私はここにいる。無意識から無意識に向かう一本の線
分上に、何らかの意味を求めながら。私の肉は赤く、心
臓は毎秒新しい血液を送り出す。何の疑いもない、ひた
むきな走性。しかし私は、この生命がいずれ尽きること
も十分わかっている。存在は大きな闇に抱かれている。
 Struggle to survive − 私にとって"存続への闘争"
とは、まさしく虚無と共存するための闘い、滅び去る宿
命と対峙することに伴う苦痛を意味する。何かを達成し
たいという渇望と、達成されたもの全てがやがては自分
の死や人々の忘却により無に帰すという認識の両方をか
かえての葛藤。その間にも流れ落ちてゆく砂時計の砂。
私は価値のあることを成し遂げたいと思いながらも、そ
の"価値"のよりどころを得られずに悩む。第一、生き
ることの意味なんてもの自体、本当にあるのだろうか。
 私はその答えを知らない。私が知っているのはただ、
私は私として生きる権利と、自分を私として死なせてや
る義務があるということ。そして放棄よりもあがき続け
ることを選ぶということ。私は生きることに何らかの意
味があるという方に賭ける。破産まで賭け続け、息絶え
るまであがき続ける。もしも私のしようとしている事が、
砂の塔を築くようなことだとしても、私はそれにあがき
や苦しみや"出会うべきあなた"への想いを刻み続け、
やがて崩れ落ちる私だけの神殿を築こうと思う。命がけ
で求めてはじめて、手に入るものだってあるだろう。
 それに、もしも私が唯一滅びずに存続していける場所
があるとしたら、それは間違いなく"あなた"の中だろ
う。"あなた"の中に溶け込んだ私が、更に他の人へと、
希釈され私の名を離れながらも残ってゆくとしたら……
私はあがき続けなくてはならない。私が求めるのは、金
でも地位でも永遠の命でもなく、ただ、今、共によりそ
うことのできる "あなた" の共感なのだから。
 Struggle to survive−死に向かう暗い情熱と、生に
向かうかぼそい希望。圧倒的な絶望に引き裂かれそうに
なりなからも、何かを信じようとする意志。神聖な徒労。
 そういったものすべてを、私は愛おしいと思っている。

                      SYOKO