違ったことがあります。赤と白かなんかのシマシマの囚人服みたいなシャツによれよれのジーンズをはき、やはりもじゃもじゃの頭で、つっかけサンダルを履いて手ぶらで歩いていました。驚くほど痩せていました。すれ違いざまに「あ!梅図かずおだ!」と思わず発し、振り返ると、彼は前を歩きながら振り返らずに手を振ってくれていました。洗礼の責任を取れ!と言いたいところだったが、そこまでは言えず。。逆に、あれだけの衝撃を私に与えた張本人の姿を真近で見ることができた感動の方が大きかったのを覚えています。まさにアーティスト。