エッセイ
♪♪♪古楽の世界へ♪♪♪
〜カウンター・テナーの魅力−(完)〜
カストラートの活躍の場は教会だけではなく、オペラの舞台にもありました。
それには、時の教皇シクストゥス五世(在位1585〜90)が、
舞台で女性が歌い演じる事を禁じていたという事があったようです。
ですからオペラでの彼等の役割は女性の登場人物を演じる事でした。
そのカストラートも16世紀の後半から17世紀のはじめにかけて、
徐々にファルセット歌手に取って代わり、
フランス大革命のあとの1806年11月、
ナポリを支配していたフランス人ジョゼフ・ボナパルト(Joseph Bonaparte)は、
カストラートの温床であったナポリの音楽学校に、
カストラートの生徒の入学を禁止しました。
その後、王政の交代等で紆余曲折があり、
ついに1903年、教皇ピウス10世(在位1903〜14)が、
教皇庁礼拝堂楽団からカストラートを排除。
カストラートはその後も細々とではありましたが存在し続けたそうですが、
最後のカストラートと言われた人は、
イタリア人のアレッサンドロ・モレスキ(1858〜1922)で、
録音も残されているそうです。
それにしても、昔の人は残酷な事をしたものです。
今ではとても考えられない話です。
予談ですが、カストラートは去勢されている為子供ができないという事で、
貴婦人たちに随分ともて遊ばれたと言う話もあります。
ここまでの話で、だいたいおわかり頂けたと思いますが、
カウンター・テナーは中世のカストラートの世界を今に表現する為に、
その歌唱法があるという事になると思います。
カウンターテナーのCDを紹介!
戸口幸策著:オペラの誕生(東京書籍)〜
第6章ヴェネツィアと第7章ナポリより参照
URL:http//www.allegromusic.co.jp/