〜エッセイ〜
〜コンクールに挑戦!!〜(2)
「でも一応勉強のために二次予選と本選は聴きに行った方がいいね」と先生に言われ、
私もそのつもりでいたので、
確か10月だったと思いますが永田町の星陵会館まで足を運びました
(ここでその時の内容について話していると、長くなってしまうので、
それについてはまた別の機会にお話することにします。
ちなみにこの年の1位入賞者は高田元太郎さんでした)。
受付で渡されたプログラムには来年の課題曲がすでに掲載されていて、
一次のテープ審査はカタロニア民謡の「アメリアの誓い」、
二次予選がM・deファリャの「ドビュッシー賛歌」、
本選がソルの「ファンタジアop7〜ラルゴ・ノン・タント」とありました。
「アメリア…」は前に演奏経験があったのでテープ審査は期待できそうです。
ソルの曲は、野村ギター教室に入門した最初の4〜5年でみっちり叩き込まれたという思いがあるので、
もし本選に出る事になれば私にとっては有利です。
問題は二次予選の「ドビュッシー賛歌」です。この曲はフランス印象派の作曲家、
C・ドビュッシーの墓に捧げた曲で前衛的な感じのする曲です。
私は今までそういう曲はあまり弾いた事がなかったので、
この曲を演奏するには充分な研究が必要です。
幸いな事にイエペスの演奏テープを持っていたのと、
それともう一つ、ブリームの演奏も先生にダビングして頂き、それを参考にする事にしました。
楽譜は手元になかったため、先生か友人にコピーを頼んだような気がします。
そして本選の自由曲は先生と相談して
F・モレーノ・トローバの組曲「スペインの城〜トリーハとトゥレガーノ」に決めました。
スペインのいたる所に点在する古いお城からインスピレーションを得て作曲されたのもで、
ギターの多彩な音色と色彩的な音楽がよくマッチした美しい曲です。
セゴビアの演奏テープを普段から聴いていて好きな曲であり、
楽譜は以前友人からコピーを貰って持っていました。
これで曲の準備は完了です。
年内は11月の教室のクリスマス会に参加しなければいけなかったので、
それが終った年末あたりから練習に取り掛かる事にしました。
まず当然ながら、一次予選の課題曲を暗譜して、
それが出来たら次は二次予選の課題曲の音を取り始めました。
「ドビュッシー賛歌」は予想したとおり難しい曲で、
最初はどう弾いていいのかさっぱりわかりませんでした。
楽譜どおりに音を取ってはいるのですが、本当にこれでいいのか不安になってきます。
それでもイエペスとブリームのテープを聴きながら何とか音を追っていき、
レッスンしてもらえる形にして行ったような気がします。
そんな風に模索しながらも、4月の末くらいには「アメリア…」を録音し始めました。
2時間テープに片っ端から自分の演奏を録音していき、
気になるところをチェックしながら練習をしていきます。
録音した物はもちろんレッスンの時に先生に聴いていただきます。
録音作業は5月の半ばくらいまで毎日行い、
その中から一つだけ選んで短いテープにダビングして5月末日消印で主催者に送ります。
今回の課題曲は何度か演奏した曲だけあって有利に働き、
テープ審査はめでたく通過しました。
さあ、これからが大変です!!
課題曲2曲と自由曲2曲の計4曲を10月中旬までに仕上げなければなりません。
とにかくできるだけ早く暗譜をして、曲想を付け、
弾き込みの態勢に持っていくことが重要課題になります。
普段の生活も仕事以外はギター中心になり、
何をするにもまずギターの事を優先的に考えてするようになりました。
夏休みに友人と旅行に行く予定があれば、その日までにここまで仕上げていこうと計画を立てたり、
時には、朝会社に行く前の10分や15分というわずかな時間でも、
練習してから出勤すると言う事までしました。
レッスンも普段の木曜日のほかに、
土曜日で先生の空いている時間があれば予定を入れて頂きました。
今考えると「よくやったなぁ…」と感心してしまいますが、あの頃はそれができたんですね。
体力も気力も今以上に備わっていたんだと思います。それだけ若かったと言う事なんでしょう。
もし今同じ事をしようとしたら、間違いなく身が持たないでしょう。