VOL.30
MAGIC DINER/ANTHONY ROTHER(PSI49NET)
・MAGIC DINER PART 1〜9(全9曲)
*** 超実験エレクトロニカ ***
ANTHONY ROTHERによるエレクトロニカ音響。ノンビートでゆったりとした曲調、ディープで深みのある音ながらも美しいシンセのメロディ…と、一見、「アンビエント」や「ヒーリング」にも近い表情を魅せるその世界。…だがその裏に隠された本質は全く違う!! 女性の歌声や乗り物の音・種々のノイズをサンプリングしてはシンセの音と同化させ、違和感無く曲の一部として構築してしまう手腕。そしてラストのトラックは一曲まるまる小鳥がさえずっているだけ…と言う恐ろしい程パンクな実験的精神!! 何より、作品全体に漂う、ある種の「狂気」にも似た静かな緊張感がたまらない。個人的には、彼は世間的に有名なエレクトロよりもこういった作品の方がより才能を発揮出来ている様に思うのだが。
MEET ME/DJ RUSH(EXPLICIT)
01.NEONKIND/LATIN FAKE  02.HEARTZ/TRIPPING  
03.TUBE-TECH/RIDERS ON THE STORM(ORIGINAL MIX)
04.THE KONCAV VS MONOKILLA/HULA BAY  05.HENZE/MYTHS&LEGENDS
06.PET DUO/TERA  07.METROLINE/ACETATE(FRANK KVITTA REMIX)
08.DJ BOLD/DRIFT AWAY  09.HARDTRAX/EVIL FREQUENCIES
10.DJ AMOK/WRECKING BALL  11.MATT M.MADDOX/HULLUS
12.SEEMA/TRIVIAL MUZIK  13.DJ MAHATMA VS FRANK KVITTA/MAD
導入とラストにDJ RUSHによるイントロ・アウトロ有
*** 変態ミニマル野郎のミックス ***
DJ RUSHのミックススタイルって、どちらかと言うとあまり抑揚の無いひたすらミニマル…て印象で、正直僕は苦手だったのだ。が、このミックス。これはなかなかに楽しい。ラテン系のシャウト(?)で幕を開け、そこからシンセの上モノが綺麗なトラックや声モノミニマル・そしてまだミックス序盤だと言うのにかなり盛り上がりのある歌ネタ[RIDERS ON THE STORM]で早くもピークタイム!! その後からは徐々にいつものトライバルでミニマルな展開へ持っていくのだけど、でも序盤のこの勢いのある音で、そのミックスの世界にすっかり引き込まれてしまったからなのか? 後半のひたすらサディスティックにミニマルな音でさえもとても楽しく感じてしまう。不思議な勢いと魅力のある一枚。
THE THEORY OF EVERYTHING/OCTAVE ONE(430WEST)
01.THEORY OF ONE(INTRO)  02.BOUT TO BLOW
03.WISH I WAS  04.ALL2U  05.POSSESSION
06.IT AIN'T EASY  07.SOMEDAYS  
08.IT'S YOUR REALITY 
09.THE X  10.UNHEARD OF  11.WOULD U KNOW
12.BEHIND THE SUN  
13.BLACKWATER(VOCAL STRING MIX-THEORY EDIT) 
*** 名曲[BLACK WATER]だけじゃない***
デトロイトのみならず、ミニマル系からハウスの人まで幅広いDJがこぞってかけた名曲[BLACK WATER]。その名曲を生み出した、デトロイト直系アーティストOCTAVE ONE。−しかし彼ら初のフルアルバム。そこでの音の世界は、誰しもが予想のし得ないものだった−そう言ってしまっていいだろう。[BLACK WATER]の流れを汲む、女性ボーカルの流麗なトラックにソウルフルな歌モノ・果ては本格的なヒップホップにブレイクビーツまで…その音は「デトロイト」の、いや「テクノ」という範疇のはるか彼方にまで飛び出してしまっている。究極のミクスチャースタイルとも言えるその世界。それは「新しい音に触れる喜び」そして「音を細かなジャンル分けすることの無意味さ」を教えてくれる。
FUTURE HISTORY/JORIS VOORN(SINO)
01.ECLIPSE(SPOKEN)  02.AWAKENING  03.DISTANT MOMENTS
04.INCIDENT  05.SKYSHOPPING  06.YEAR OF THE MONKEY
07.BELIEVER  08.DON'T BELIEVE EVERYTHING YOU SEE
09.AFTERLIFE  10.CLEAR  11.IT AIN'T MINE
12.BIONIC MAN  13.SWEET NARCOSIS  14.REJECTED
15.ZERONINE  16.SHINING  17.MISSING
18.RHODES INTERLUDE  19.FUTURE HISTORY  20.ECLIPSE(UNSPOKEN) 
*** デトロイト直系硬質テクノ ***
[INCIDENT]の大ヒットで、ここ最近かなり注目度の高いアーティスト・JORIS VOORN。そのフルアルバムは実に77分・20曲とかなりの大作。[INCIDENT][SHINING]と言ったクラブでもよく耳にするトラックを中心に、ハードなものから深めの音・流麗な音響に時にはエレクトロまで−実に様々な音を聴かせてくれて飽きさせない構成。しかし、その音には確かな一貫性があるのだ。澄み切った上音、美しいメロディにしっかりとした骨太のリズム…。デトロイトテクノを欧州ならではの解釈で「浄化」したとも言えるその音はまさに、[KANZLERAMT]辺りの硬質ドイツテクノとリンクしている。この辺の音が好きな人ならば−とりわけDIEGOやKOWALSKI辺りが好きならば、買ってまず間違いの無い一枚だ。
PROGRESS/ALEXANDER KOWALSKI(KANZLERAMT)
ALEXANDER KOWALSKI-LIVE SET
01.PROGRESS  02.DARK SOUL PART3  03.ALONG
04.DELICIOUS  05.HOT SPOT  06.SPEAKER ATTACK
BONUS TRACKS
07.HOT SPOT-GIRLS OUTSIDE THE WINDOW(RADIO EDIT)
08.DELICIOUS(VOCAL MIX RADIO EDIT)
〜以上DISC2  DISC1はオリジナル盤と同様
*** 今蘇る、KOWALSKI先生の大傑作 ***
KOWALSKI先生2002年の大傑作アルバム[PROGRESS]。それが遂に、リイシュー盤で発売!! …なんだけどこれが単なる「再発盤」じゃあない。二枚組構成で、一枚目はオリジナルアルバムそのもの。そして二枚目がなんと、彼のライブ音源を収録した特別盤!!なのだ。このライブが、6曲30分程度の短いものながらも実に素晴らしい。[PROGRESS]収録のトラックを中心に、ディープで深い世界からダークでハードな直系ドイツテクノ・そしてポップな歌モノまでもと彼の魅力をあますところ無く収めた選曲と構成。トラック自体にも細やかなアレンジとライブならではの様々なエフェクトがかけられて、知ってるハズの曲なのにまるで違った音に聴こえるこの新鮮さ。…そう。こんなリイシューを僕らは待っていた。