名作"All Fall Down"・"Crystal Cresent"発表後、Debut Albumとして満を持して登場したのが本作。1987年。彼らの出発点にあったのは赤裸々で気恥ずかしいまでの自己顕示の集大成。地味な印象が強いがじっくり熟成された貫禄の楽曲群はいつまでも色褪せない。かのByrdsが良く引き合いに出されるが奥行きと伸びのあるSongWritingはむしろBeatles的と言える。マッシュルームでまだ初々しさの残るBobbyの歌声は淡くもRealに僕等のハートを鷲掴みにして離さない。ここに刻まれた足跡は紛れもなく等身大のBobbyの姿だ。不器用だからこそ僕等の胸にいつも余韻を残すのかもしれない。(YOKEMURA)
 89年、クリエイションと再び契約を結んだ彼らは、約2年ぶりとなるセルフ・タイトル・アルバム『Primal Scream』をリリースするも商業的成功をおさめるには至らなかった。しかしながらプライマルスクリームというバンドのカメレオンたるファクターは既にこの時より表面化してきていた。とはいえ本作の核は生身のガレージギターサウンドにある。その意味ではロバート・ヤングが最も貢献したアルバムと言えるかもしれない。後に様々な武装を重ねる彼等の根幹をなすもの。タイトルどおりまさに裸のプライマルスクリームがここにはある。そして10年以上たった今でも衝撃的にかっこいい作品。尚、本作収録の"I'm Losing More Than I'll Ever Here"はアンドリュー・ウェザーオールのリミックスにより"Loaded"として生まれ変わり、英国内で一大センセーションを巻き起こすことになる。(ISSEI)
 通算3枚目となる90年代UKロックシーンにおいての名盤中の名盤、"Screamadelica"。最近Primalを聴き始めたという人にはまず聴いて欲しいアルバムだ。当時このアルバムに触発されて、サンプリングをしたり、パクったりしたバンドが多数出現し、日本のバンドにも大きな影響を与えたアルバム。ロックというより今ではテクノ、デジタルに近いアレンジは当時としては革新的な作品だった。"movin' on up"に始まり、"shine like star"まで、捨て曲なしの最高のグルーヴ感。このアルバムなしではPrimalは語れないほど、完成度が高いことは言うまでもないだろう。言葉が浮かばなくなってしまうほどイカレたバンドだ。(TAKAMURA)
 「screamadelica」発表後にリリースされた傑作シングル、「dixie-narco ep」において次作への布石となるような"壊れたサザンロック"を再構築してみせたプライマル。案の定、彼らは疲弊しきった魂と叫びを解放するべく、安息の地メンフィスへとルーツ探求の旅に向かったのだ。かくして、音楽史に名を残す偉大な巨人たちの協力を得て完成した本作は、商業的な成功をおさめたものの、彼らに対する評価を分かつことに。プライマルが今なお、ライブで演奏している「rocks」を封印したときこそ、真の魂の解放へと繋がるような気がするのである。(ISAO)
 プライマルはいつの時代も己のロックンロール本能のままに、好き放題しているだけなのだが、偶然というか先見の明というか、本作は後のダヴ再評価へと大きく一役買うことになった。その名の通り、71年のアメリカン・ニューシネマからインスパイアされたもので、主人公Kowalskiと同様、プライマルも"消失点"を目指し刹那的までに爆走していく。ダブ特有の空間的な音の広がりが与える最高の高揚感は、後に完全盤ダブ・ミックス「echo dek」として引き継がれることとなる。ちなみに製作終盤にはマニが加入。再び黄金期へと突入することとなるのだ。個人的には一番好き。(ISAO)
 ケヴィン・シールズ参加の本作は、基本的にバニシングポイントの延長上にあるようだ。官能と挑発とバイオレンスが怒濤のベースラインで押し寄せてくる。まったく、ヤバいアルバムとはこのことだ。 テクノだパンクだと音楽をジャンル分けすることは、なんてくだらないんだろう。最高に気持ちいい轟音とともに、疾走していくプライマルをただ全身で感じればいいだけだ。※ロンドンのクリエイティブチーム"Intro"のタイポグラフィやアートワークもすばらしい。個人的には、ベストオブじゃけ。(OHSHIMA)
 時代と共に進化して来たプライマルが前作の音をそのまま引継いだ形で作品をドロップするのは初めてじゃないだろうか。等々ネタ切れか?それともついに安住の地に辿り着いたのだろうか?僕的にはデジタルっぽい現在の音はあまり好きじゃないですけど…。しかし前作よりもコンパクト&シンプルにまとめられた曲達は、あまり統一感はないが、荒々しくガツッとつくってある所がパンクっぽくて速効性があり、単純にカッコイイ。と言うか、ボビーのヴォーカルのカッコよさを改めて感じた。このヘナヘナだけどたまらなく美しいプラスティックヴォイスは無敵である。まさに僕達の象徴だ。(COHEI)
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