エッセイ
♪♪♪♪♪私の楽器物語り(4)♪♪♪♪♪
私の希望としては、
たとえアマチュアであっても将来演奏活動をして行きたいと思っていたので、
そのためにはそれなりの楽器が必要になってくる事は当然の成り行きなのです。
ただ一つ胸の内に引っかかっているのは、
初めて購入した野辺正治さんの楽器と大枚を叩いて買った、
ホセ・オリベを手放さないといけないと言う事です。
初めて買った楽器です。当然思い入れもあります。
でもグレード・アップを図るなら、
感傷に浸っていてはせっかくのチャンスを逃す事になります。
意を決する時です!!気持ちが決まったらあとは金銭的な問題だけです。
当時私は最初に勤めた会社を辞めて某社に転職して数年経っており、
仕事も安定して金銭的にも以前に比べると少しは余裕があったので、
もしここで楽器を購入したとして、
どの程度の支払いなら無理なく返済して行かれるかを考え、
おおよその支払い計画がたったところで楽器を見てみる事にしました。
先生を通じて楽器店の担当者に連絡をしていただき、
次のレッスンの時に教室に楽器を持って来てもらう事になりました。
木曜日。いつものように大塚のスタジオに行くと、
楽器店の担当者がハウザーV世を持って来ていました。
(えっ、もう来てるよ…。)と思いつつ、「あ、どうも」と在り来たりな挨拶をすると、
早速楽器を取り出して「これなんですけどね、まあ弾いてみて下さい」と手渡されました。
構えてみると、やはり小振りな感じがしました。
張りも強く弦高も高く感じました。
音はハウザーU世ほど硬いイメージはありませんでした。
それでもやはりドイツの楽器らしくどこか厳格なところがあるような感じでした。
新しい楽器のせいかまだ音量がそれ程なく、
ハウザー特有の「スコーンと抜けるような音」が出るにはかなり時間が掛かりそうです。
でも、音の質は決して嫌いな物ではありませんでした。
V世とは言え一応「ハウザー」です。
材質は表面版がドイツ松、横と裏板がハカランダ、
指板が黒檀という申し分ない物です。
ハカランダ材を使っているので奥行のある低音が期待できます。
早速スタジオの奥の部屋で購入するためのローン契約をする事にしました。
当時ハウザーV世は250万円。
購入するにあたっては今まで使っていた、
ホセ・オリベと初めて買った野辺正治さんのギターを下取りに出さなければなりません。
2本ともかなり気を使って弾いていたので特に致命傷になるような傷もなく、
そこそこいい状態で引き取ってもらう事ができました。
結局ギター2本を下取りに出して、差額分の120万円をローンで支払う事になりました。
「下取りに出して次の機種を買うなんて、まるで車と同じね」その時の正直な気持ちでした。
こうして、とうとう「最初のハウザー」が私の手元にやってきました。
さあ、大変!!これは今まで以上に無駄には出来なくなりました。
それと同時にこれからは楽器のグレードに見合った演奏をするように心がけなければなりません。
果たして私にそれが出来るでしょうか?まさに「自分への投資」、挑戦です…。
ヘルマン・ハウザーV世
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