エッセイ
初めてのコンサート(その1)
もともとクラシック音楽が好きだった私は、日ごろからギターに限らず
いろいろなコンサートを聴きに行ってますが、
生まれて初めて本格的なホールで聞くコンサートに行ったのは、何十年か前の高校一年生の時で、
荘村清志のギターリサイタルでした、
会場は、クラシック音楽の殿堂東京文化会館の小ホール。
チケットは、同じクラスに東京労音の会員になっている友人がいて、彼女に取ってもらいました、
チケット代は、一番安いチケットで1500円だったと思います、
高校生にとって1500円という金額は決して安くはなく、ホントに少ないお小遣いをやりくりして購入しました。
荘村清志といえば、ギターを弾いている人なら知らない人はいないほど有名なギタリストですが、
当時、NHKの「名曲アルバム」や「音楽の広場」をはじめ、あらゆる音楽番組に出演していて、
今の村治佳織さん以上に人気があったと思います。
そんな一流の演奏家のコンサートを生でしかも東京文化会館小ホールという場所で聴く機会を得たことは、
音楽大好き少女の私にとって夢のような出来事でした。
当日は、早く授業が終わらないかと、やきもきしながら先生の話は上の空でした。
やっと授業が終わり、放課後のクラブ活動を終えて、
待ちに待ったお出かけです。
ヨーロッパでは、コンサートに行く時はお洒落をして出かけると聞いていましたが、
その時の私は、お洒落とは若干はなれた、
パッとしない高校の制服を着て、手には重く大きな学生かばんを持っているといういでたちでした。
初めてコンサートに行くという大きな期待と、
初めての場所に行くという何とはなしの不安が入り混じった、甘にがいような気分で
上野駅に向かいました。
初めて見る東京文化会館は「クラシックの殿堂」と言われているようにとても風格があり、
集まってくる人たちも、いかにも芸術愛好家のような雰囲気を漂わせていて、
初めてその雰囲気に接した私は、「これがコンサートホールかぁ・・・・・・・」と思う反面、
「私のような素人が来ていいのかな?」という思いも湧いてきて、
非常に複雑な気分に陥りました、
純情な乙女というところです。
こんな気分を抱きながら、かなり緊張しつつ、カバンを胸に抱き
ホールの入り口を通り抜けました。
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