銘器 エルナンデス・イ・アグアド
エルナンデス・イ・アグアドを演奏する塩川氏
1972年製 Hernandez y Aguado
(Madrid)
ヘフナーが続きましたので、少し休憩を兼ねて、クラシックギターをひとつ紹介します。
1972年製エルナンデス・イ・アグアド、シリアルナンバーはNo.425です。
弦長は660mm、バック&サイド材は柾目のハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)、
トップ材はジャーマン・スプルース(ドイツ松)です。
クラシックギター教室のウェブサイトなので、私から特に説明する必要はないと思いますが、
サンチャゴ・マヌエル・エルナンデス(Santiago
Manuel Hernandez 1895~1975) と
ビクトリアーノ・アグアド・ロドリゲス (Victoriano Aguado Rodriguez 1897~1982)
のふたりによって製作された銘器です。
製作は、エルナンデスがギター本体の製作を受け持ち、アグアドがニス塗り、
ヘッドの飾りや細工を施して、全体の点検を行うという共同作業で行なわれました。
1950年にギター専門工房としてスタートしたときの1本目をNo.100として
1974年最後の作品No.454まで連続して355本製作されています。
もちろん、ギター専門工房を始める前からもギターを製作しており、
1924年の製作番号No.1のギターから始まり、何本製作したかは定かではありませんが、
全部で400本以上製作したことは確かみたいです。
また、これ以外にも工房ブランドとしてのギターもあるようです。
実際、何本かサインやシリアルナンバーがない
エルナンデス・イ・アグアドのラベルが貼られているギターを見たことがあります。
ちなみに、最初のシリアルナンバーNo.1と最後の
No.454のギターが、
茨城県八郷町のギター文化館に展示されております。
アグアドは身体が不自由であったため、晩年の1970年頃から実際の製作には携わらず、
エルナンデスは、娘婿であった
ヘスス・ベレサール・ガルシア (Jesus Belezar
Garcia 1920~1986)と
一緒に製作していたようです。
おそらく、この1972年のギターも、アグアドは設計において携わったかもしれませんが、
実際の製作は、エルナンデスとガルシアが行ったものでしょう。
弾きこなすこと自体なかなか難しいですが、
なんといっても、全体的な存在感のあるどっしりとした大きな音、
特に3弦および4弦の中音域の響きは、他の銘器とは一線を隔するものがあります。
アグアド エルナンデス